新型コロナウイルスの感染拡大は止まらず、全国で医療提供体制が逼迫(ひっぱく)しつつある。コロナ対応で病床が足りず、救急患者を受け入れられない事態も発生。第1波から診療を続けるNPO法人「災害人道医療支援会」常任理事の夏川知輝医師(45)が20日までに共同通信の取材に応じ「今は高齢患者が多く、医療への負担が大きい」と緊迫する現状を語った。
夏川さんは大阪府の総合病院で救急医として働く。12月上旬時点で1日当たり約30人の発熱患者が来院し、うち2人ほどがコロナ陽性と診断される状況だ。
冬場はさまざまな病気が悪化しやすく、患者が増える。この病院は一定数のベッドを中等症のコロナ患者用に確保しているため病院全体で余裕がなくなり、「12月に入ったころからベッドが空いていなくて救急患者を断ることが増えた」。
コロナ重症者は基本的に受け入れていないが、大阪府内の逼迫状況を受け、一般の重症者用ベッドを1床だけコロナの重症者専用とした。人工呼吸器などが不足する恐れもあり、他の大きな手術の延期を検討するケースが出始めているという。
医療従事者の負担も増す。「最近は70~80代の認知症患者が多く、介助をする看護師の負担が増えている」と夏川さん。高齢者はコロナの症状が治まっても体力回復が遅く、入院期間が長引く傾向がある。
勤務先で医師や看護師の離職は起きていないが、給与面の処遇は十分とはいえない。夏川さんもボーナスが75%カットに。「行政は医療機関に助成金を支給しているが、病院の収益が減少しているため、職員の給料に反映されにくい。医療従事者にも届く仕組みにしてほしい」と訴える。
市民の行動も重要だ。コロナ疑いで受診する人の大半が厚生労働省のスマートフォン向け接触確認アプリ「COCOA(ココア)」をインストールしていない。夏川さんは「感染拡大を防ぐためできるだけインストールしてほしい。医療が逼迫している時期は飲み会も控えて」と呼び掛ける。(共同)