軽症だった女性が苦しみ続ける“コロナ後遺症”「説明できない味…」退院からは4か月
更新:2020/12/23 17:37
新型コロナウイルスに感染した人のうち『約半数に後遺症がある』ということが、和歌山県の調査でわかりました。「味覚と嗅覚が戻らない」と訴える大阪の女性を取材しました。
■「味覚と嗅覚」半分も感覚戻らず■
大阪府内に住む30代の女性Aさん。8月に新型コロナウイルスへの感染が判明、軽症と診断されました。入院は約1週間でしたが、当初から味覚と嗅覚が完全に失われ、退院から4か月が経った今も、半分も感覚が戻っていないといいます。
(8月に感染した30代の女性Aさん)
「お米の甘味とかは、そんなないですね。」
この日の食事は肉やエビフライでしたが…。
(Aさん)
「(肉は)全部本来と違う味がして、その味は全て同じ。何と言ったらいいのか、本当に説明できない味ですね。まずいです。リンゴは“甘い”っていうことしかわからないですね。リンゴの味っていうのがしないですね。」
味噌汁の濃さや薄さはだいたい感じ取れますが、味噌や具材の味は分からないことが多いといいます。さらに“におい”についても…。
(Aさん)
「コーヒーはおいしそうなにおいではないですね。なんか独特なにおい。すごく苦味が強そうなにおいみたいな…。」
食欲がないわけではないものの、味覚と嗅覚がないからか食は進まず、この日も半分以上を残しました。
(Aさん)
「(耳鼻科で)『もしかすると前の味覚が戻らないかもしれない』というふうに言われたときは、不安が大きくなってしまって…。こうやって長引いて治らないんだったら、それは果たして軽症なのか。」
■半数近くが「何らかの後遺症」■
和歌山県が退院から2週間以上が経過した163人を対象に調査したところ、半数近くの46%が「何らかの後遺症がある」と回答。症状は嗅覚障害が最も多く30人、倦怠感が26人、味覚障害が20人、呼吸困難感が20人でした。また、記憶障害を訴える人もいました。
(和歌山県福祉保健部 野尻孝子技監)
「コロナというのは侮れないなというふうに思いました。若い人が軽症で経過するけれど、後遺症の問題があるので、予防は大事ですよというメッセージを発したかった。」
■後遺症のある患者の現状に警鐘■
“コロナ後遺症”の相談を1日50件ほど受けている「ヒラハタクリニック」(東京・渋谷区)の院長は、後遺症のある患者が精神的に追い詰められているといいます。
(ヒラハタクリニック 平畑光一院長)
「職場に行っても『PCR検査で陰性になったから働けるだろ』と言われてしまうことがある。本人としては、『こんなにつらいのにどうしたらいいんだ』となってしまって、非常に孤独感を抱く。今の状況は非常に危険だと思います。」