部屋を快適にするためにエアコンは欠かせないもの。しかし掃除をしなければエアコンの中でカビ・汚れが発生し、放っておくと健康被害や故障の原因にもつながります。掃除方法を知り、定期的にお手入れしましょう。今回はエアコン掃除の流れや必要な道具について写真付きで紹介します。
住まいを快適に保つために必要な「エアコン」ですが、久しぶりに運転させたときに変なにおいがしたことはありませんか?
これは内部の「汚れ」や「カビ」によるもので、放置しておくと健康被害を発生させる可能性があるだけではなく、故障の原因にもつながります。
今回は、エアコン掃除の方法や、自分でできる分解作業・必要な道具についてご紹介していきます。
実際に掃除した際の写真付きですので、参考にしてくださいね。
エアコン掃除は大がかりと思われがちですが、掃除機などを使って簡単にできる部分もありましたので、気軽に始めてみましょう!
エアコンを掃除する意味は?放置しておくとデメリットも!
エアコン掃除、面倒くさそうでなかなか手が出せないという方も多いはず。ですが、汚れを放置したままエアコンを動かすのは注意が必要です。
まずはエアコンの仕組みと、掃除せず放置するとどんなデメリットがあるのかについてお話ししますね。
エアコンの仕組み
筆者が作ったエアコン室内機の図解です。
エアコンは、
室内の空気を、吸気口からフィルターを介して吸い込む
→熱交換機(フィン)で冷やしたり温めたりする
→送風ファン経由で吹き出し口から排出する
この流れで部屋の温度を変化させます。
デメリット① エアコンのほこりが電気代アップの原因に
上の図で解説したように、エアコンは室内の空気を吸い込んで温度変化させ、吸い込んだ空気の中のホコリはフィルターにより中に入りにくい構造になっています。
フィルター掃除をせずに放置すると目詰まりして吸引力が落ち、より強い力で空気を吸い込む必要が出てくるため、電気代がかかってしまいます。
ちりも積もれば大きな金額になるため、定期的に掃除を行うことが省エネにつながります。
デメリット② エアコン内のカビによる健康への不安
カビは、
・20℃~30℃の温度
・湿度70%以上
・栄養源がある(ホコリなど)
この3点の要因が重なると特に繁殖しやすくなり、エアコンの内部環境はこの条件を満たしやすいです。
カビが室内に放出されて人が吸い込むことで、感染症にかかる、中毒症状・アレルギー症状が出るなどの不安もあります。例えば、エアコンをつけてせきが止まらなくなったり、発熱やけん怠感があったりするなら、カビが原因のアレルギーの可能性もあるのです。
健康被害が出る前に、掃除をすることで予防しましょう。
カビを抑えるための予防方法
カビの発生を抑制させるためには、3つの要素(温度・湿度・栄養源)のどれかを無くすように心がける必要があります。
カビの栄養源を減らすためにも、普段から掃除を行うことが大切なのです。
また、部屋の空気を循環させ湿度を下げるために、窓を開けて換気をしたり、定期的に送風運転や扇風機で風を当てたりすることも重要です。
エアコン掃除は自分で分解もできる?
それではここからは、具体的にエアコンのどのパーツを自分で分解して掃除できるのかについてご説明しますね。
自分で分解・掃除できるパーツ
エアコンは複雑な構造をしていますが、中には自分で分解して掃除できるものもあります。
・フィルター
・ルーバー
・カバー
上記のパーツは比較的簡単に取り外すことが可能です。用意するものはプラスドライバーのみ。
自分で分解できる部品は、ときどき水洗いして乾かすだけで空気がきれいになり、気分よく爽やかに過ごせますよ。
フィルター
フィルターはフィン前面に設置されており、空気中のホコリをキャッチする場所であるため、放っておくとすぐに汚れがたまります。
特に頻繁に稼働させる時期には、2週間に1回はフィルターの掃除をしましょう。
ルーバー
空気のはき出し口に設置されてあるルーバーも簡単に外せます。
エアコン内部に発生したカビの胞子を含んだ空気は、ルーバーに当たり室内中に放出されるため、ときどき水洗いをしましょう。
カバー
カバーは2~3本のビスとフックで留められているだけなので、コツをつかめば簡単に取り外せます。裏側は空気が滞留しやすくカビの温床になりますので、定期的に外して洗うとよいでしょう。
外し方は、この後の「エアコンを掃除する手順」で詳しく解説します。
エアコン内部はプロに頼んだ方が安心
エアコン内部にあるフィン・ファンなどは、できるだけプロのクリーニング店に依頼したほうが安心です。
取り扱いに慣れていないと、
・パーツを元に戻せなくなる
・掃除が不十分だと、かえってカビを繁殖させる結果につながる
・電源部に水をかけてしまうと故障や火災の原因となる
このような危険があり、扱いに十分な注意が必要だからです。
今回はエアコン内部の掃除の様子もご紹介しますが、少しでも不安を感じる場合は、無理せずにプロに頼みましょう。
自分でできるエアコンの掃除の仕方
さて、それではいよいよ、実際にエアコン室内機の掃除の流れを見ていきましょう!
今回は一般的な壁掛けエアコンの掃除を実施しました。
自宅のエアコンは何年も掃除をしていなかったため、内部にはカビとホコリが充満しています。ファンとフィンも自己責任と割り切り、養生と洗浄に気をつけながら慎重に掃除しました。
掃除道具はなるべく家にあるものを使い、手順ごとに気をつけるポイントをまとめています。
エアコン掃除に必要な道具
①古歯ブラシ
古歯ブラシは、フィルターやフィンなど細い部分に詰まったホコリを掃き出すときに使います。新品のものだとブラシが固く素材を傷める可能性があるため、やわらかくなったものを使いましょう。
②タオル数枚
タオルは、きれいに洗ったあとのカバーや吹き出し口を拭くときに使います。また、仕上げの送風運転の際には、吹き出し口に当てて残り水が飛び散らないようにします。
何枚か用意しておくほうがよいでしょう。
③中性洗剤・重曹・エアコン用クリーナー
フィルターなどのほこりは物理的な汚れなので、水洗いで十分にきれいになります。
キッチンの近くにあるものは、油汚れを吸い取っている可能性があるため、中性洗剤を溶かした水に漬け置きすると汚れが浮いてきて落ちやすくなるでしょう。
においが気になる場合は、重曹を使いましょう。
今回は自分で内部フィンとファンも掃除してみますが、こちらは専用の洗浄剤を使用します。
④プラスドライバー
プラスドライバーは、カバーを外すときや手の届きにくい奥の方を掃除する場面で使います。
⑤ゴム手袋・ビニール手袋
掃除のときには、ゴム手袋もしくはビニール手袋をしましょう。ファンやフィンを洗浄するクリーナ―には「界面活性剤」が含まれているものもあり、直接薬剤に触れると肌荒れを起こす可能性があります。
⑥踏み台
高い場所での作業になるため、足元が広く安定した踏み台を用意しましょう。今回の掃除ではちょうどよい高さの机があったため、そちらを使用しました。
⑦掃除機
掃除機はフィルターやフィン部分についたホコリをとるために使います。掃除機のノズルは先にブラシが付いた細いタイプのものが使いやすいでしょう。
⑧加圧スプレー
加圧スプレーは農作業用としてホームセンターで販売されているものを選びました。
なるべくボトルに入る水の容量が大きく(500ml程度)ノズルの先が細く長いものが使いやすいです。また圧力をかけやすい仕様のものにすると手も疲れないでしょう。今回使ったものは容量が小さく何度も水を入れる手間がかかり大変でした。
洗浄剤で汚れを浮かせた後に、洗浄する際に使用します。
⑨マスカーフィルム・養生テープ
マスカー・養生テープは、エアコンファンを洗浄するときに出る汚水を受けるための養生に使います。マスカーはビニールの先に養生テープが付いたもので、比較的簡単に作業ができます。
今回はビニール幅が1100mmのサイズのものを使用しました。
⑩新聞紙・ビニール
洗浄のときには水を使うため、丁寧に養生を行わなければ水浸しになります。水が伝っても安心であるように、新聞紙とビニールで二重養生をしましょう。
⑪除菌シート
フローリング用の抗菌ウェットシートは取り外しができない部品を拭くときに重宝します。フィンやルーバーなどの一次洗浄や、手の届かない部分の拭き取りに使います。
⑫バケツ2つ
バケツは、ファンの洗浄を行うときに必要です。一つは汚水をためるために、もう一つは洗浄水としてあらかじめ用意しておきましょう。
何度も洗面所に水を汲みにいかなくてもよくなるため、作業効率が上がります。
⑬マスク・ゴーグル・作業用服
クリーナーをスプレーすると洗浄液やカビなどが飛び散るため、マスク・ゴーグル・ビニール製の作業服を用意しておきましょう。
洗剤液の作り方
フィルターやカバーは基本水洗い+メラミンスポンジや古歯ブラシなどで十分に汚れが落とせます。
キッチン近くのエアコンで油汚れがひどい場合は、シンクに水1リットルに対し台所用中性洗剤をひとまわし程度混ぜた洗剤液を作り、30分~1時間ほど漬け置きするのがおすすめです。
エアコンを掃除する手順
エアコン掃除を行う際の「効率のよい順番」と「特に気を付けた方がよいポイント」をまとめました。作業前にチェックしていきましょう。
①コンセントを抜く
まずは、エアコンのコンセントを抜きましょう。掃除をしている間に誤って作動した場合、大ケガをする恐れがあります。
②足場を固める
安定した足場を設置します。高いところで見上げながら作業を行うため、広いスペースを確保できるようにしましょう。
脚立であれば、開き止め金具を必ずロックして最上段で作業をしないようにします。
③フィルターのホコリを掃除機で吸う
前面のカバーを開けるとフィルターが取り付けられています。取り外す前に軽く掃除機でホコリを吸い込むと床を汚さずに済みます。ハンディーモップがあればそれを使ってもよいでしょう。
掃除の際は、ブラシ付きノズルがあればとても便利ですよ。
④部品を外す(カバー・フィルター・ルーバー)
フィルターを外すときには特に工具は必要ありません。写真の赤丸で囲んでいる場所の取っ手をつまんで、下に引き出すように取り外します。
ルーバーは、真ん中から両端の順で外していきましょう。少しルーバーをたわませながら外すと簡単に取れます。
カバーを外すにはプラスドライバーを使います。機種によって違いはありますが、だいたいルーバー下の両サイドにあることが多いです。
化粧目隠しカバーで隠されているので、カバーを開けてビスを取り外します。
次に、電源部の目隠しプレートのビスを取り外します。この状態で少し下に引っ張り下部を浮かせてから上に持ち上げて取り外します。
⑤部品の掃除(フィルター)
フィルターのホコリは表側にたまるので、ホコリを取るときは裏から水をかけましょう。
裏面から古歯ブラシで、細かい網目部分に詰まっているホコリを取り除きます。目に沿うように軽くこすりましょう。
乾いたタオルで軽く拭いてから、天日干しします。濡れた状態で取り付けるとカビが発生する原因となりますので、十分に乾かしましょう。
⑥部品の掃除(カバー・ルーバー)
カバーの裏面にカビが生えていました。メラミンスポンジで軽くこすりながら水洗いします。
洗った後は乾いたタオルで軽く水滴を拭き取り、天日干しします。
⑦養生
フィルター・カバーを乾かしている間に内部部品の掃除をします。
まずはエアコン周辺の養生を行います。一番大事なポイントは「電源部に水がかからないようにすること」。
エアコンの心臓部であり、水がかかると故障や火災の原因になります。周りをマスカーで完全に覆い、フィンと電源部の間は配線や配管が複雑に接続されてあるためビニールを丸めて詰めておきましょう。
コンセント部分もしっかり養生をします。
天井と両サイドの養生を行います。
エアコンの下部養生は特に大切なポイントです。ファンの水洗いをするときに流れてくる汚水をバケツに受けるようにします。下部にビニールを伸ばしたらその両端をつなぎ合わせるように養生テープで留め、汚水貯めを作ります。
横に飛び散った水も汚水貯め部分から下に落ちるように、両サイドのビニールも真ん中に集約させて留めます。
汚水貯めの下部を少し開けておいて、ビニールひもなどで汚水をバケツにうまく流れるようにしましょう。
養生のポイントは、汚水で養生が剥がれ落ちないようにしっかり行うことです。水に濡れていると再度取り付けが難しくなるためです。
汚水貯めも広めに作っておくことが大切です。水が流れ出すとビニール同士がくっついて汚水が外に落ちてしまう可能性があります。
⑧フィンの掃除
フィン部分にホコリがたまっている場合は、あらかじめ掃除機で吸い取るとよりきれいになります。
今回は「エアコン内部クリーナーシュ!シュ!」(株式会社ケミコート)を使用しました。主な成分は電解アルカリ洗浄水で水洗いが不要なので、電源部に水がかかる心配も少なくて済みます。
洗浄水1本分を全体にスプレーし、しばらく置いて完了です。
⑨ファン・吹き出し口の掃除
風向調節板などファン周りの部品をウェットシートで軽く拭きます。プラスドライバーを使うと奥の方の掃除がしやすいですよ。
ファンの掃除には、洗浄力がある「くうきれいエアコン内部洗浄剤」(ショーワ株式会社)を使いました。
まずはムースをファン全体にくまなく吹き付けます。少しずつまわしながら泡をつけていきましょう。1本全て使い切ったら30分ほど置いておきます。この間に汚れが浮いてきます。
⑩ファンの水洗い
泡がファンに十分になじんだら水洗いしていきますが、これが一番大切で大変な作業です。
泡には界面活性剤が含まれているため、十分に洗浄しなければカビの餌となり、さらに多くのカビが生える原因となります。泡が完全に落ちて汚水が出てこなくなるまで約2時間かかりました。
洗浄中には、真っ黒な汚水が次から次へ出てきました。最後には、専用のリンスをファン全体にスプレーして完了です。すっかりきれいになりました。
⑪拭き取り
きれいなタオルで、周りの水滴を拭き取りましょう。
⑫養生外し
養生を外していきます。ビニールに汚水がたまっている場合があるので、注意しながら外します。
⑬部品の取り付け
乾かしておいたフィルター・ルーバー・カバーを取り付けます。
⑭送風運転による乾燥
電源を入れて、送風もしくは冷房(除湿でも)運転をします。始めの方は内部に残っている水が飛び散る可能性があるため、吹き出し口にタオルをかぶせておきましょう。水が出てこなくなったらタオルを外し、窓を開けて2~3時間運転し続け完全に乾かします。
⑮片付け
ゴミをまとめて完了です。すっきりときれいな空気が出てくるようになりました。
プロに依頼するには?
見えない場所や手の届きにくい部分は、プロのクリーニングにお願いするほうが安心でしょう。
ここまでエアコンの掃除方法を写真付きで解説しましたが、「やっぱり自分でやるのは難しそう……」「きちんと掃除できるか自信がない」と感じた方も、無理せずプロに依頼するのをおすすめします。
インターネットでも「ハウスクリーニング」で検索すると多くのお店が紹介されています。所在地や実績・金額・対応の仕方など複数のお店を比較して選びましょう。
プロだからこそできるクリーニングで、内部の細かい部分まで丁寧に洗浄・抗菌作業を行ってくれますよ。
まとめ
エアコンは、室内の空気を冷やしたり温めたりすることで部屋を快適な温度に調整する電化製品で、今や私たちの生活に欠かせないものです。
しかし定期的に掃除をしなければ、エアコン内部にホコリがたまることでダニの温床になったり、運転効率が下がり電気代アップの原因となります。
簡単にできることは自分で、ときどきプロの力も借りながら定期的に掃除をしましょう。
お金や健康不安が解消し、日々快適に過ごせますよ。