米企業モデルナが開発する新型コロナウイルス感染症ワクチンの臨床試験で、約3万人を半数に分けてワクチンと偽薬をそれぞれ接種したところ、ワクチン接種者は偽薬に比べ無症状の感染者が約3分の1にとどまったことが、米食品医薬品局(FDA)が12月15日公表した同社資料で分かった。無症状感染者からウイルスが広がるのを抑える可能性があるとし、発症予防に加え、感染拡大防止の期待が高まりそうだ。
FDAは15日、同社の臨床試験データを分析し、94・1%の発症予防効果や、安全性に大きな懸念がないことを確認したとの評価書を公表。米紙ニューヨーク・タイムズは、FDAが18日に緊急使用を許可する予定と報じた。許可されれば米ファイザーなどのワクチンに続き米国では2例目で、年内に接種が始まる。
モデルナのワクチンは約1カ月に2回接種する。約3万人対象の臨床試験で半数ずつにワクチンと偽薬を接種。2回目の接種前の検査で、無症状だが陽性判定された人が偽薬グループで38人いた。一方、ワクチングループでは14人にとどまったため、1回接種後、無症状感染者からウイルスが広がるのを減らせる可能性を示したという。
米疾病対策センター(CDC)によると、ウイルスの感染は無症状や、発症前の感染者からが原因の5割以上を占めるとみられている。