年の瀬が近づいてくると「良いお年を」という言葉を耳にするようになります。それはビジネスシーンでも例外ではありません。年の瀬の挨拶として多くの方が使われる「良いお年を」とはどのような意味の言葉であるのかご存じでしょうか。
本記事では、ビジネスシーンで恥をかかない「良いお年を」の使い方をご紹介します。
「良いお年を」の意味
「良いお年を」は「良いお年をお迎えください」という文を省略した表現になります。そして「良いお年を」という言葉には「忙しい年末をお互いに頑張って、過ごし良い一年をお迎えしましょう」という気持ちが込められています。
「良いお年を」を使う際の注意点
「良いお年を」という言葉を使うにあたって注意すべき点は以下の通り。
- 「良いお年をお過ごしください」は間違い
- 大みそかの利用は避ける
- 喪中の場合には使用不可というわけではない
- 目上の人に使う場合には、「良いお年を」と省略しない
以下、順に説明いたします。
1. 「良いお年をお過ごしください」は間違い
「良いお年を」には、「お迎えください」という言葉が省略されています。これまで「良いお年をお過ごしください」の意味で使用していた方は、本来の意味とは認識の違いがあることを知っておきましょう。
年の瀬は、いろいろと行事が重なり慌ただしくなるもの。そのため、それらの“諸々の行事をしっかりと終わらせて、良い年を迎える準備を完了させてほしい”という意味で、「良いお年を」を用いるのです。
2. 大みそかの利用は避ける
上記の理由から、「良いお年を」という挨拶は基本的に大みそか(12月31日)には使用しません。
なぜなら、大みそかにはすでに新年の準備が整っているはずであるため、「良いお年を」と言う必要がないためです。「良いお年を」という挨拶が適当であるのは、12月中旬ごろから12月30日までとなります。
とはいえ、大みそかに「良いお年を」と言われて不快に思うような方はなかなかいらっしゃらないでしょうし、何より当人も悪気があってそう言っているわけではありませんから、責められるようなことではありません。慣用表現として許容されている言い回しだと言えるでしょう。
ただし、気になる方は、大みそかに挨拶するときは、無難に「来年もよろしくお願いします」という言葉を使うことをおすすめします。
3. 喪中の場合には使用不可というわけではない
喪中である本人が気にしないのであれば、年の瀬の挨拶として「良いお年を」と言って挨拶しても問題はありません。
ただし、相手が喪中であることがあらかじめ分かっているときや、自分も気になる場合には、「来年もよろしくお願いします」など無難な挨拶にするのがベターです。
4. 目上の人に使う場合には、「良いお年を」と省略しない
ビジネスシーンで目上の人に年の瀬の挨拶をするときは、「良いお年を」と省略するのではなく、丁寧に「良いお年をお迎えください」とすることが一般的です。
「良いお年を」の英語表現
英語で「良いお年を」と伝えたい場合には、以下のように表現できます。
- Have a happy new year.
- Have a great new year.
- Happy new year.
- Best wishes for the New Year.
- Have a merry Christmas and a happy new year.
※クリスマスよりも前の時期に「良いお年を」と伝える場合
【例文】メール・手紙で「良いお年を」を伝える場合
ビジネスメールや手紙では「良いお年を」という言葉を使う場合、結びの挨拶として使うことがベストでしょう。以下に「良いお年を」という挨拶をメールや手紙で使うときの例文をいくつか挙げています。
例文を知ることで「良いお年を」という言葉を正しく使いこなしましょう。
クライアント(取引先)に送る「良いお年を」
取引先にメールや手紙で年末の挨拶するときの「良いお年を」の使用例です。ビジネス文書の末尾に以下の文章を入れましょう。
- ○○様もどうぞ良いお年をお迎え下さいますことを心よりお祈り申し上げます。
- 新年にまたお目にかかれますことを心待ちにしております。どうぞ良いお年をお迎えくださいませ。
上司に送る「良いお年を」
上司へメールや手紙で年の瀬の挨拶するときの「良いお年を」の使用例です。文書の最後に以下の文章を入れましょう。
- 良いお年をお迎えください。
- 良いお年をお迎え下さいますことをお祈り申し上げます。
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「良いお年を」という言葉は12月中頃から大晦日の前日までに使用する言葉であり、「良いお年をお迎えください」という言葉を省略したもの。そのため、上司や目上の方に伝える際にはしっかりと「お迎えください」まで伝えるのが好ましいでしょう。
正しい言葉遣いやタイミングで年の瀬の挨拶をし、気持ちよく年末年始を過ごしましょう。