京都府内で新型コロナウイルスの重症患者を受け入れてきた府立医科大付属病院など14の病院長は18日、感染拡大の「第3波」を受け、医療の逼迫(ひっぱく)を連名の声明で訴えた。このまま重症患者が増加すると医療崩壊を招きかねないと警鐘を鳴らし、不要不急の外出や大人数での会食を控えるよう強く求めている。
府内では現在、京都府が独自に定める3段階の基準で最も警戒を要する「特別警戒基準」に達している。京都府によれば17日時点で、人工心肺などが必要な重症患者を受け入れられる86床のうち、8床を使用している。
しかし14病院長は声明で「確保病床数として公表されている数と、実際に運用可能な病床数とは異なる」と強調。2週間以内に運用可能となる病床数は限定的だと指摘した。その上で、重症患者が京都府内で30人程度に達した場合はがんや脳卒中、救急医療などがほぼ停止する事態になりかねないとし、「昨年まで助けられていた命が救えなくなる可能性がある」と訴えた。
こうした状況から国民に対し、政府の「Go To キャンペーン」の有無にかかわらず、感染拡大が収まるまでの行動制限への協力を呼び掛けた。また、行政側にも感染拡大を抑える施策や行動自粛の要請といった強いメッセージを出すよう要望している。
院長らの声明について、西脇隆俊知事は報道陣の取材に対し「病院関係者とは緊密に意思疎通し、危機感などは常日頃から情報共有している。そういう声を前提に感染拡大防止対策に取り組んできた」と述べた。
17日には京都市内で酒類を提供する飲食店などに時短営業を要請したことを挙げ、「(病院関係者の危機感に)十分に応えるつもりで踏み込んだ。現段階で取り得る最大限の措置を決めたと思っている」とした。