注意。
*初のゆかれいむです。
*キャラが若干掴めてないので、異なる点が多々ある模様。
*オチ無し気味で、消化不良。
以上を踏まえて、スクロール。
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妖怪の体温は、人よりも低い。いくら重ね合わせたところで温い程度の温度。
服越しの温度が、憎く心地がいい。
夜の帳に紛れて動く影が二つ。
ひとつ、月明かりの元に浮かび上がるは白く柔い肌。
ひとつ、普段着ている衣服のままその者の上に乗る、妖怪。
小さく巫女が息を飲んだ。
「ふ、ぁ」
触れられるときに、冷たさが走る。仕方無い。それが生み出しているのは相手のつけた手袋にある。
外されてもシルエットだけでも分かる細長い指、伸びた先の持ち主はである幻想郷を作り上げた大妖怪。
聞かぬフリをして艶美に笑って動かされる指に、また腰が跳ねた。
「ふふ、可愛いわね、霊夢」
「……っ!」
―それを外したところで、何ら変わりは無いのだ―
笑っていない目が言葉を紡ぐ。巫女は外すように言葉尻を尖らせてシーツを力いっぱい握り締めた。
巫女は、心の奥で思った。
冷たい指に愛される連日連夜の行為が、意味するものを。
巫女は必死に考えた。
遊び?都合のいい存在…?それとも、私に触れていても触れたくないと思っているの?
(覚えていたくない、残したくない、余熱さえ…瞳の奥に鎮座する燃えない深紅はその証か…?)
…戦いの時には、違うくせに。むなくそわるい。
だから口には出さなかった。
所詮、言ったところで何かが変わる気がするわけでもないし。
(ねぇ、…なんで好きとも愛してるとも…言ってくれないの?)
「もっと、可愛いを聞かせて…?」
憎いのは、こいつなんかにうまく反応して鳴いてしまう身体。
「紫、……っう、…それ、やだ…っ!」
「…嘘。きもちいいのでしょう?」
くすっ、鼻で笑う声。
妖怪は笑みを形作ったまま肌に触れてくる。服の内側の温度は温かい。
それが心地よくて撫でていると、甘さを帯びる巫女の声に口角がまた上がった。
「ぁ、やぁっ!」
「…ふふ、ほんと…可愛い」
ほぼ、無意識に可愛いと呟いてしまう行為中。乱された紅白の衣装に身を包む少女の巫女。
その上に馬乗りし、口付けを落としていく。
巫女の腰が揺れてよじられる度、白い肌の上に咲いた花が見え隠れする。
さきほどまで這わせていた舌の色を反映し、赤く。
どくりと、胸の奥が熱くなり、無意識に唇を耳朶へと落とす。
巫女のよわいところなど、手に取るように分かってしまうのは重ねた夜の数だけ知っている。
耳の内側を撫でても、晒している脇に手を入れても、食の細いラインを描く肋骨をなぞっても、
いい声で鳴く小鳥さんは、飼い主の指一つで囀りを聞かせてくれる。
「ひ、うっあ、……もぉ、っ!」
入り口に沿って蜜の流れる口へと引っ掛けて、ご褒美をひとつまたひとつ。
どこを触っても快楽に変えてしまういやらしい巫女の口の淵をなぞり、擦り付ける。
激しくせずとも、上昇する温度に沿ってぞくぞくと積み重なる気持ちよさ、
ぶるり、と一度大きく震えたら耐え切れず握られる腕。
その痛みを知ってから、ないと足りなくてつい、意地悪をしてしまう。
妖怪は「優しく」笑い、指の腹を弱いポイントへと強く擦りつけた。
「っ、ゆかりぃ…っ……ぁ、私…!…あ…ぁあああっ!」
ここちいいおとが、ひびく。
びくんと跳ねて、閉じる瞼を見た後に
妖怪は静かに瞼へとキスを落とし、
「―――――」
そう、巫女へと告げた。
***
「……っ!…」
はっと、開く目、映るのは天井。
感じるのは夜中の冷たさ、寝汗まみれの衣服の重たさ。
…全ては、夢?
「………ばかみたい、」
脱力して、布団へともぐりこんでも足が冷たい。触れ合う肌がまた別なのかもしれないが、布団の中には一人だけ。
びゅうと、閉めた襖の向こうで吹き付ける夜風の音がする。
「………」
巫女は少しでも温まるようにと足を撫でた。だが、まだまだ冷たいまま。
まるで、あいつのように。
巫女は、言葉を打ち消すかのように首を振る。
いないやつのことなんて、どうでもいい。
…帰ったやつなんか、どうでも。
「…ばか、」
毛布を、きつく握り抱き寄せた。
埋める温かさは求めるもの以上をくれて、巫女はうとうととまどろみを揺らめく。
すると都合よく優しい声がし、髪を撫でられる。
引っ掛かりの少ない、さらりとした黒髪を細く手袋に隠れた白い肌をした指が通り抜けていく様。
そのまま顔が近付き、唇が瞼の上へ降って来る。
絶対にされることがない…優しいキス。
(―お休み、霊夢―)
見ていないからこそ想像でき、瞼の裏に焼きつく姿と声。
思い出せる指の形、冷たい手。
ふと、思う。
(…今ならば、私はあいつに近づけているのだろうか…?)
巫女は毛布をどかし、目を開いた。隣を見ても空いてしまった空間にいた妖怪を恨み。
刻み付けられたキスのあとに熱が灯りだすのを感じて、無意識に伸びた右手を止めることをしなかった。
その場に「紫」がいるかのように、つくろって。
…こんなにまで私を狂わせたあいつのせいにして。
「…っん……!」
私は、紫が好きだ。
大好きなのに、口に出せない。
言っては、いけない気がした。
こんな、関係になっても…私は、言えずにいる。
なんでだろう…?私が、…人間だから?
紫には都合のいい遊び相手かもしれない、だから、手袋だってそのままなんだ。
皮肉にも、今はその冷たさで、…あいつを思い出してしまってる。
「…あ、っ!」
服に隠れた肌に触れる、予想以上に冷たい指先に鳥肌が走る。
少しだけ我慢し、瞼の裏に焼きついた妖怪が姿を見せる。
右手は素早く動き、窮屈にした足の間へと入り込む。
割ってしまえば、崩れてしまえば、修復なんてさせない。
―あら、もうこんなに熱いのね……―
すっと人差し指を立てて臍の下、巫女の秘部へと下っていく。
薄い茂みを越えてぷくりと膨らんだ茎に、爪が当たり腰が跳ねた。くすっと笑い声が一つ。
―敏感ね―
馬鹿にしたような声で表情には歪んだ笑み。人差し指は表情に似て、意地悪く周りをなぞりだす。
今動いているのは、自らを慰める筈のそれはもう、紫の意思のように。
巫女は、漏れる吐息を抑えずに鳴きだした。
「あ、…っ、ふぁ、あ」
―ふふ、きもちいいの?こんなにされても―
「ん、っ…ばかっ、……ぁ、そんなわけ…っ!」
―うそつきには、ちゃんとしてあげないわよ…霊夢?―
「ゃ、やだぁ……、お願い…お願いだから、…っ」
ぽろぽろとこぼれていく涙を誰も拭いはせず、巫女は濡れた蜜へと指を絡める。それは熱く、指先の冷えが遠ざかっていく。
確実に、体温を取り戻していく感覚が分かる。
「っ、……、あ、…ああっ!」
巫女は勢いに任せて、指を深く差し入れた。これ以上熱くなったら、戻ってしまう。
そうなるのは、嫌だった。せめて、全てが終わるまでは…
「ぁ、…紫っ……ふぁ、…あ」
伸びた爪が内側を軽く引っかきなぞり、鈍い痛みを産んだ。
構わずに差し入れた二つの指を動かしていく。徐々に紛れて腰が求めるように毛布へと擦りつけられる。
蜜口の奥、空気と混ざりぐぷりと帳に解ける音、膝と毛布が摩擦する音が目を閉じても嫌なほどに分かる。
妖怪は目を閉じて堪える巫女の姿を見て笑い、煽る。
―霊夢のここ、すごくいやらしい音がするわ―
半音上がり、上機嫌の声。
酒を嗜み酔い乱れてしまったかのごとく、また巫女の熱はわずかに上がる。
「ひ、…ぁ、ああっん…」
涎に似た粘着質のどろりとした濃い蜜が、シーツへと落ちる。
ことはなく、くぱっといきなり開いた小さな隙間へと流れる。
そのスキマから手が伸び、白い太股へと触れた。
「あら、霊夢。まだ、たりなかったの……?」
楽しそうな声が、ひとつ聞こえた。
そして再び、巫女は妖怪の腕でひとときの夢と快楽を見る。
End.
紫視点もほしかったかな