精神医療の真実  フリーライターかこのブログ

精神医療の真実  フリーライターかこのブログ

精神医療についていろいろ調べているフリ―ライター。およそ非科学的な精神医療という世界。薬の副作用、離脱症状……精神科医の薬に対する認識に疑問を抱いています。皆さんと一緒に考えていけたらと思います。

当ブログは精神医療を一概に全否定するものではありません。
ただ、現在の精神医療が荒廃していることは確かです。そのような医療にかかることのリスクを考えると、安易な受診は被害の第一歩にもなりかねず、その意味での警鐘は鳴らし続けるつもりです。

当ブログは一概に減薬、断薬を勧めるものでもありません。
また、減薬方法についてのアドバイスは、医療者でない私には不可能です。その点はどうぞご了承ください。
コメントについては、不適切と思われるものは公開を控えさせていただいています。

なぜ公開しないのかと問い合わせをいただいても、お答えはしていません。


リンクフリーですが、一声いただけると嬉しいです。


また、体験談を勝手に引用することは固くお断りしています。とくに体験談の内容に対して、当事者を批判したり、医師なら診断に関わるようなことを行うのは、厳に謹んでほしいと思います。


体験談は、当事者が「せめて同じようなつらい体験をする人がいなくなるように」との思いから、公開を了承してくれたものです。この体験談が皆様のお役に立てることを願っています。


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テーマ:

朝日新聞デジタルの記事です。

https://digital.asahi.com/articles/ASNDK3PMHND9UTIL06G.html?_requesturl=articles/ASNDK3PMHND9UTIL06G.html

 

 身体拘束については、これまで日本においては安易な拘束がなされているといった言い方でしたが、具体的な数字を見ると日本の精神医療のありようが浮かび上がってきます。

 どれほど日本が人権侵害の国であるか。驚愕としかいいようがありません。

 

精神科病院の身体拘束、諸外国の数百倍

 見出しでは、「異様に多い」という表現をしていますが、本当に「異様」「異常」です。

 

オーストラリアの580倍。

米国の270倍。

ニュージーランドの2000倍。

精神科病院で身体拘束を受けている患者は1万人を超えている。

 

以下、短いので記事の全文を引用します。

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 専用のベルトを使って、患者の体や手足をベッドに固定する身体拘束。精神科病院で行われているそうした拘束の人口あたりの実施率が、日本はオーストラリアの約580倍、米国の約270倍にあたることが杏林大学の長谷川利夫教授(精神医療)らの国際共同研究でわかった。

 国際精神医学雑誌「エピデミオロジー アンド サイキアトリック サイエンシズ」に掲載された。

 研究は日本、米国、オーストラリア、ニュージーランドの研究者が、それぞれの国で公開されている2017年のデータを使って、4カ国の精神科病院での1日あたりの身体拘束の実施率を計算、比較した。

 日本のデータは毎年公表される「精神保健福祉資料」をもとにした。1日あたり、人口100万人あたりで98・8人に身体拘束が行われていた。ただし、認知症患者が精神科病院に入院している日本の状況は特異なため、認知症病棟での拘束は除外したという。

 それに対して、オーストラリアは人口100万人あたり0・17人、米国は0・37人だった。ニュージーランドは15~64歳の人口100万人あたりで0・03人。日本は20~64歳の年齢層では、62・3人だった。年齢層に若干の違いはあるが、日本とニュージーランドの拘束率は2千倍以上の差があった。

 ただ各国とも国内の地域によってばらつきがあった。日本では、都道府県によって人口100万人あたり16人から244人の開きがあった。

(下の表参照)

 海外と比べて日本では身体拘束の時間が長いことは、これまでも指摘されていた。長谷川教授は「日本の精神科病院では身体拘束に頼った医療が行われていることが改めて明らかになった。人口あたりの精神科医師の数は、国際的にみてもそれほど少なくないのに身体拘束が多いのは、精神科のベッド数が他国に比べて多く、入院が多いからだと考えられる」と指摘。「まずは諸外国に比べて身体拘束が異様に多いということを認識し、減らすための具体的な方策を検討していくべきだ」と話している。(編集委員・大久保真紀)

 

拘束されている患者、1万人超

 専用のベルトを使って患者の体や手足をベッドに固定する身体拘束は、精神保健指定医が認めればできる。要件としては、精神保健福祉法などで①自殺や自傷などの危険が切迫している②多動や不穏が顕著である③放置すれば患者の生命に危険がある――場合で、ほかに方法がない時などと定められている。

 身体拘束をめぐっては、患者の自由を奪い尊厳を傷つけているとの批判があり、削減に向けて努力する医療機関も少なからずある。一方で、現場の人手不足もあり、「安全のためには必要」との声も根強い。

 2019年6月末時点の厚生労働省の調査では、精神科病院で身体拘束を受けている患者は1万人を超えている。

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 以前、精神科の女性看護師さんと話したとき、身体拘束について、彼女がこんなことを言いました。

「でも、縛ると患者さん、落ち着くんですよね」

隣には、実際、精神科病院に入院中、拘束された人がいて、その人が彼女に直接抗議することはありませんでしたが、私と二人になったとき、次のように言いました。

「冗談じゃない。落ち着くんじゃなくて、拘束から逃れたくて暴れるとさらに拘束がきつくなることがわかっているから、あきらめてじっとしているだけなのに」

 女性看護師の言葉を聞いたとき、ああ、医療関係者らしい見方だなと思ったものです。そして、看護師がこういう表面上で、しかも自分たちの「医療」を「良きもの」として見ている限り、今後も身体拘束は絶対に減っていかないだろうなと、ひどく虚しい気持ちになった記憶があります。

 

 ただ、身体拘束に関しては、12月16日、前進ともとれる判決が下りました。

 精神科病院での身体拘束を「違法」と認めたのです。

https://www.asahi.com/articles/ASNDK33GKNDJPISC00N.html?iref=pc_extlink

 

以下、記事の引用

 精神科病院で大畠一也さん(当時40)が肺血栓塞栓(そくせん)症(エコノミークラス症候群)で死亡したのは、違法な身体拘束が原因だとして、両親が社会福祉法人金沢市民生協会を相手取り、約8630万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が16日、名古屋高裁金沢支部であった。蓮井俊治裁判長は「拘束を必要と認めた医師の判断は早すぎ、裁量を逸脱している」として、原告の請求を棄却した一審判決を変更し、約3520万円を支払うよう命じた。

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 日本では身体拘束は精神保健指定医の判断で、実に簡単に実施することができます。(その精神保健指定医の認定においても以前、聖マリアンナ医科大学でインチキがありました。)

 身体を拘束するという行為は、一般的にいって憲法違反に当たります。

 憲法31条は「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない」と定めていて、人身の自由に対する制限は法律の根拠に基づくものでなければなりません。

 根拠となる法律が、精神保健福祉法36条1項です。

 「精神科病院の管理者は、入院中の者につき、その医療又は保護に欠くことのできない限度において、その行動について必要な制限を行うことができる」

 

 ここがあまりに安易なのです。精神保健指定医の判断だけで行うことができる。あまりに人権軽視です。

 憲法に反する行為をするなら、もっともっと厳格な手続き(あるいは煩雑な手続き)、複数の判断、法的な背景をもった判断をもって行われなければならないはずです。

 それにしても、日本のこの身体拘束の多さは、どこからきているのでしょうか。ベッド数が多い(入院患者が多い)から、必然的に拘束も多くなると長谷川先生は書いていますが、それだけなのでしょうか。

 ともかく日本人の国民性として、「隔離」大好き、があります。異様なものは「一か所に分けておきたい」。

 そして分けられた一か所の中でもさらに「隔離」を行う。保護室、身体拘束がそれです。面倒なもの見えないようにしてしまいたい、そういう心理がどこかで働いているように感じます。

 

 都道府県別の拘束率  

 

 

 

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