大内裕和中京大教授による悪質な盗用について研究倫理違反で告発したところ、同大予備調査委員会は「本調査不要」との結論を出した。問題の著作物の多くは科研費(政府助成金)を使ったものだったので、研究費の不正受給にあたるとの告発も行ったが、これもまた同様に「本調査不要」と結論づけた。
これらの「調査」結果や調査態勢について筆者が大学に問い合わせたところ、以下の回答がもどってきた。
【回答内容】
(質問1 異議申し立ての手段について)
本学の研究活動不正に係る告発は関連規程に基づいて運用されていますが、予備調査結果に対する異議申し立ての手続きは規程に定められておりません。(質問2 文書の開示を求める手続きについて)
予備調査に関する文書の開示につきましても、その手続きは規程に定められておりません。(質問3 委員の構成を教えてほしい)
予備調査委員の開示につきましても、その手続きは規程に定められておりません。中京大学 研究推進部 研究支援課
築山 暁仁(内線 ●●)
TEL:●
Mail:●
調査に関する文書の開示はおろか、予備調査を行った調査員の氏名すら開示できないというのだ。
やむなく、情報公開制度について担当部署の広報課に問い合わせると、利害関係者しか請求できないのだとして、手続きに必要な書式を送るのもためらうといった有様だった。
もはや訴訟しかないのかと思案していたところ、読者の方から貴重な情報をいただいた。文部科学省のガイドラインには、予備調査の資料について、「告発者の求めに応じて開示」するよう定めているという。たしかめてみると、たしかにそのとおりだ。
4-2 告発に対する調査体制・方法
(1)予備調査
4 本調査を行わないことを決定した場合、その旨を理由とともに告発者に通知するものとする。この場合、調査機関は予備調査に係る資料等を保存し、その事案に係る配分機関等及び告発者の求めに応じ開示するものとする。
「予備調査に関する文書の開示につきましても、その手続きは規程に定められておりません。」
「予備調査委員の開示につきましても、その手続きは規程に定められておりません。」
という大学の説明と矛盾する。
これはどういうことなのか。さっそく以下の質問を大学にメール送信した。回答があり次第報告したい。
中京大学研究倫理担当御中
お世話になります。大内裕和教授に関して私が貴大学に行った告発(研究倫理違反および研究費不正使用に関するもの)について、それぞれ、本調査をしない旨の通知をいただきました。この予備調査に関して貴大学が保有する文書の開示方法、ならびに調査委員の氏名をお尋ねしたところ、いずれもそのような制度はないとのご回答をいただきました。
しかしながら、文科省の「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」は、告発者などの求めに応じて資料等を開示するよう定めています。貴大学の上記対応はこのガイドラインに反することにならないのでしょうか。いま一度ご検討の上、回答願います。
三宅勝久