源義経=チンギス・ハーンの同一人物説のみならず、欲張って満州族の清朝皇帝家まで源義経=チンギス・ハーンの子孫にされてしまいました。本の中では「モンゴル族の後裔は満州族」みたいな曖昧な根拠で血の繋がりがあることになっていますが、実際のところ、モンゴル族の後裔は満州族だといわれているのは、十七世紀まで細々と続いていたモンゴル帝国をホンタイジが滅ぼしてハーン位を簒奪したため。私はこの知識を荒山徹著『柳生大戦争』で教えていただきました。
「成吉思汗の秘密」はまだおとなしい方で、明治の末松謙澄はまだ清朝が滅んでいない(日清戦争もまだ)時点で、源義経とチンギス・ハーンは同一人物で、チンギス・ハーンの子孫から満州族の清朝皇帝家が出たと主張していたりします。まだ存在する他の国の支配者の御先祖さまを勝手に異民族の英雄に認定した上、その異民族の英雄は実は日本人だったというんだから、むちゃくちゃアクロバット。モンゴル人と中国人(満州族)の御意見をうかがいたいです。