消費者庁課長“謎の異動”で立ち入り検査が立ち消えていた~ジャパンライフ詐欺事件 須田慎一郎レポート

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月21日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。山口隆祥元会長らが詐欺の疑いで逮捕されたジャパンライフを巡る消費者庁の2010年代の動きを振り返り解説した。

ジャパンライフ、家宅捜索  マンションを出るジャパンライフの山口隆祥元会長=2019年9月25日午前8時33分、東京都文京区 ©共同通信社

マルチの帝王 山口隆祥容疑者

山口隆祥元会長ら14人が詐欺の疑いで逮捕されたジャパンライフは2006年から粉飾決算を始め、2010年には債務超過に陥っていたことがわかった。配当の見込みがないのに顧客を勧誘し、出資金をだまし取るなどして、被害総額はおよそ2000億円にのぼるということで、警視庁は実態の解明を進めている。

飯田)けっこう前からジャパンライフの件というのは報道されていたようにも思いますがね。

須田)はっきり言って、実質的なマルチ商法ですから。もともとマルチ商法をやっていて、保護規制がどんどん入ってきたために、その法の抜け穴を突くために形を変えてきたのがジャパンライフ。マルチ商法をやっていた1980年代やその以前から問題視されていたのです。マルチの帝王と言われている人ですから。

飯田)そういえばそうですよね。これ報道されているときにマルチの帝王って名前ありましたね。山口隆祥容疑者。

須田)ただですね、今回詐欺容疑という形なのですが、この詐欺というのはけっこう立件するのが難しくて、犯人の心象風景、騙すつもりだった、騙してやろうと思ったということが立証できなければ有罪にもっていくのはなかなか難しいのです。そこをどう突いたのかというと、最終的には2400億円、これは破産したときの負債なのですが、つまり2400億円が被害総額といってもいいのだけれども、今回立件されたのは2017年8月から11月にかけて12人に対して8000万円。随分しょぼいじゃないかと。

中央合同庁舎 永田町

立件が難しい「詐欺」

須田)それはなぜかといいますと、実は最終的に大きく債務超過に陥ったのは2017年3月時点なのです。このとき338億円の債務超過。どうひっくり返ったってお金返せないよねと。あなた返すつもりだったというけれど、返すことはできないじゃないか、これは普通の経営者だったら分かるよねと。この状況以降の立件になってきているのです。

飯田)それ以降も勧誘しただろうと。

須田)お金集めただろうということ。ただですね、そのことを抑えた上で今回不思議というか、疑惑の核心的なところを申し上げると、飯田さんが冒頭言われたようにずっとマルチ商法で問題視されてきていた、かなりそのことについては世の中的に知られていた、もちろん行政サイドも強く問題意識を持っていた。そこで内閣府の所管とする消費者庁というところがありますよね。消費者の問題について対応するというのが消費者庁という役所なのだけれども、ここは立ち入り調査権とか検査権を持っているのですよ。取引対策課というところがあって、ここがずっとジャパンライフについては調査を進めていたのです。

3度目の業務停止命令の異例処分。取引停止命令を出したジャパンライフについて会見する、消費者庁の佐藤朋哉・取引対策課長=2017年11月17日午後、東京・霞が関の消費者庁 ©産経新聞社

立ち入り検査目前、突如、消費者庁の課長が人事異動

須田)とはいっても予備調査という頃で、強制力を持った調査ではなかった。ヒアリングですといって聞き取り調査をやってきて、このままいったら大変な被害が出るということで、当時の課長は本調査つまり法的強制力を持った立ち入り検査を実施して、なんらかの処分をすることを前提として立ち入り検査をやるべきだということで、法律を詰めていたのです。この課のなかに法令班というのがあって、そこに指示を出して、法令班の方もこのままいったら大変なことになるから検査をするという方向で消費者庁は進んでいたのです。2013年秋くらいの話です。

飯田)2013年秋、債務超過に陥っていたけれども破綻する前ですね。

須田)ところが大変なことが起こるのです。明けて2014年、突如課長が人事異動で交代するのです。

飯田)明けですか、つまり夏の定期人事異動ではないのですか。

須田)いや、それに絡む形で。後任の課長が、立ち入り検査をやると、それが世の中的に広がると相手の経営に対して甚大な影響を与えることになるのではないか。消費者庁が検査したとなるとマスコミは一斉に報道しますからね。そしてジャパンライフの問題性というのはマスコミも共有していましたから、そういう報道が出ると、場合によっては消費者庁が潰したということになるかもしれないということもあって、結果的に立ち入り検査は立ち消えになるのです。2014年段階で。そして、呼んでヒアリングをするという柔らかい方向に切り替わる。それは公表するベースではないので世の中の知るところではないというところになるのですが。

そしてようやく2016年12月になって、最初の行政処分。合計4回出るのですがね。3ヵ月の一部業務停止命令。このあたりからぐっとジャパンライフの経営は苦しくなってくるのですが、本来であれば2014年段階でやっておくべきことなのです。

ジャパンライフの債権者集会後、会見で山口隆祥氏の著書「巨億を築く99の秘伝」のコピーを示す杉浦英樹弁護士。右は、全国ジャパンライフ被害弁護団連絡会の石戸谷豊代表=2018年11月12日午後、東京都港区 ©産経新聞社

後任の課長は、なぜやるべきことをやらなかったのか

須田)この2年以上にわたるタイムラグは一体何だったのか。やるべきことをなぜ消費者庁はやらなかったのか。そのときの課長はなぜそれまでの方針を覆したのか。誰からか何か言われたのか、圧力でもかかったのか。こういう点が出てきています。これやばいということで2014年段階でジャパンライフは慌てて更に営業を強化して、結果的に2015年の被害額がいちばん多いのです。このままいったら大変なことになるぞと。こういうところで被害額が増額されているというね。

飯田)それがなければ、という。早めに手を打っておけばと、いま考えるとかもしれませんが。

須田)ですからこの課長というのは代々経産省のキャリア官僚が就くのです。

飯田)内閣府ということはいろいろなところから人が来る。そのなかでも消費者庁のここの部署というのは経産省のポスト。

須田)経産省でずっと取材していくと、後任の課長はけっこう自分というものがなくて、人から何か言われるとその通りやるタイプなのかと。前任は、思い立ったら、という人で。

飯田)俺の気持ちで、と前に前にいくタイプだったけれども。消費者庁って、内閣所管ですよね。そうすると、政治サイドから何か、というのがどうかかるのですかね。それとも経産省マターになるのかな。

須田)経産省マターになってくるのかな。

飯田)なるほど。

須田)経産省人脈なのかなと。或いは経産省に対して政治力を行使できる人なのかなというような感じもしますよね。

飯田)前政権は確かに経産省内閣なんて言い方をしたこともありましたけれども、まだその辺というのはこれから先にかかってくるのかもしれませんが。

事実上倒産したジャパンライフ本社=2017年12月26日午後、東京都千代田区 ©産経新聞社

有力なマスコミのOBが動いた形跡も

須田)そのあたりを含めて、先ほど飯田さんも言われたように、前政権のことを言われましたが、桜を見る会の招待状がどういう経緯でできたのかというところもかかわってくるのかなと思います。あれが2015年の4月ですから。

飯田)この山口隆祥元会長という人はマスコミや政界も含めていろいろなしがらみや人脈があったとされていますよね。

須田)どうも有力なマスコミのOBがこのあたりで動いた形跡もあるのです。はっきり言ってしまうと。官邸というよりもね。

飯田)けっこう新聞広告出ていましたね……。CMもばんばん出ていましたね……。いろいろなことが見えてきてしまって、怖くなりますね。

須田)ここまで踏み込んで話していいのかなと……実は恐る恐る話しています。

飯田)僕は局アナですよ……。

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マヂカルラブリー・野田クリスタル「藁にもすがるような気持ちで…」コンビ結成秘話を語る

架空のレコード店「THE TRAD」を舞台に、「上質な音楽を、じっくり味わう。」をコンセプトに、稲垣吾郎(月・火曜パーソナリティ)とハマ・オカモト(OKAMOTO’S)(水・木曜パーソナリティ)と新専属店員のフリーアナウンサー平井理央が各音楽ジャンルに秀でたマイスターたちとともに、本質的で流行に左右されない上質な音楽と趣味の話題をお届けする音楽番組「THE TRAD」。

12月15日(火)の放送は、ゲストにお笑いコンビ・マヂカルラブリーのお2人が登場! ここでは、コンビ結成の経緯などを伺いました。


(左から)平井理央、マヂカルラブリー(野田クリスタルさん、村上さん)、稲垣吾郎


◆芸名「村上」の由来
平井:実は、村上さんは吾郎店長と縁があるんですよね。

稲垣:え、そうなの? えぇ……いいよ別に。

村上:あってもいいじゃないですか! 嫌がらないでくださいよ(笑)。僕、“村上”って名乗っているんですけど、本名は鈴木崇裕(すずき・たかひろ)っていう名前で、村上というのは芸名なんですね。それで、なんで村上をつけたかっていうと、「東京大学物語」の村上(ドラマで稲垣が演じていた役)からなんですよ。

稲垣:そうなんだ!

村上:はい! 東京大学物語の村上君みたいになりたくて、“村上”っていう芸名を付けたんですよ。だから、今日は本物に会えてめちゃくちゃ感激しています!

稲垣:じゃあドラマを見てくれていたということですか?

村上:あります、あります。

稲垣:嬉しいですね~! でも、なんで村上君に憧れたんですか?

村上:ヒロインの水野遥さんが好きすぎたんですよ。それで、その子と付き合っているのが村上君だったので、村上になりたくなっちゃったんですよ。

稲垣:あ、そっちが先なんだ。

村上:そうです。僕はとにかく水野遥さんが好きなんです。

野田:でも、“(芸名を)水野遥”にしなかったんだな。

村上:この見た目で「水野遥です」って言ってたらやばいじゃん。

野田:もし言ってたら“いよいよ”だったな。

稲垣:確かに(笑)。

村上:自分の人生を狂わされた作品です。

稲垣:あ、そうなんだ!

野田:芸名にしちゃうくらいなんでね。

村上:北海道が舞台なんですけど、函館の大学とかも受けたんですよ。

稲垣:本当に!?

村上:本当です、はい。そのぐらい「東京大学物語」にもう心酔しきっていて。

稲垣:あ、そうなんだぁ。

村上:はい、めちゃくちゃ嬉しいです。

◆「ライブに出待ちをして…」(村上)
平井:そんな村上さんが、“野田さんのファン”でコンビを結成されたと伺いましたが?

村上:あぁそうですね、はい。

野田:僕は、(結成前は)ずっとピンで活動していまして、東京にはたくさん地下の劇場があるんですけども、そこでずっとクソすべっていたんですね。アンケートもボロクソに言われていまして。それで路頭に迷っていたところを村上が声をかけてくれまして、僕はもう藁にもすがるような気持ちでコンビを組ませてもらいましたね。

稲垣:でもさ、(野田さんって)東京大学物語の村上君っぽい雰囲気ないですか。

村上:若干ありますね、髪の毛とか。

稲垣:ちょっとクールな感じ。

野だ:えっ、だから組んだの? もしかして。

全員:(笑)

村上:いや、そういう訳じゃないわ。じゃあダブル村上ってことになるじゃん。

稲垣:すごいね。そのめぐりあわせって。

平井:そうですね。村上さんは何と言って口説いたんですか?

村上:まず、(野田が出演していた)ライブに出待ちをしまして。

稲垣:本当に!?

村上:はい。その前に、知り合いの先輩から「お前とコンビを組みたがっている奴がいるよ」っていうのだけ、野田に伝えておいてもらったんですよ。それで、ライブを出待ちして、「あの……僕と組みませんか?」って言いましたね。

*   *   *

平井:ネタはどちらが作られているんですか?

野田:2人でなるべく作るようにはしているんですけど、彼がもう“怠惰”という言葉を具現化したような人間で。“何もしたくない”っていう。

稲垣:そうなの?

野田:そうなんです。しっかりしているように見えるんですけど。

稲垣:じゃあなんで野田さんを口説いたの? “何かやってくれそう”だと思ったのかな。

村上:そのときは“お笑いがやりたい”っていうのと、野田が面白かったので“この人に乗っかろう”っていう気持ちですかね。

稲垣:ハハハ(笑)。妙にカリスマ性がありますもんね。

野田:でも逆に、“何もしたくない”っていうのが、すべてうまく事を運べているのがすごいですよ。才能ですよね。

稲垣:いやだから、お互いのない物を補い合ってるんですよ、きっと。

村上:とにかく“今日一日、何もなく終われ”って思っています。

稲垣:でもわかる気はしますけどね。僕もとりあえずこう、さらっとやり過ごすタイプです。

野田:似ているなぁ。

村上:似ているのかもしれないですね、中身(苦笑)。

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聴取期限 2020年12月23日(水) AM 4:59 まで

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<番組概要>
番組名:THE TRAD
放送エリア:TOKYO FM
放送日時:毎週月~木曜15:00~16:50
パーソナリティ:稲垣吾郎(月・火)、ハマ・オカモト(水・木)、吉田明世(月-木)
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/trad/

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