菅首相の行動が、物議を醸している。
14日、「GoToトラベル」の全国一斉停止を発表した直後に行った夜の会食。
野党からは、批判の声が上がっている。
東京・銀座にある高級ステーキ店。
14日午後9時前に姿を見せたのが、菅首相。
およそ45分間滞在した会食のメンバーは、二階幹事長ら、自民党幹部だけではなかった。
出席者は、福岡ソフトバンクホークスの王貞治会長、俳優の杉良太郎さん、さらに、政治評論家に別室にいたというタレントのみのもんたさんら8人ほど。
メンバーの1人は、この会食は、忘年会だったと話している。
杉良太郎氏「きょうは、みんなで野球の話とか、そんな話をしただけ。忘年会」
王貞治氏「仕事とかなんかは関係なく、秋田の話とかそういうのをしていました」
みのもんた氏「二階さんも野球やってましたからね、野球の話で終始していました。(首相はマスク外さないよう呼びかけていたが?)さあ、僕よく見ていなかったから、そこまで見ていないからわからない」
関係者によると、出席者は料理を食べる時だけマスクを外し、それ以外はマスクを着けていたというが...。
二階幹事長「マスク取らなきゃ食事できないから。まぁみんな十分注意しているでしょう」
師走の銀座で行われたこの忘年会が、今、波紋を呼んでいる。
会食をめぐって、これまで政府は国民に対し、重ねて注意を呼びかけてきた。
西村経済再生相「会食でのクラスターのうち、5人以上の会食が8割ということも、頭に置いていただいて」
8人ほどが参加した今回の会食。
小池知事が訴えている、5つの「小」のうちの「小人数での食事」とは言いがたい人数。
さらに気になるのが、出席したメンバーの年齢。
そのほとんどが、重症化リスクが高いとされる65歳以上の高齢者ばかりだった。
菅首相「ぜひ、国民の皆さんは、年末年始静かにお過ごしいただいて、コロナ感染をなんとしても食い止める、そうしたことにご協力いただきたい」
14日、GoToトラベルの全国一斉停止を発表し、国民に協力を呼びかけた、わずか1時間半後の会食。
街からも、さまざまな声が上がっている。
20代「国民には制限かけるのに、自分は行っちゃうんだって」
50代「ちょっとないですよね、やっぱり」
20代「言っていることとやっていることが全然...。笑うしかないですね」
30代「コロナ禍の中、任命されてなった菅さんの気持ちもわかるんですよ。菅さんがいろんな人と話をしたいっていうのもわかりますし」
急転直下のGoToトラベル一斉停止は、各方面に不安と混乱をもたらしている。
都内を中心に観光バスを運行する「はとバス」は、予約数が2019年の1割ほどに落ち込むなど大苦戦。
今回のGoTo停止による、さらなるダメージに肩を落としている。
はとバス広報担当・本田寛奈さん「GoToトラベルがあるから予約した、旅行に行こうと思ったお客様が非常に多い。そういった方からのキャンセルが入るのではないかと懸念はあります」
現在、都の要請を受け、時短営業をしているイタリアンレストラン。
2021年1月11日までの時短営業延長の要請を受け入れる方針。
Ambar GINZA・糸井壮志オーナー「10時以降飲めないっていうことなので、大きく売り上げが落ちました。(協力金)100万円ということで、その補償していただければ、なんとか経営は続けていけます」
自分たちが都の要請に応じる中での銀座会食には、複雑な思いを抱いていた。
Ambar GINZA・糸井オーナー「できるだけ少人数で会食をと言われてる中で、大人数で会食されたってことは、国民の疑念を抱きますし、今は、そういうことすべきではない。ただ、わたしたち飲食店側としては、そういった会食のお客様に来ていただきたい気持ちはあるので難しい」
小池都知事「(きのう菅首相が夜の会食を5人以上で行ったが?)ふふふ、まぁ。いやいやどうでしょうかね」
出席していた自民党の二階幹事長と林幹事長代理は、マスク会食などの感染対策はとっていたのか問われ、こう答えた。
林幹事長代理「食事中は、マスク取りますよ。ちゃんと食事中は」
二階幹事長「マスク取らなきゃ食事できないから。まぁみんな十分注意しているでしょう」
しかし、野党からは批判の声が上がっている。
立憲民主党・福山幹事長「感染拡大が広がっている中ですから、多少自粛をした方がよかったかなと思います」
与党・公明党の山口代表は、言葉を選びながら、こう答えた。
公明党・山口代表「総理の日程は公表されることになっているので、国民に対する一定のメッセージ性というものもあると思いますから、よく配慮しながら、今後検討していただきたいと思います」
医療崩壊の危機を懸念する医師は、今回のGoToトラベルの全国一斉停止表明のタイミングがギリギリだったと話す。
さいたま医療センター・讃井將満医師は、政府が14日に発表したコロナに対応する医療機関や医師、看護師への支援額を倍増することについては、一定の評価をしている。
しかし、菅首相の14日夜の会食については苦言を呈した。
さいたま医療センター・讃井医師「結果として、それが患者さんの総数を増やして、実際に本当であれば亡くならなくていい方が、もうすでに亡くなっている、そういうことを真剣に考えていただかないと。本当に残念としか言いようがない」