唐津市社協などが協力し、こども宅食に取り組むリヒテラの靈山侑菜さん=唐津市の高齢者ふれあい会館りふれ

菓子や米など段ボール

 コロナ禍で収入が減り、経済的に苦しくなる世帯が増える中、支援を必要とする子育て世帯に食品を届ける「こども宅食」が、県内で広がりを見せている。唐津市では自営業靈山(よしやま)侑菜さん(32)が、10月から支援を始めた。

 こども宅食は、3年前から認定NPO法人フローレンスが東京都文京区で開始。18歳以下の子どもがいる家庭に食品を配達し、相談を受けて必要な機関につなぐ取り組みをしている。県内では一般社団法人こども宅食応援団(佐賀市)の助成を受けて7団体が活動している。

 靈山さんは市内の寺に嫁ぎ、以前から活動団体を通してお供え物の菓子を寄付する支援をしていた。一方で「送り先の家庭との接点がなく、本当に喜んでもらっているのかな」と感じていたという。

 宅食の活動を知り、顔を合わせる支援に共感して活動組織「LihiTerra(リヒテラ)」を発足。市社会福祉協議会の協力で支援先が決まり、米や菓子、化粧品など段ボール一つ分を4世帯に届けている。

 物資は地元農家や寺など六つの企業・個人から提供を受け、月1回ほどのペースで届ける。靈山さんは「唐津で起きていることは唐津で解決したい。どんな困り事や状況にあるかを直接話し、孤立化を防ぎたい」と力を込める。

 唐津市社協によると、新型コロナによる休業・失業者への貸し付け件数は3月末から700件(県内の合計は約4800件)を超え、経済的な厳しさを抱えた家庭が増えている。こうした背景から県内ではこれまで佐賀市が中心だったが、唐津市のほかにも伊万里市、小城市、神埼市、吉野ケ里町を届け先とする計7団体に活動の輪が広がっている。(横田千晶)