到着後、機体の前で記念写真に納まる生徒と日本航空のスタッフ=成田空港で2020年12月23日午後3時3分、中村宰和撮影

 新型コロナウイルスの影響で修学旅行が中止された千葉県多古町立多古中学校の3年生100人が23日、代わりの行事として、成田空港を発着する日本航空の周遊フライトを楽しんだ。富士山の上空を回って1時間38分飛行し、生徒たちは空からの絶景を眺め、「思い出になった」と喜んでいた。

 搭乗口で、生徒3人が搭乗アナウンスを体験し、「日本航空のご利用、ありがとうございます」「感染防止のため間隔を空けてお並びください」と呼び掛けた。日航の国際線仕様のボーイング767に乗り込むと、客室乗務員が「すてきな思い出づくりをお手伝いします」と出迎えた。離陸直後に同中の校舎が見え、東京スカイツリーや東京ドーム、新国立競技場を眺め、中央アルプスや南アルプス、浜松、太平洋、九十九里浜の上空を回った。

 航空機に初めて乗った生徒も多く、友人同士でおしゃべりしながら窓からの景色を楽しみ、写真を撮影し、座席のエンターテインメント設備を利用していた。柴田陽菜(はな)さん(15)は25日が誕生日で、「誕生日のプレゼントになった。修学旅行の中止は残念で、行事も例年通りに実施できなかったけれど、みんなで協力し合って絆を深めることができた」と話した。21人が抽選に当たってビジネスクラスに座り、川口太士さん(15)は180度の水平になるフルフラット機能を試し、「快適なので少し寝てしまった。空の偉大さにとても感動した」と喜んでいた。

周遊フライトを楽しむ生徒たちと、ポーズを取る日本航空の客室乗務員や整備士=機内で2020年12月23日午後2時4分、中村宰和撮影

 同中は5月に予定していた米グアムへの修学旅行を中止した。代案の10月の福島訪問は、もし滞在先で生徒の感染者が出た場合に家族が現地まで迎えに行かなければいけない事態を懸念して取りやめ、航空機に乗る小旅行に切り替えた。到着後、生徒たちは成田市内のホテルでテーブルマナーを学んだ。会場で、グアムにある日航の支店からのビデオメッセージが流され、スタッフが観光名所を紹介して「新型コロナが収まったらぜひ遊びに来てください」と呼び掛けた。

 山武市や横芝光町の小学校の6年生も2021年1、2月、中止になった修学旅行の代わりに日航の周遊フライトの参加を予定している。【中村宰和】