【日経新聞1面】調布陥没事故で「大深度地下法」の見直しも【本日の材料と銘柄】

12/18 12:36 配信

フィスコ

現在値
大成建3,450-10
鹿島1,349-4
SボンドH5,080+100
鉄建建1,812+4
日基礎技503+10

調布陥没事故で「大深度地下法」の見直しも
「大深度」工事直後に地表沈む、外環道、衛星で解析、補償・ルール見直しに影響も

東京外郭環状道路(外環道)の地下トンネル工事の直後に東京都調布市の住宅街で2~3センチメートル程度の沈下と隆起が発生したことが衛星データの解析でわかった。外環道は延長85キロメートルで49キロ分が開通済み、工事中の関越道と東名高速を結ぶ16キロ区間は住宅密集地を通るため、大深度地下を活用する。道路の陥没地点は9月14日に直径16メートルの掘削機が通り、10月18日に事故が起きた。工事が影響したとの意見が強まっている。工事の振動で土砂が圧縮されて地盤が下がったとの見方があり、因果関係が見えてくれば事業者は補償を検討するとみられる。政府は地下活用のため、大深度では用地買収しなくても公共事業を進められる法律を2001年に施行、「大深度地下」と呼ぶ地下40メートルより深い場所のため住民同意は必要ない。地表に損害が出る変化が起きにくいとの前提で、首都圏、中部・関西圏は住民への告知で同意の取り付けを不要にした。外環道の地下トンネル工事のこれまでのルートは主に粘土層で崩れにくく、地表変化は確認されていない。陥没場所周辺は地盤が緩く、特殊事例の可能性もある。地表変化との因果関係が認められれば、補償や技術的な対策のほか、大深度工事を巡るルールの見直しを迫られる可能性がある。

10月に東京都調布市で突然起きた道路の陥没事故は、「大深度地下」工事に対する大きな疑問を投げかけている。「大深度地下」工事は、地下40メートルよりも深い所での工事となるため、地表に影響が出ることはないとされ、改めて地上の住民の同意を得る必要はないとし、その上で用地買収しなくても公共工事ができると定めた通称「大深度地下法」という法律を2001年に施行している。この法律を元に、従来では住宅密集地での用地買収に時間と金がかかることで、なかなか工事を進められない状況を克服することが可能になった。そのおかげで、首都圏や中部圏、関西圏の大都市では住民の同意取り付けを不要とするトンネル建設工事など「大深度地下」を利用したに建設工事が多く行われるようになっている。今までは、今回のような事故は発生していなかったことでなんらの問題もなかったが、今回の事故が「大深度地下」工事を原因としていることが明らかになれば、「大深度地下法」の見直しの必要に迫られこととなり、事故が起こった周辺に住む住民に対する補償も発生することになる。日本経済新聞社が衛星解析技術を持つイタリアのTREアルタミラから電波で地表変化を1ミリ単位で捉える「干渉SAR」データを入手、陥没地点を中心に東西530メートル、南北870メートルの範囲で4月8日から10月12日の変化を調べた結果、陥没現場の東側で1センチ以上沈んだ地点が続出、最大で1.8センチ強も沈んだ。それまでほとんど変動はなく、10月以降も沈下が続き、変化幅は最大3センチを超えた。急変した区域を視察した結果、一部で電柱の傾きや家屋の亀裂を確認、複数の住民が「工事前は見られなかった」と証言している。今後、正式な調査の結果が出るが、その結果次第では、これまでの多くの「大深度地下」工事に対する再点検の必要が出てくることもあり、現在進められているリニア中央新幹線の大規模トンネル工事などにも影響を与える可能性もあり得そうだ。



<1801>大成建設{スーパーゼネコンの一角、土木に強く大規模トンネルを多く手掛ける}
<1812>鹿島{スーパーゼネコンの一角、耐震建築を得意とし鉄道・ダム工事も多い}
<1414>ショーボンド{コンクリート補修工事大手、橋梁・トンネルの土木工事が得意}
<1815>鉄建建設{鉄道工事大手、道路・トンネル・橋梁などの土木工事が得意}
<1914>日基技{基礎工事主力の建設会社、「削孔」・「注入」を基本技術とする}
※この記事は、無料のスマートフォンアプリ「FISCO」に先行配信された記事を転載したものです。
《ST》

フィスコ

最終更新:12/18(金) 15:25

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