清武弘嗣選手が経験した苦い全少での思い出と父の熱き教え【前編】
2013年07月08日
インタビューカリスマ指導者に息子たちを託す
「私が大分大学を出て、津久見市の保戸島小学校でサッカー指導を始めた最初の頃、練習試合に行った大分市の大志生木小学校で、キャプテンを務めていたのが由光だったんです。私は何千、何万という小学生と接してきましたが、あんなにキャプテンらしい子どもはあいつしか知らない。味方にも平気で檄を飛ばすし、闘争心を前面に押し出すしね。あんな雑草魂をもった選手はめったにいませんよ。その由光が長男の勇太を連れてきたときには本当に驚きました」と新庄総監督はしみじみ話す。
由光さんにとっても、新庄総監督のインパクトは非常に強かった。小学6年生時に対戦した際も「保戸島小の先生は、赤鬼みたいに怖い人や」と子ども心に感じていた。
そのカリスマ指導者と約20年ぶりに偶然、再会を果たしたのだから、何かの因縁としか言いようがない。長男・勇太さんを連れて明治北SSCへ行った際、「あの人は保戸島の赤鬼や」と由光さんはすぐわかった。かつて異彩を放っていた名将に自分の子どもたちを託すのは運命だと直感した父は、3人の息子を次々と新庄総監督のもとに通わせた。
清武は少年団時代の生活をこう振り返る。
「練習はほぼ毎日でした。学校が終わってから暗くなるまで、ほとんどゲームばかりやっていました。僕はサッカーが好きで楽しくて仕方がなかったんで、朝から晩までやっていてもいいと思うくらい純粋に、何も考えずにボールを蹴っていました」
弘嗣少年は生粋のドリブラーだった。体は小さかったが、ちょこちょこした動きが得意で「ボールをもったらすぐドリブル!みたいな子どもだったんじゃないかな」と本人もテレ笑いを浮かべるほどだった。その一挙手一投足を目の当たりにして、新庄総監督は「この子はただ者ではない」と直感した。すでに永井、三浦淳宏といった選手を育てていた名将には、弘嗣少年がいかに非凡なセンスを持ち合わせているのか、ハッキリとわかったのだ。
「秀樹は相当なテクニシャンで、相手をかわすのが上手だった。ネイマール(ブラジル)みたいなイメージの選手。淳宏はメンタルとフィジカルの強さを兼ね備えていて、キックが魅力でした。ただ、サッカーで飯を食うようになるとは思いませんでしたね。自分でハードルを乗り越えていったんでしょう。藤田優人もあまりセンスは感じられなかったけれど、どんな環境にも耐えられる我慢強さがあった。今もすごい頑張り屋だと思います。
そういう先輩たちと比べても、弘嗣は群を抜いてうまかった。秀樹もテクニックはあったけれど、弘嗣ほどのカミソリ感はなかった。ドリブルをさせたらホントに鋭かったですね。イメージも創造性も豊かだし、集中力もケタ外れ。底知れぬ潜在能力を感じました」
僕らがサッカーボーイズだった頃
プロサッカー選手のジュニア時代
香川真司、岡崎慎司、清武弘嗣……
『プロ』になれた選手には、少年時代に共通点があった!
本人と、その家族・指導者・友人に聞いたサッカー人生の“原点”
【著者】元川悦子
【発行】株式会社カンゼン
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