今から12年前。2008年11月のタヌキちゃんの思い出です。
ある夜、いつものように給餌&見回り活動に行きますと、
タヌキちゃんと、その頃その場所に同居していた
アメショMIXのブランちゃんとが出て来ました。
その夜姿を見せた2匹の様子を注視していると、
見ている限りは異変を感じなかったのですが、
たまたまタヌキちゃんの脇腹に触れてしまったのでした。
その時、ネチャっとしました。
私は「うっ!まさか、血か!?」とぎくりとしまして、
良く見えない闇夜の中、手に着いた粘着物の匂いを
嗅いでみました。
すぐにわかりました。
「これは膿の臭いだ。ケガしているんだ。」
と言うことで、すぐに保護しようかと思ったんですが、
キャリーケースも何もありません。
暗いし、保護は翌日に行うことにしたのです。
翌日、キャリーケースを持って再び現地へ。
また2匹は揃って出て来ました。
私がキャリーケースを持って来た事を見ていて、
警戒して簡単には近づいて来ませんでしたが、
最終的には保護することが出来ました。
その保護した直後の写真がこれ↓です。
ケガをしていた脇腹は写真には写っていません。
ですが、この写真は、まさに治療前のケガしているタヌキちゃん。
その後、動物病院に運んで診察&治療して貰ったのでした。
脇腹には、犬歯の跡があり、犬か猫に嚙まれたのだろうということでした。
傷口の中は膿んでいたため、切開して膿を出した後、縫合されました。
簡単で軽いケガでは無かったのです。
誰も気が付かなければ、傷口がどんどん悪くなって、
死んでいてもおかしくありませんでした。
前夜に、全く偶然に脇腹に触ってしまい、ネチャッとしたものが
私の手について、ケガを発見できて良かったです。
タヌキちゃんが縫ったところを舐め壊さないようにする為、
カラーをつけていたんですね、この時。
ちなみに、この時の数日の入院時の出来事が、私に長い間、
ある思い込みをさせてしまったのです。
それは、この子はおそらく家の中で飼える猫では無い、という思い込みでした。
入院中のタヌキちゃんは、いつまでもムササビのような格好で脱力したままで、
一切自らは飲み食いしませんでした。
なので病院の先生が、シリンジで矯正給餌をしてくれたのでした。
この子は、室内に入れられると極度に緊張したままになってしまい、
飲まず、食わず、出さずになってしまう子みたいなので、
里親探しは無理という結論付けをしてしまったのです。
実際、その後も長きに渡ってずっとお外猫のままでいさせたのは、
その時の体験からくる私の思い込みが原因でした。
この写真は、完全に傷が癒え、病院を退院して来たタヌキちゃんを
まさにリリースしようとしているところです。
タヌキちゃんは、キャリーの扉を全開しているのに
全然出て行かなくて、私は笑いながら、
行っていいんだよ、ほら、どうした?
ブランもそこでお前のことを待ってる。
行ってやりなさい。ほら、行きなさい。
みたいな事を何度も言って、キャリーから
出るように促しましたっけ。
すると突然、ビューっと物凄い勢いで
出て行きましたねタヌキちゃんは。
2008年の時点で、この子を私たちが
避妊手術して何年も経っています。
この時点で、間違いなくシニア猫です。
結構なケガをしていたわけですし、
既に若くない。
私は、
予後が悪くて、今後はそんなに長生きしないかもなあ・・・
などとネガティブに考えてしまったのでした。
何しろ、冬本番を前にした11月だったのですから。
ところが、タヌキちゃんはその後12年も生きました。
大雪の極寒の年もありました。
滅茶苦茶暑くて長い夏もありました。
台風も何度もやって来ました。
しかし、タヌキちゃんは逞しく生き続けたのです。
この場所には、他にも数匹常連猫がいました。
後から移入して来た若い猫も居たのですが、
年月の経過と共に亡くなるか、姿を見せなくなって行きました。
ここで生活を始めた最古参クラスの、
カツヨリ君とタヌキちゃんだけが、
常連猫として生き残っている状況でした。
2匹はもう歳だ。
タヌキちゃんは確実に20歳オーバー。
カツヨリ君だって17歳にはなってる。
2匹の性質は昔とは違っていて、
室内飼い出来る猫になっているのではないか?
排他的だった私の愛猫も9月に亡くなっていることだし、
2匹を自宅に連れて来たところで、歓迎しない猫はいない。
そうだ、決めたぞ。
引掻かれようが、壁紙をボロボロにされようが、
粗相をされようが、家がどうなろうが知っちゃいない。
今年の冬の寒さから2匹を救ってやるんだ。
自分がやるしかない。
他の常連猫を家猫にしてあげられなかった分まで、
2匹を大切にし、可能な限り長生きさせる事。
これが野川の常連猫にしてあげられる最後のご奉公だ。
そう思って、11月2日に下見に行っていたのです。
それが、2日後にタヌキちゃんは殺されました。
しかも、ただ殺されたわけじゃない。
あまりにも残虐で惨い殺され方をしたのです。
犯人は、
私から、餌やりさんから、そしてカツヨリ君から、
タヌキちゃんとカツヨリ君が一緒に屋根の下で
暮らすという夢・希望を奪った。
本当にあまりにもご無体な運命のいたずらです。
神なんてものはいるのか?って思ってしまいます。
この世は、悪魔的なものが常に神に勝っているのか?と。
神は、いつ神らしい仕事をしてくれるのか。
悪の無い太平の世が一体いつまで待てば来るのか。
グスタフ・マーラー作曲の交響曲「大地の歌」の
歌詞が頭の中で繰り返し反芻されてしまいます。
「生は暗く、死もまた暗い!」
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最終更新日 : 2020-11-21
Re: ラブ 様へ
ラブ様ご助言いただき、ありがとうございます。m(__)m
ラブさんは、抱っこできない猫をおうちに入れて爪切りができるように
なるまで辛抱強く、面倒を見てこられたのですね。凄いです。m(__)m
お外暮らしをしていた猫は警戒心が強く、おうちに入れてその警戒心を
解くのには、相当な時間が必要な子もいますよね。
確かに爪が切れないと困ります。爪切り大事ですよね。
飼い猫でもなかなかすんなり切らせてくれない子もいるくらい、
人馴れしていない子の爪切りは難しい。
子猫とは言え、すでに3ヶ月過ぎればものすごく警戒心強く、
シャーフー!言いまくりの猫になってしまったりします。
外で沢山怖い思いや生きる辛さを味わってきたからでしょう。
そういう猫達でも、時間と愛情をかけて根気よく付き合って
いけば、いつかは心を開く。ツンデレのような感じになる。
地域猫が虐待被害にあうケースも増えており、「そこで終生」と
いう考えは捨てて、むしろ外で苦労してきた分、なおさら最後は
安心安全なおうち暮らしをさせてあげられるよう進めていければ
と思います。
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