もし新型コロナウイルスに感染したらどうなるのか。北海道文化放送のロシア特派員が感染し、自らの闘病の様子を記録しました。
【UHB特派員の報告】
新型コロナウイルスの感染者が世界で4番目に多いロシア。
これまでに約300万人、毎日3万人近い感染者が出ています。
2020年10月の一時帰国の際にある事態が。
平熱で体調は良く、東京・羽田空港でのサーモグラフィーの検温も問題ありませんでしたが…。
医師:「ちょっとチクッとします」
空港での問診で顔が赤いと指摘された後、抗原検査で新型コロナウイルスの感染が判明。
熱が37度3分あったため、東京都内の病院に緊急入院することになりました。
病室は完全個室で、外には一切出られません。
10畳ほどの部屋には、トイレやシャワーが付いていますが、部屋の中の気圧を管理しているため、窓も開けられません。
突然の事態に戸惑う中、医師が持ってきた肺のCT画像に写っていたのは…。
医師:「淡い影が多発するのが新型コロナの特徴です。これが新型コロナの典型的な影です」
新型コロナウイルスの感染判明…動揺が続く中、医師の説明が始まりました。
医師:「普通は真っ黒に写って(血管の)枝があるだけなんですが、ここに淡く白く写っているのが分かりますか?こういったところにも。影ですね。こういう風に肺の外側の部分に面するように淡い影が多発するのが新型コロナの特徴です。これが新型コロナの典型的な影です」
白い影だらけになった肺を目の当たりにし、改めて事の重大さを実感しました。
その後、息苦しさが増してきて、咳が止まらなくなりました。
関根 弘貴 記者:「先ほど測ってみたところ、39度7分まで上がっています。その看護師さんに氷枕を持ってきてもらいました。呼吸も大きく勢いよく吸い込んでしまうと苦しいので、小さく細く吸い込むように気を配っています」
熱は4日間39度台から下がらず、体力を消耗…。次第に体の中の酸素の数値も下がってきました。
看護師:「酸素吸入、始めていきますね」
生きるために必要な酸素を補うため、酸素の吸入が始まりました。さらに…
看護師:「レムデシビルの準備ができたので、いまから点滴につなげていきますね。準備するのでお待ちください」
ロシア特派員 関根 弘貴:「お願いします」
重症の一歩手前まで悪化したため、日本で抗ウイルス薬として承認されたレムデシビルを5日間、肺炎の炎症を抑えるためステロイドを7日間投与しました。
容体は一進一退でしたが、症状は徐々に良くなりました。
(入院12日目)「昨日、点滴も外れて、全ての治療が終了しました。ステロイド投与が終わってから3日間、経過観察をしなければならないため、19、20、21日の様子をみて、何もなければ22日に退院できる予定です」
緊急入院から15日。献身的な病院の対応のおかげで、私は無事に退院することができました。
あれから2か月以上がたった今、大きな後遺症もなく過ごすことができています。
【新型コロナウイルスの症状の段階】
重症 :人工心肺装置「ECMO」などが必要
中等症2:呼吸不全
中等症1:息切れ・肺炎
軽症 :咳のみで息切れなし
特派員は「中等症2」と診断され、正常時の半分まで呼吸機能が低下したこと、突然の隔離生活でロシアに残した家族とも会えず不安な日々を送ったこと、日常生活で感染対策を念入りにしていたのにかかった「感染力の強さを実感した」ことを語りました。
北海道医療大学 塚本 容子 教授の見解は以下の通り。
「本人はまだ若くて後遺症もなかったが、高齢者なら15日間の入院生活で体力も落ちる。軽症だったとしても半数は後遺症が残るという報告もあるので、かからないことが大切。発症2日前から感染させるので、自宅でも年末年始はマスク着用を心掛けてほしい」