英国で感染の広がる新型コロナウイルス変異種を警戒する動きが世界中で拡大し、BBC放送によると、欧州や北中南米、中東、アジア、北アフリカの40以上の国・地域が21日までに英国からの入国・入域制限を決めた。世界保健機関(WHO)は「現時点で重症率を上げるとの根拠はない」としながらも、従来の新型コロナ同様に感染対策の徹底が重要だと呼び掛けた。

欧州連合(EU)欧州委員会は21日、米製薬大手ファイザー製ワクチンの販売を承認、加盟国で27日以降に接種が始まる見通しとなった。今回の変異種にも効果があるとされ、英国では既に接種を開始。欧州で変異種を含め、新型コロナ抑え込みが本格化する。

ジョンソン英首相は21日の記者会見で既に50万人の国民がワクチン接種を終えたとし、感染収束に自信を表明。接種対象を増やし来春までに「別世界を迎えるのを楽しみにしている」と述べた。

同席した英政府のバランス首席科学顧問は、変異種は11月以降に感染が急増したロンドンにとどまらず「国中に広がっている」と指摘。クリスマスを前に行動を控えるよう国民に警告した。

英メディアによると、呼吸器系の新興ウイルスの専門家らでつくる英政府の諮問グループは21日、変異種について、因果関係の立証はまだだが、現状のデータから「子供の方が感染しやすい傾向がある」とした。

EUは、英国との航空路の制限などを巡る協調対応に向け、21日午前から大使級会合を開いたが、調整が長引いている。

欧州諸国のほかに英国からの航空便の受け入れ停止などを決めたのはロシアやカナダ、モロッコ、チリ、インド、香港など。中東のオマーンは全ての出入国の一時禁止を発表した。(共同)