トランプ米政権の新型ウイルス対策幹部が辞任 休暇中に移動し会食
ドナルド・トランプ米政権で新型コロナウイルス対策調整官を務めているデボラ・バークス医師が22日、辞意を表明した。11月のサンクスギビング(感謝祭)休暇に、家族の集まりを企画して移動したことが明らかになったため。
バークス氏は今回、辞任の理由にサンクスギビングの集まりに関する批判を浴びたことをあげ、「この経験にへきえきしている」、「家族にも非常に厳しい状況を生み出している」と語った。
バークス氏は、世界的にも著名なエイズ研究者で、ロナルド・レーガン大統領時代からアメリカ政府で働いている。ジョー・バイデン次期政権でも職を求めていたと報じられている。
<関連記事>
ニュースサイト「Newsy」の取材でバークス氏は、辞任の期日については明らかにしなかったが、バイデン政権を助けた上で「引退する」と話した。
自粛を求めた一方で
バークス氏はサンクスギビングの数日前に、「自分の世帯だけに」家族の集まりを限定するよう国民に呼びかけていた。
しかし今月20日になって、バークス氏自身がサンクスギビングのために首都ワシントンからデラウェア州フェンウィック島に所有する家に移動し、2世帯、3世代にわたる親族と集まっていたことが明らかになった。
デラウェア州に滞在中、バークス氏はCBSの取材に応じ、一部のアメリカ人がサンクスギビングに移動するという「間違いを犯している」と話した。また、こうした人たちは「感染していると思うべきだ」と述べていた。
家の売却準備で移動
アメリカの疾病対策センター(CDC)はかねて、休暇中に移動しないよう国民に呼びかけている。
また、新型ウイルスの感染が広がる中、別の世帯の人と屋内で集まるのは危険だと警告してきた。
バークス氏はデラウェアの家を売却する準備があって移動したと説明していたが、そこで親族と食事をしたことを認めている。
「とても難しい問題」
Newsyの取材でバークス氏は、夫と娘、娘の夫、そして2人の孫と集まったことについて、「娘はこの家を10カ月間離れていないし、両親は10カ月間、隔離生活をしている」と述べた。
「みんながとても気落ちしていた。多くの高齢者が息子や孫娘の顔を見られず、同じような気持ちだったと思う」
「私の両親ももう1年にわたって息子の顔を見ていない。こういうのはとても難しい問題だ」
AP通信によると、バークス氏はメリーランド州にも家を所有し、こちらには両親が住んでいる。バークス氏は時折この家を訪れているという。