僕が初めて作った遊戯王OCGのデッキの話。
- 2019.12.09 Monday
- 15:03
僕が遊戯王OCGで一番最初に作ったデッキは、自分の勤めていた玩具店で、スターターと、ゴミ箱に捨てられていたカードで作ったデッキでした。
まさに「カードは拾った」を20年前にやったのです。
何のために作ったかと言うと、当時、GB版遊戯王の全国大会◯◯県代表だった、という高校生が、
「ここでは小学生も全員MTGをやっているが、どうしても遊戯王を広めたい」
と毎日通ってくるので、それを……
「叩き潰す為に作った」のでした。
自分の店を作る、ちょうど一年前の話です。
当時勤めていた玩具店で僕は、MTGを広めていました。
月に二度市民会館を借りて、小学生から社会人50人前後を集めて大会も主催していたのですから、かなり真面目な伝道者だったと言えるでしょう。
当時を知る人なら誰もが首肯すると思いますが、当時のMTGプレイヤーの多くが、遊戯王を舐めていました。
舐めちぎり、馬鹿にしまくっていました。
そうなって当たり前の内容だったからです。あくまで、「当時」は。
だから僕は、「こんなクソみたいなTCGを広める訳にいかん」と考え、遊戯王を広めようとする高校生に、条件を出したのです。
「子供達でさえ言っているように、MTGと遊戯王ではゲームとしての質が全く違う。MTGを学んでいないやつが、まともなデッキを組めるとは思えん。
だが、云うだけでなく実際に試そうじゃないか。君は遊戯王の実力に自信があるようだし、レアカード満載のデッキを持っているようだが、完全に遊戯王素人の僕が、スターターとEXセット、あとはゴミ箱のカードだけで作ったデッキで戦って勝ったら、少なくとも君は遊戯王が下手で、◯◯県代表ですらそのレベルだという事は、遊戯王というゲームのレベルそのものがお察し、という事だろう。
もし逆に、僕が負けたら、遊戯王にも『ゲーム性がある』事を認めようじゃないか。」
云うまでも有りませんが、完全に彼に有利な条件です。
彼はレアカード満載の「思ったとおりに作ったデッキ」であり、しかも経験が豊富です。
かたや僕は、遊戯王そのものをプレイしたことがなく、カードはゴミ箱から拾ったカードが中心です。
しかし僕には、MTGで学んだテンポ・アドバンテージ理論があり……いやそもそも、当時の遊戯王OCGの基本的な欠陥とも言える部分がハッキリと見えていました。
某月某日、日本海側のある街のショッピングセンターのフードコード。
20年前のあの日、子供や大人、20人ほどの観客の見守る中、「遊戯王は果たして、ゲームとしてプレイするにふさわしいモノなのか」を検証する戦いが始まりました。
勝負は三戦。先に二勝したほうが勝ち。
相手のデッキには当時出たばかりのシークレットレア「ミラーフォース」も3枚実装!デーモンの召喚などのウルレアも、容赦なく入っていました。
しかしこっちは……
ペンギルソルジャーや人喰い虫が満数。そして当時はゴミ箱常連だったジェミナイ・エルフも当然実装。
黒き森のウィッチとクリッターも満数。スターターやEXセットの「サンダーボルト」は当然、「落とし穴」「地割れ」なども入っていて、
「レベル4で攻撃力が高いカード上から8枚とペンソルと人食いとツボと落とし穴と……」
という、「アドを稼ぐ、殴る、除去する」だけのデッキ。
立て続けに僕が二勝。泣きの再戦も叩き潰し、完全に圧勝。
「やはり遊戯王はゲームとして浅すぎるっ!」(ビシッ)
その街で、初期の遊戯王が流行ることは有りませんでした。
これが僕の、「失敗談」です。(そう。「失敗談」です!)
僕はこのせいで、「遊戯王は、MTGとは全く違う、ごっこ遊びとしてのTCGの価値を作り出した存在だ」と気づくのに、2年程遅れてしまったのです。
(それでも、当時の多くのTCGプレイヤーより、5年は早く気付いたと思いますが)
自分の店を開き、「マジック・ルーラー」から遊戯王OCGを再評価し、
「遊戯王を馬鹿にしているTCGユーザーは非常に多く、その理屈は筋が通っているが、彼等は『遊戯王にはそれ以外の価値がある』という事に気付いていない!」
と、180度意見を翻した話は、以前にブログに書いた通りです。
https://twitter.com/ikettitencho/status/833598755467243521
自分の間違いに気付けたからこそ、「世界で初めての遊戯王動画」になり、中期遊戯王OCGを、世に広める手伝いができました。
また、これは、あの日の高校生に対する、贖罪の意味もあったと思います。
……けどなぁ、少年、いや、もうちょっと君が強かったなら、2年とはいえ、遠回りしなかったんやで……?(笑)
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