ヤマハ発動機社長が語る「2輪電動化」の高い壁
技術的に可能でも売れるかどうかは別問題
コロナで2輪が見直されている
――2020年をどう振り返りますか。
新型コロナウィルスによって色々な活動が止まり、翻弄された1年だった。6月まではリーマンショックを思い出しながら手を打った。社員や販売店などのステークホルダーの安全を第1に考えながら、いかに売上減を防ぐかを考えた。
リーマンショックと違ったのは在庫過多にならなかった点。今回は春の世界的な感染拡大局面で一気に需要が減ったが、ロックダウン終了後に急速に戻った。足下で言えば、2輪車は先進国で非常に需要が強い。「3密回避」で他人との接触が少ないパーソナルな移動手段として、2輪車が見直されたためだ。(ボート用)船外機についても、海外旅行ができないならサマーレジャーを楽しもうといった動きが広がり、6月以降は需要が戻った。
そこからは、いかに生産を回復させて、需要にこたえるかがポイントだった。先進国を見る限り、2輪車、マリン製品は在庫不足で売り逃しが起きており、2021年度の上期(4~9月)まではフル操業が続くだろう。一方、新興国は先進国に比べて回復が遅く、1年(2021年)をかけて戻っていくとみている。
――先進国の2輪事業は昨年度まで12年連続で赤字を計上し、構造改革を掲げていますが、改革の進捗は?
生産体制効率化の一環として、イタリアのエンジン製造子会社の売却手続きを2020年内に終える。先述したような需要の回復もあって、2021年度にはほぼ黒字化を狙えると見ている。ただ、足元の強い需要は一時的なもので終わる可能性もあり、構造改革は必要に応じて今後も引き続き行っていく。