関めぐみ
瞳にクラリ しっとり“爽健美人” (9/26)
「8月のクリスマス」は東京・シネスイッチ銀座、大阪・梅田ガーデンシネマで公開中。
関めぐみ
【山崎まさよしさんが「大人になったな」って】
世に不安感が充満すると、せめて最愛の人ぐらいは信じたくなるのか。昨年来、純愛映画の公開が続いている。
デビュー2年目の彼女がヒロインに抜擢された「8月のクリスマス」(長崎俊一監督)は、韓国の大ヒット映画のリメーク作品。病魔に侵され、残された命を静かに受け入れようとする写真館の店主・寿俊(山崎まさよし)と、小学校の臨時教員・由紀子の切ないラブストーリーだ。
「山崎さんからは、1カ月間のロケが進むにつれて、徐々に大人になったな、っていわれました。音楽も演技も、ご自分の世界観があるすごい方ですが、撮影の合間には、おやじギャグで、なごませていただきました」
ベテランのシンガー・ソングライターを相手にしながらも、彼女の力強い瞳は負けていない。淡々と進む物語の中で、この瞳が怒ったり、愛しんだり、悲しんだり、と雄弁だった。
純愛映画に欠かせない、“瞳の系譜”は、「世界の中心で、愛をさけぶ」の柴咲コウ、「いま、会いにゆきます」の竹内結子、「電車男」の中谷美紀、そして彼女へと、同じ所属事務所「スターダストプロモーション」の女優に引き継がれている点もおもしろい。
【モデルにあこがれ】
もともと、パリコレなど国際舞台のファッションモデルにあこがれて、この世界に飛び込んだ。
169センチの身長を「あと5センチ伸ばしたい」という。スクリーン映えするだけに、初々しさが勝ちすぎると、バランスを崩しかねないが、気負いのない演技だった。
「まだ役づくりもできませんし、ガツガツいけないタイプなので、由紀子と自分の性格の違いを知ることから始めました。監督が『そこは、関さんらしくやってみて』といわれる場面では、若い子らしい無邪気さが求められているんだろうと、いつもより少しテンションを上げて演技をしました。ふだんの私は、無邪気じゃないですから」
頭の回転がいいことも、純愛ヒロインの必須項目なのだ。
映画の仕事が増えてから、洋画邦画問わず、気になる作品をチェックして、見忘れないよう携帯電話に「見たい作品リスト」をメモしている。
「見るたびにメモを消してゆくんですが、最近、20-30本たまってるんです」
憧れるのはハリウッド女優のレニー・ゼルウィガー。「『恋は邪魔者』に出たときの表情と声がものすごくかわいくて素敵」と細かい描写にもこだわりをみせる。
【素顔はおっとり?】
仕事以外で夢中なものを聞くと、ユニークな答えが返ってきた。
「おなかがすくと、ごはんが食べたくなるじゃないですか。その瞬間が好きなんです。食べたい欲求って、常に生きてる感じがするじゃないですか!」
ところで、映画で一つだけ引っかかったのは、彼女が33歳の山崎を「おじさん」と呼んでいたこと。「おにいさん」と呼ぶほど気安くはない微妙な距離感を表現しているようだが、41歳の記者にはどうも…。
「私自身は親戚のおじさんをあだ名で呼んでますし、あまり、おじさんって使わないですね。私のイメージだと、おじさんは52歳からかな。なんとなくですが」
ちょっと安心した。
ペン・中本裕己
カメラ・大西史朗