勧奨中止で死亡4000人増か 子宮頸がん予防ワクチン
子宮頸(けい)がんを予防するヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの積極的な接種勧奨を厚生労働省が中止し接種率が激減したことで、無料で受けられる定期接種の対象を過ぎた2000~03年度生まれの女性では、避けられたはずの患者が計1万7千人、死者が計4千人発生するとの予測を、大阪大チームが22日までにまとめた。
成果は英科学誌サイエンティフィック・リポーツに掲載された。接種率が0%近い現状のままでは、その後も同じ年に生まれた女性の中で4千人以上の患者、千人以上の死者の発生が防げなくなるとした。
ワクチンは10年に公費助成が始まり、13年4月に小学6年~高校1年への定期接種となった。だが副作用の懸念から6月、接種は無料のまま勧奨が中止された。チームが接種率を算出すると、勧奨中止の影響が小さい1994~99年度生まれは55.5~78.8%だが、影響が大きい2000年度生まれは14.3%、01年度生まれが1.6%、以降は1%未満だった。
ワクチンの安全性を巡っては18年、名古屋市立大チームが約3万人のデータを解析し、副作用とされそうな24種類の症状の発生率は接種の有無で違いがないとした。大阪大チームの八木麻未特任助教は「子宮頸がんはワクチンと検診でほとんどが予防可能。一刻も早くワクチンの積極的勧奨を再開する必要がある」とコメントした。
国立がん研究センターによると、17年に約1万1千人が子宮頸がんと診断され、18年に約3千人が死亡した。〔共同〕