いつの時代もファッションと音楽は切り離せない。ティファニーと『GQ JAPAN』による連載シリーズ“My Music, My Style”では、6人のアイコンを迎え、彼らのファッションと、それぞれのテーマを元にプレイリストを選曲する。第6回目のゲストは、セレクトショップ「UNITED ARROWS & SONS」でディレクター/バイヤーを務めながら、国内外でファッションアイコンとして知られる小木“POGGY”基史。「コンテンポラリー」をテーマに彼がティファニーを着こなし、プレイリストを選曲した。
従来の価値に固執せず、
どんどん前に進む
▲コンテンポラリーという言葉を「過去といまを結びつけようとする行為」と定義したPOGGY。
いまや、日本を代表するファッション・アイコンとして世界中のファッション・シーンに影響を与える”POGGY”こと小木基史。スーツ・スタイルとストリート・スタイルをこよなく愛し、自らのスタイリングを「サルトリアル・ストリート・スタイル」と定義する彼に、ティファニーのスタイリング・テクニック、そして最新ファッショントレンドの潮流について訊いた。
今回はPOGGYが自らスタイリングをした。デニムを基調としたストリート感溢れるルックと、ジャケットにハットを合わせたトラディショナルな雰囲気のルックは、まさに「サルトリアル・ストリート・スタイル」を象徴するコーディネートといえる。「NY」のロゴがはいったベースボール・キャップを合わせたデニムルックには、ティファニー ハードウェアのイエローゴールドのチェーンネックレスとティファニーTのブレスレットをチョイス。
「僕も最近まで知らなかったんですけど、ニューヨーク・ヤンキースのロゴもティファニーがデザインしたんですよね。僕はフォーマルな洋服以外に、デニムや古着も好きなんですが、そういうスタイルにインディアン・ジュエリーやシルバーを合わせるのは、だいたいみんなやっている。でも、そういうスタイリングにこうしてイエロー・ゴールドを合わせると新鮮だなと感じました」
▲ゆったりとしたシルエットのジャケットに映えるゴールドのハードウエア・コレクション。
フォーマルなジャケットとハットのスタイリングにも、POGGYならではのこだわりが反映されている。
「このジャケットはオーラリーのもの。ボタンがなく、ゆったりとしたシルエットで、結構モダナイズされているアイテムなんです」。そんな、いまっぽいアクセントが効いたコーディネートにも、ゴールドに輝くハードウエア・コレクションをチョイス。
「もともと、ゴールドとかダイヤモンドのジュエリーが好きなので、ハードウェア・コレクションとティファニーTのブレスレットはすごくいいなと思いました。ティファニーのジュエリーは180年以上の歴史があるし、クラシックなイメージが強かった。でも2018年はラッパーのA$APファーグを起用してキャンペーン映像を作っていて、老舗だけれど現代的なアプローチを取っているのがすごく素敵だと思いました」
ティファニーの醍醐味は、伝統を守りながらも新しい時代の価値観を生み出そうと挑戦する点だ。POGGYは言う。「例えば、イエローダイヤモンドって昔は価値がなかったけれど、ティファニーが価値を見出して商品化に至り、資産的価値が高まった……というストーリーを聞きました。従来の価値観に固執せず、どんどん前に進んでいく姿勢に共感します」
オーラリーのジャケットスタイルにはティファニー スクエアの時計をチョイス。
ティファニー ハードウェア ミディアム リンク ネックレス
1971年にデザインされたチェーンから着想を得てつくられた18Kゴールドのネックレス。長さ約46cm。 ¥795,000 コレクションのラインナップはこちら
ティファニー T スクエア ブレスレット
ティファニーの頭文字である”T”をモチーフとしたブレスレット。18Kイエローゴールド。 ¥725,000 コレクションのラインナップはこちら
ティファニー ハードウェア ラージ リンク ブレスレット
撮影中、POGGYが最も気に入ったゴールドのブレスレット。18Kイエローゴールド。¥860,000 コレクションのラインナップはこちら
ティファニー イースト ウエスト
文字盤を垂直ではなく水平方向に配した「ティファニー イースト ウエスト」はティファニーの革新的な姿勢を表す時計のひとつ。ステンレススチール製42x25mmケース、ブラック アリゲーターのストラップ 、クォーツ式。 ¥460,000 コレクションのラインナップはこちら
ティファニー スクエア
27x35.8mm S/Sケース、ホワイトサテンソレイユ仕上げの文字盤、シルバープードレ仕上げの文字、アリゲーターストラップ、ティファニー製の手巻きムーブメント ¥570,000 ウォッチのラインナップはこちら
▲特徴的な正方形のティファニー スクエアを着けてアクセントをプラス。
トレンドの変化が速い昨今、常にファッション・シーンの最先端に立つための、POGGYのエネルギーの源とは一体何なのか?
「いまのことを貪欲に知りたいっていうパワーが根源ですかね。風邪をひいて熱が出た時はさすがに……という感じですけど、次の日にはもう“あれ欲しいな、これ欲しいな”という気持ちになっています(笑)。このアイテムは自分っぽい、これは面白いけど自分に似合わない、という感じでアイテムを選択しています」
今回のテーマは<コンテンポラリー>。「現代の、今日的な」という意味のこの言葉を「過去といまを結びつけようとする行為」と定義したPOGGY。「リスクを冒したくない、いまのままでいい、という古い体制ではなく、これからは昔ながらのやり方だけに捉われずに前に進んでいくことが大事だと思います」と語った。
▲デニムスタイルにイエローゴールドを合わせる新鮮なスタイル。
「服が売れない」と不振にあえいでいる日本のファッション業界。そのなかで日本に足りないもの、そして次世代の若者に期待することとは?
「若い世代のほうが、面白い感覚を持っている人が多いと思います。(日本は)先輩カルチャーが根付いていて、そういう面白い若い世代をフックアップ(紹介する、手を組むという意味)しようとする土壌があまりないので、そこが日本に足りないところではないでしょうか。そういう状況においては、若い人たちは海外で成功して戻ってくるしかない。それもまた、難しいですけどね。
例えば、ヴァージル(・アブロー)がなぜあんなに世界で注目されているかというと、ヴァージルはとにかくディレクションがうまいんです。自分が一人でデザインするわけじゃなく、ディレクションの指示をしっかりと出して、それをサポートする強力なチームがいる。本人は残った余力で、生地展などに出向くのではなく、世界中の国々でDJをしてカルチャーを繋ぐことに徹して、若い人たちをフックアップしている。彼はチームで世界に影響を与えているんです。
ほかにも、ナイキなどのスポーツブランドが、まるでアスリートを発掘する感覚で、若いデザイナーをどんどんフックアップしている状況もある。そういう流れがあるということを、日本が気づかないと今後生き残るのは難しいと思います」
異なるジャンルの衝突によって、
新しいものが生まれる
長年の経験で培った審美眼をもって俯瞰しながら、的確に現代の潮流を捉えるPOGGY。彼が”コンテンポラリー”をテーマにプレイリストを作った。
プレイリストの幕をあけるのは、彼のテーマソングともいうべき、ニーナ・シモンが1958年に録音した「I Loves You, Porgy」だ。それから、時代を大きくまたいだ前衛的な楽曲が多く並ぶ。
「ベテランのミュージシャンを中心に、それまでの彼らの音楽の方向性に収まらず、違うジャンルの音楽に挑戦している楽曲を中心に選びました。自分が好きなプロデューサーで、リック・ルービンという人がいるんですけど、彼はレコード会社「デフ・ジャム」の創設者で、ラン・DMCとエアロスミスをつなげた人でもあるんです。異なるジャンルの衝突によって新しいものが生まれた瞬間ですよね。長渕剛がレゲエに挑戦したり、風見しんごが「これは新しい!」と思ってブレイクダンスを取り入れたり……。そういうものを、年代問わずに選んでみました」
長きにわたり探究心と好奇心を失わず、ファッションという表現方法を用いていまと過去を結び続けるPOGGY。彼の目線の先には、まだまだ我々が知らない世界やアイデアが広がっているに違いない。
- I loves you Porgy / ニーナシモン
- Street Lights / カニエウエスト
- World Tribe / マルコムマクラーレン
- Encore / ジェイZ、リンキンパーク
- By The Way / レッドホットチリペッパーズ
- Strange Relationship / プリンス
- 友だちがいなくなっちゃった / 長渕剛
- Rush / ビッグオーディオダイナマイト
- Real Love-The Paradise Garage Mix
- Get Lucky / ダフトパンク、ファレルウィリアムス
- 悲しきStand-in Boy / 風見しんご
- Girls Like You / マルーン5、カーディB
- Judgment Night / バイオハザード、オニキス
- So What’Cha Want / ビースティーボーイズ
- Planet Rock / アフリカバンバーター
- Rise-Remasterd 2011 / パブリックイメージリミテッド
- Walk This Way / エアロスミス、ランDMC
- The Escapades Of Futura 2000 / クラッシュ
- Last Orgy / タイニーパンクス
- Whole Lotta Lovin’-Djemba Djemba / トラヴィススコット
※Spotifyのサイト、あるいはアプリに移動して音楽を聴くことができます。プレイリストは無料で聴くことができますが、すべての機能を利用するためには「Spotify Premium」への登録が必要です。
小木“POGGY”基史
1976 年札幌市生まれ。札幌の服飾学校を経て、ユナイテッドアローズへ入社。ユナイテッドアローズ&サンズのディレクター兼バイヤーを務めたのち、2018年に同社を退社。2018年9月より個人事務所を設立した。
Instagram:@poggytheman
お問い合わせ
TIFFANY & CO./ティファニー・アンド・カンパニー・ジャパン・インク
Tel.0120-488-712
<Style1> 時計¥570,000、ネックレス ¥795,000、ブレスレット¥725,000 〈すべてTIFFANY & CO./ティファニー・アンド・カンパニー・ジャパン・インク Tel. 0120-488-712〉 ハット、ジャケット、シャツすべて本人私物
<Style2> 時計¥460,000、ネックレス¥795,000、ブレスレット¥860,000 〈すべてTIFFANY & CO./ティファニー・アンド・カンパニー・ジャパン・インク Tel. 0120-488-712〉 ハット、ジャケット、シャツすべて本人私物