「平等な医療が風前の灯に」「新規感染者を何がなんでも減らして」 医療関係団体が“医療緊急事態宣言”

 21日、日本医療界のトップらが合同会見を開き、日本医師会の中川俊男会長はひっ迫する医療現場の窮状を訴えるとともに「医療緊急事態宣言」を発した。

【映像】医療関係団体が「緊急事態宣言」

 本格的な冬を迎え、全国で新型コロナウイルスの感染者数が急増していることに中川会長は「連日過去最多を更新し、重症者数も増えている。この結果、全国の医療提供体制はひっ迫の一途を辿っている。新型コロナの医療だけではなく、がん、心臓病、脳卒中をはじめ、通常の疾患の治療も後回しになることが起きてきた」と指摘。

 治療には病床の確保だけでは不十分で、医師や看護師、薬剤師など多くの医療従事者が関わって成り立つとし、「そんな余裕もなくなってきた。国民皆が公的な医療保険に加入し、誰もが平等に医療を受けることができる、日本が誇る医療制度が風前の灯になっている」と危機感をあらわにする。

 その上で、今やるべきは「新規感染者を何がなんでも減らすこと」だといい、「日本の全国民が一丸となって、基本的な感染防止を徹底すること。国民皆で新型コロナウイルスに真摯に真正面から向き合おう。正しく知って、正しく恐れる。不安を合理化したり、不安をごまかすのはやめよう。自分だけは感染しないんだと思うこともやめよう。いつどこででも感染は起こりうる。無症状の方が、家族や友人、大切な人に感染させているかもしれない。“感染しない、感染させない、うつさない、うつらない”を合言葉に静かに過ごし、クリスマス、年末年始を乗り切ろう」と呼びかけた。

 また、政府・政治家へもメッセージを発し、「批判や牽制ではなく、建設的な議論に限られた時間を費やそう。政府の皆さん、未知の感染症に対して政策を度々変更することに躊躇する必要はない。遅きに失したということもない。勇気を持って早め早めの対策を打ち出してほしい。我々が以前から申し上げているように、万全の感染対策こそが、結果的に最強の経済対策だ」と述べた。

 その上で、「われわれ医療関係者は新規コロナ感染症の方の命を救う使命がある。通常の医療で救える命を救う使命がある。そして、過酷な医療現場で献身的に頑張っている仲間を守る責務がある。全国の皆さん、過酷な医療現場に思いを馳せてください。一人ひとりができる対策を全部実行してください。コロナに大手を振って新しい年を迎えさせるわけにはいかない。本日、我々医療関係団体は医療の緊急事態を宣言する」とした。
(ABEMA NEWS)
 

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ABEMA TIMES ニュース編集部

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