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 茨城県城里町の備品購入で、必要な議会の議決を経ずに契約していた問題で、町が契約に関係する文書を廃棄していたことがわかった。本来作るべき廃棄記録を作成せず、保存期間前に廃棄した疑いが指摘されている。町は保存期間については「適切に対応している」としているが、識者からは疑問の声が上がる。

 廃棄処分したのは、2017、18年度の運動器具設置や救急車購入、給食用食器洗浄機購入の契約計3件に関する入札参加資格審査申請の書類。今月の町議会で、町が町文書整理保存規程の「3年保存」の文書に該当するとして「3年を経過し廃棄処分した」と答弁した。同規程では保存期間について「文書が完結した翌年度の4月1日から起算」としているため、町議から「3年を経過していないのでないか」との質問が出ていた。

 町の説明では、入札参加資格は2年更新で、17年3月31日に申請を締め切り、同年6月1日に許可した。上遠野修町長は「更新の2年が経ったら前の申請書は実務的には必要なく、廃棄している」とし「締め切りの17年3月31日に文書が完結したとの認識で、保存は今年3月31日までで問題ない」と説明する。

 NPO法人「情報公開クリアリングハウス」の三木由希子理事長は、申請書は許可の前提となることから「申請書と許可した文書を一体として保存することが常識的な対応だ。その場合は許可した段階が完結となり、来年3月31日までが保存期間の可能性がある」と指摘。その上で「実務上の要否だけでなく、規程や情報公開条例の趣旨を踏まえて整理・保存することが重要だ。業務単位で経緯がわかるように保存しないと、説明責任が果たせなくなる」とする。

 一方、公文書を廃棄処分した際に記録する一覧表が作成されていないことが、町議らの情報公開請求でわかった。町総務課は「廃棄した文書の把握ができていない状況になっていた」とし、「今後、廃棄リストを作成するよう改善する」と答えた。

 この問題をめぐっては、町条例では予定価格が700万円以上の財産の取得は、議会の議決が必要と定めているが、3件の契約の経費は約1400万~3千万円にもかかわらず議決を経ていなかった。町議らは情報開示を求めており「疑念が出た時に、廃棄して説明責任を果たせないのは問題だ」と訴える。(片田貴也)