――――注意―――――
もしも美鈴が紅魔館に行く前に紫のところで暮らしていたらという設定です。
藍はまだ式になっていません。
途中で紫に生えます。
強姦気味です。
ネチョ薄めかも。
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それは今から少し昔の話。
雨の降るある日、八雲紫は妖怪達を狩っていた。
紫のように高位の妖怪や巫女のような特殊な人間の生き肝を喰らえば、下級の妖怪でも強くなれると言われている。
そのため身の程を知らない下級妖怪や少し力に自信のある上の下の妖怪に彼女は日夜狙われていた。
その程度の妖怪は数を減らしても減らしてもいつの間にか増えていたりするから潰してもきりがない。
それでも自分の家を探し当てるような妖怪もいるので、定期的に狩りに出ないとおちおち寝てもいられなかった。
今宵の妖怪狩りもそんな定期的な行いのはずだった。
紫は妖怪達の根城に乗り込み、妖怪供を駆逐してそいつらの親玉を滅した。
頭を失うと生き残った数人の妖怪達は散り散りになって逃げていく。
逃げる者達を追ってもよかったのだが、それよりも奥の部屋から一向に逃げようとしない妖怪の気配が気になった。
警戒しながら部屋に入るとそこには一人の少女がたたずんでいた。
なぜ逃げようとしないのかと訝しんだが、その姿をじっくりと見てその理由がわかった。
くすんだ紅黒い髪、衣服の一つも身に纏っていない薄汚れた体、うつろな瞳、感情のこもっていない表情、そして体から漂う異臭……
これらから考えるにおそらく奴らの奴隷か何かとして飼われていたのだろう。
少女は逃げないのではなく、逃げても行く当てがないので新たな主を持っているのであろう。
紫はその少女の新しい主になることを決めた。
別に少女の境遇に同情したとか哀れんだとかいうわけではなかった。
ただ、少女の整った顔立ちが私好みであったのと、うつろでありながら吸い込まれるような瞳に心惹かれたからだ。
「そこのあなた。私の後についてきなさい」
少女にそう言うと特に抵抗もせず、紫の後をぼろぼろの服を擦りながらついていった。
スキマを通って家に着くと紫は風呂に入り身を清めようと思った。
ついでに少女の汚れた身体も洗ってあげることにした。
おとなしくちょこんと正座をした少女の髪をいつも自分が使うより多めの洗剤で洗ってあげた。
どれだけ洗っていなかったのだろうか、お湯で流すとドス黒い液体が泡とともに流れ落ちていく。
しかしその黒い汚れの中には夕日のように紅い髪が隠されていた。
紫もおそらく綺麗な色だろうとは思っていたがまさかここまで鮮やかな色なのは想像以上だった。
次に身体を洗ってみるとこれまた健康的な色で柔らかい四肢が現れた。
どうしてこれほどのものを汚れたままにしていたのか理解できなかった。
最初に思っていた以上に少女は紫好みの女性であったようだ。
乳房や股のあたりを洗うために触れると息を荒げ頬を赤らめてモジモジとし出した。
少女はすっかり調教されきっているようだ。
紫を見上げるときの上目遣いもとても魅惑的で誘っているように感じられた。
もしも紫が男だったなら堪えきれなかったかもしれない。
しかし紫は自分はあの妖怪達のような存在になりたくないと思った。
「今日はそんなことをしなくてもいいのよ」
紫はできるだけ優しく言った。
自然な笑顔はあまりうまくないので若干怪しい笑顔になっていたが。
少女は不思議そうにしていたがすぐに元の無表情に戻った。
紫は少女の身体を一通り洗い終えると一緒に湯につかった。
少女は湯に入っている間も身じろぎ一つせず、生きているのか心配なくらいであった。
紫が湯から出ようとするとすぐさま少女も後をついてくる。
紫はその様子をアヒルの子供みたいだと思い笑みがこぼれた。
紫は湯を出てから、少女が以前着ていたぼろ服を捨ててしまったために服がないことに気づいた。
仕方なく自分が子供の姿になるときに着る服を貸すことにした。
また、名前がないと不便だと思い彼女に名前をつけることにした。
「そうね……今日からあなたの名前は紅(ホン)よ。わかったわね、紅」
紅い髪、それと飼い主と飼われる者という真逆の存在という意味で紫と反対の紅を名前にした。
そんな名前であったが紫には紅が少しだけ笑ったような気がした。
紫は布団を二人分用意すると片方を指さして紅にそこで寝るように指示し、自身も横になった。
本来数刻前にあったばかりの少女、それも妖怪を自分のそばで寝かせるような危険なことはさせない。
だが紫にとって少女が何かをするとはとても思えなかった。
それは何かしら理由があるものではなく勘に近いものだった。
自分がそんな不確かなもので行動することに不思議な感覚を覚えながら紫は眠りについた。
一方で紅は生まれて初めて使う布団というものに包まれながらどこか安心した様子で眠り始めた。
これが紫が紅と出会った最初の日であった。
翌朝、紫が目を覚ますと隣では静かな寝息を立てながら紅がまだ眠っていた。
安らかな表情で眠る少女を見て紫は知らず知らずのうちに口元が緩んでいた。
紅のほほを撫でようと手を伸ばしたときに、紅のほほを一筋の水が流れる。
そして部屋に小さくか弱い声で
「お母さん」
という寝言が響いた。
紫の伸ばした手はぴたりと止まった。
初めて聞いた少女の声は鈴の音のような優しい響き。
それなのに悪夢を見たときの子供のようなおびえではなく、もっと深い、何十年も生きた人間がこの世を嘆くような悲しい声だった。
この小さな身体の齢十もいっていない少女が一体どれほどの経験をしてきたのだろうか。
そう思った瞬間に昨日までのどうやってこの少女を頂こうかというような考えは彼方へと消えていた。
代わりにこの子を立派な女性に育てよう、そう思うようになった。
今まで人を煙に巻き、掴み所をなくすことで必要以上に誰かと強い関係を持たないようにしてきた。(それでも友人になってくれた変わり者もいるが)
紫は一人一種の妖怪であるため子を成せぬ身であるため恋も子供も諦めてきた。
しかし八雲紫も一人の女性、今目の前にいる少女を子として迎え入れれば家庭というものを持てるのではないかと考えてしまった。
普段なら馬鹿げた考えだと思うはずなのに、心の奥底からわき上がる母性と庇護欲は抑えきれなかった。
紅は目を覚ますと主より後に起きてしまったことに気づいた。
すぐさま布団を畳み今の方へと向かうと台所の方から熱い料理の入った鍋を持ってくる紫がいた。
この後に来るであろう新たな主人からのお仕置きや罵声を予想し身構えた。
しかしそのようなものは来ず、目の前にあった机に温かそうな味噌汁とご飯、焼き魚が置かれただけだった。
「そんなところに立っていないで座りなさい。食事にしましょう」
紫は食卓の前に座った。
今まで主とこんな風に食事をしたこともない紅はどうしていいか戸惑ってしまう。
しかし何かを理解したかのような表情になると自分に用意された方には行かず、紫の傍に寄ると正座をする。
「えと、どうしたの?」
紫には紅がどうしてこのような行動に出たのかわからなかった。
紅は紫のお椀を手に取ると息を吹きかけ冷まし始めた。
それだけならただのほほえましい行動で終わっていたのだが、紅はあろう事かその味噌汁を自分の口の中に入れ咀嚼し始める。
ますます訳がわからないと行った様子の紫にさらに近づくと紅は紫に口付けをし、口移しで食べ物を食べさせ始めた。
口の中に入った味噌汁は紅の唾液と混ざって独特の甘美な味に変化して紫の口の中に入り、飲み込まれていった。
突然のことに困惑した紫だったが、すぐにはっとして紅が次の食べ物を口の中に放り込もうとするのを止めた。
「いいから……もう、そういうことはしなくていいから」
紫は両腕で紅を抱きしめた。
紅には彼女の言った言葉の意味はよく伝わっていないようだったが、紫には関係なかった。
これからゆっくり伝えていけばいい。
そう考えた。
紫はまず紅に遊びや勉強といったこの年頃の子供が本来するはずのことを教えた。
とはいっても紅は遊びになかなか興味を示してくれなかったが。
その代わり勉強は一生懸命してくれた。
どうやらこの元は大陸出身の妖怪で、ここに売られてきたらしく、あまりしゃべらないのはこの国の言葉をうまく発音できなかったかららしい。
なので最初は日本語を教えるところから始めた。
「紅、私の後について言ってみてね。あーいーうーえーおー」
「あ、あーゐーうーゑーをー」
「なんだか器用なことしてるわね……」
「ぐぉめん、なしゃい」
「ああ、いいのよ。ゆっくりできるようになっていきましょうね」
他にも家事や結界の張り方などの巫術、武術などいろいろ教えた。
結局巫術は大して身につかなかったが。
「ありがとう。書類整理を手伝ってくれて」
「いえ。紫様のお役に立ちたいので」
「そう……あら、そろそろお昼寝の時間ね」
「えっ?でもまだ仕事が残って……」
「いいからいいから」
「あう」
「紫様、この巫女というのはどういう人間なんですか」
「んー……食べてもいい人類、的な?」
「はあ……美味しいんですか?」
「まあそれなりに」
紅も少しずつではあるが感情を見せるようになり、自分の意見を言うようにもなっていった。
たまにぎこちなさはあるが笑顔を見せてくれるようにもなった。
そんな紅との日々に紫は喜びを感じていた。
それから数年後、紅の見た目は十代後半くらいになり、人並みの社交性も得た。
今では自然に笑顔を見せるようにもなっていた。
幾分過保護なところもあったが、それでもここまでまっすぐに育ったのは紫の教育のたまものだった。
しかし、そんなある日に事件は起こった。
その日は満月、妖怪達は力が強くなり興奮する日だった。
その日の紫は酷く荒れていた。
友人が一人亡くなったのだ。
それも喧嘩別れになってしまった。
彼女にとって数少ない友人の死を最悪の形で迎えてしまった。
その辛さから逃げるため、彼女は倉から特別強い酒を持ち出して悪酔いしていた。
「紫様、それ以上飲むとお体に障りますよ」
紅はやけ酒をし続ける紫を止めようとした。
「うるさいわね……別に私の勝手でしょ」
紫は普段なら決して言わないような強い口調で紅を責めた。
「そうは言ってもさすがにこれ以上は……ご友人を失って悲しいお気持ちはわかりますが」
「気持ちがわかる~?ふん!ずっと一人だったあんたに何がわかるのよ。わからないわよ……私の気持ちなんて誰にも」
紅は紫のお供やおつかい以外では家を出ないので友人と呼べる者がいなかった。
そんな紅に自分の気持ちがわかるわけがないと思いながら紫は再び酒を口に運ぶ。
「そんな、私だって」
「うるさい!あんた、私が特別に優しくしてあげてるから調子に乗ってるんでしょ」
「いえ、そのようなことは……」
「どうだか。じゃあ私の従者らしく私を慰めてみなさいよ」
「慰める、と申しますと?」
「わかってるくせに。あんたのその無駄に成熟した身体で私を慰めろって言ってるのよ」
紅は身長だけでなく、胸も大きくなり、以前よりますます魅力的な身体になっていた
「し、しかし私に女性との経験はありませんし……」
「妖怪に男も女もないでしょ。ほらこの通り」
紫は自信の股間に手をかざすと瞬く間に彼女の前掛けを何かが中から押しやった。
男女の境界を操ったのだ。
紅は目の前で起きたことに驚き呆然としていた。
「はっ!」
「しまっ!?」
その一瞬の間に紫は術を発動した。
紅の足下に魔方陣が現れ、中から妖力でできた鎖が飛び出し両手足を縛った。
紅は床からわずかに宙で浮いた状態で大の字で仰向けにさせられた。
「ふふ、これで動けないわね。やっぱりこうやってじっくり見ると実にいい体をしているわね」
「ゆ、紫様、このようなことはおやめください!」
「あらあらまだそんな悪いことを言うのはこの口かしら」
紫は紅の顔に近づくと唇にそっと人差し指を添えた。
紅は紫を止めようと紫の瞳を見つめた。
だが、そこにあったのは賢者とまで呼ばれる知的な妖怪の瞳ではなく、真っ赤に充血し感情の暴走したただの妖怪の瞳だった。
「たっぷり愛してあげるわ。紅」
普段のような優しさではなく妖艶さの籠もった怪しい声で紅の耳元にそっと囁いた。
舌なめずりをすると紅の唇に自分の唇を重ねる。
紅の口内に舌を差し込み絡ませようとするが、舌は口内を逃げ回る。
しかし妖怪独特のよく伸びる舌は紅の舌を根元から捕らえた。
何度も何度も紫の舌は紅の舌に体当たりし、巻き付き締め上げる。
そしてまるで今の二人を表すかのように紅の舌は紫の舌によって屈服させられる。
紫は紅の舌が力尽きたのを悟ると唇を離し、指で紅の舌を引っ張り出した。
紅は口内で行われた格闘戦に疲れ、口を閉めることすらままならなかった。
「そうそう。そうやっておとなしくしていなさい」
引っ張り出した舌に軽くキスをして指を離した。
紫は手のひらで紅の身体をなぞるように触れながら紅の足下へと歩いて行く。
それに反応して紅がぴくぴくと身体を震わせていた。
「さあ、あそこはどんな風になっているのかしらね」
紅の濡れそぼった蜜壺を想像しながら前掛けを捲った。
しかしそこは全く濡れていなかった。
「っ!どこまでも私を馬鹿にして!」
紫は実際の経験はほとんどないが、自分の技術には自信があった。
その自信が否定されたように感じた紫は機嫌を損ね、紅の両脚を掴み開脚させた。
「いっ!」
突然の痛みに悲鳴を漏らす紅を無視して紫は自分の前掛けを横にどけ、下着の隙間から極太の男性器を取り出した。
そして間髪入れず紅に腰を打ち付けた。
「ひっ紫様やめてっいああああああああああああああああ!!!」
「あはあぁ、その声いいわ。素敵な音色……」
濡れていないあそこに無理矢理挿入される痛みは幼少期に何人もの男達に弄ばれた紅にとってもつらかった。
そんな紅の泣き叫ぶ声に紫は聞き惚れ愉しそうに笑った。
しかし紫は気づかなかった。
自分が涙を流していることに。
「あはは、紅、もっと聞かせて!貴女のその声を!」
紫は発情した犬のように一心不乱に腰を振った。
紅の両脚を握る手にも力が入る。
「紅、どう!?気持ちいい!?気持ちいいわよね!?」
「いやっ紫様やめっ」
「でる、でるわよ!中に出しちゃうわよ!?」
「だめっそれだけは!紫様!!」
「きたあぁぁぁ!奥でだしちゃううううう!!!」
紫は蕩けたような笑顔で叫びながら紅の膣内に射精した。
「あ、ああ、あああああぁぁぁぁぁぁぁぁ」
紅は糸の切れた人形のように身体から力が抜けて意識を失った。
それだけ信頼していた紫からの仕打ちはショックだった。
「あはっやっちゃった。娘みたいに育てた紅の中に出しちゃった……もう家族ごっこもおしまいなんだわ……」
紫も壊れたように笑い始めた。
目からは大粒の涙があふれていたがそれでも紫はそのことに気づかなかった。
そして紫はゆっくりと膣から肉棒を抜き出すと、紅の頭の方に行った。
紅は白目をむいて口を少し開けながら気絶していた。
その口を指で広げると肉棒を挿入した。
「紅のお口、柔らかくて、気持ちいいわ」
紫の頭の中にはどうせ終わりなら最後に徹底的に味わおうという考えのみであった。
紫は乱暴に紅の口の中を突き続けた。
「いひっでるっ!またでちゃう!」
紫は二度目の射精を紅の口内で行った。
紅の口内から肉棒を抜き出すと、先から垂れた分が紅の鼻を濡らした。
口いっぱいに射精されたため、呼吸をしようと紅は口から泡だった精液を吐き出す。
意識のない紅の苦しそうな呼吸音だけが部屋に響いた。
「紅、苦しかったのね。ごめんなさい」
紫は打って変わって優しそうな声音になったが、その瞳は狂ったままであることを物語っていた。
紫は紅を抱きしめ、紅を縛っていた鎖を消した。
「ああ、愛しの紅。私の大好きな紅。これが最後になるならもっと愛してあげるわ」
すると近くにいくつものスキマが開き、中から全く同じ姿をした紫が何人も現れた。
「私たちが」
「みんなで」
「あなたを」
「愛してあげる」
力はないがそれ以外の能力はすべて本物と同じ紫の映し鏡達は口々にそういった。
紅の前も後ろも口も手足も全てが紫達を気持ちよくするための道具だった。
「紅のおまんこやっぱり気持ちいいわ」
「肛門もいいわよ。この締まりがたまらないわ」
「紅のお口でまた出しちゃうわ。今度は苦しくないように吸い出してあげなくちゃ」
「足の指をしゃぶってあげちゃう!」
「靴下で蒸れたにおいがたまらないわ」
「紅のお手々で疑似オナニーしちゃう!」
「あんなに小さかったのにこんなに大きくなったのね」
「脇!脇まんこ!汗のにおいで興奮しちゃうぅ!!」
口々に勝手なことを言いながら好き勝手に紅の身体を味わった。
しかしそれでも現れた紫達は多く、紅のそばに寄れない者もいた。
そんな紫達を見かねてオリジナルの紫は二つのスキマを開いた。
「あはっこっちは紅の子宮に、そっちは紅の胃に繋がってるの。後は……わかるわよね?」
それを聞いた紫達はスキマの前で自慰を始めた。
胃と子宮に直接射精しようというのだ。
そして数人の紫が同時に大量に射精をし、それがスキマに飲まれていく。
すると紅の腹部が突然ふくれあがると、口と膣から精液を逆流させた。
「こんなにたくさん、もったいないわ」
「出した分もたっぷり膣内に出してあげないとね」
「ああ、愛しの紅」
「私色に染め上げてあげるわ」
「愛してる」
「誰よりも貴女を」
「愛してるわ」
「愛してる」
狂宴は紫が精根尽き果てて倒れるまで数時間もの間行われ続けた。
太陽が真上に上る頃、紫は酷い頭痛と吐き気を感じながら目を覚ました。
身体を起こすのも一苦労だった。
「んん、私なんでこんなところで寝て……」
脳裏に昨晩の出来事がまざまざと蘇ってくる。
「私が紅に手を出した?そんな馬鹿な……」
そんな馬鹿なと思いながらも身体の熱が、ほほの涙の跡が確かにあったのだと訴え続けていた。
「そんな……私は、私は……」
全身から血の気が引いていくのがわかった。
そういえば当の紅はどこかと周りを見渡したがどこにも姿は見受けられない。
ただそれに安堵している自分がいた。
ここにいないと言うことは少なくとも命を奪うことはなかったと言うことだからだ。
また、自分の元を離れたことでもう自分が彼女を傷つけることはないとも思った。
「所詮私も紅を傷つけていたあの妖怪達と同じだったってことね」
紫は自嘲気味に笑った。
「はああ、また一人になっちゃった」
「まあ昔に戻るだけよね。紅のいなかったあの頃に」
「ああ、でも……幽々子ももういないんだっけ……」
「そうか、じゃあ私って本当に一人になっちゃったんだ」
「喧嘩別れの次の強姦とか笑えないわよ」
「本当に、笑えない」
「はは、私何やってるのかしら」
「……」
「あれ?また、私、泣いてる」
「まだ枯れてなかったのね」
「一人、か」
「一人は寂しいな」
「……」
「紅」
「帰ってきてよ」
「何だって言うこと聞くから」
「どんな償いだってするから」
「だから」
「お願いよ……」
「私を、一人にしないでよ」
紫は普段からは想像できないほど大泣きしながら紅の名を呼び続けた。
「呼びましたか?」
「えっ?」
声のした方向に振り返るとそこには紅がいた。
「えっ、あっ、な、なんで?出て行ったんじゃない、の?」
「いえ、身体が汚れていたのでお風呂に入ってきただけですけど」
確かにほんのりと髪は濡れ、身体からは湯気が立っていた。
「あ、うぐ、ほーん!!」
「うわわっ!?」
紫は紅の身体に勢いよく抱きついた。
バランスを崩した紅はその場で尻餅をつくように倒れた。
「えぐ、紅ーごめんね。痛かったよね?苦しかったよね?ごめんね。本当にごめんね」
「紫様、くるし、くるしいです」
「ああっ!ごめんね!大丈夫?」
「げほっげほ、はい、大丈夫です」
紫はいつもの笑顔で自分の目の前にいてくれる紅に喜びをあらわにした。
しかしすぐに暗い顔になった。
「ねえ、紅。どうして逃げなかったの?もしも出て行きたいのを我慢してるなら、私も覚悟はできてるから」
応えが返ってくるのが怖かった。
もしも自分の能力を恐れて逃げなかっただけだとしたら、それはただ彼女を力で縛っているだけに過ぎないから。
「最初はここを出て行くつもりでした。今の私ならどこでも生きていける自信はありましたし」
「……っ!そう、やっぱり……」
「でも、やめました」
「どうして?」
「あんなに何度も愛してるって言われたら、紫様を一人置いて出て行けませんよ」
「ひゃいっ!?き、聞こえてたの!?気絶してたでしょ!?」
「それでも声はここに届きましたから」
紅は自分の胸に手を当てた。
「それに紫様からもらった物、何も返せてませんから」
「私が貴女にあげた物?私は貴女に何も……」
「たくさんくれましたよ。まずは名前をくれました」
「あんなの適当につけたものよ」
「それでも私が初めてもらった名前です。大切な宝物です。それにたっぷりの愛情ももらいました」
「紅……」
「だから、そんなに悲しそうな顔をしないでください。私まで悲しくなってしまいます」
「でも私は……」
「私は紫様のおかげで人生をやり直すことができました」
「私の、おかげ?」
「はい。あのまま、ただ無為に生きるはずだった人生を紫様は変えてくました。だから今度は私が紫様の人生を変えて見せます。二度と一人になんてしません」
「紅……やっぱりだめ。私が私を許せないの。せめて、せめて何か罰を与えてちょうだい」
「紫様……わかりました。それでは、私のお母さんになってください」
「っ!?それはとても嬉しい誘いだけど、でもそれじゃあ罰にならないわ」
「いいえ。罰になりますよ。私の理想のお母さんになれるよう一生かけて努力してください。それが罰です」
「……ふふ。なるほどね。それはとてつもなく大変な罰ね」
「ええ。大変な罰です」
「私、がんばるわ。貴女の理想の母になれるよう。がんばってみせるわ」
紫は母として紅を精一杯愛した。
紅も紫を母として敬った。
やがて月日は流れ、紫が大陸から藍を紅の妹として迎え入れた。(実際には藍の方が年上だったのだが)
紅は藍から祖国の話を聞き、憧れの念を抱くようになった。
それを知った紫は紅を大陸へと送り出すことを決めた。
紅は最初こそその提案を拒んだものの、結局紫と藍の説得により旅立つことになった。
その旅の末、紅はとある少女と出会い二つ目の名をもらうことになる。
そして再び紫達と出会うことになるのだがそれはまた別の話。
是非今度はこの二人の純愛というかラブラブちゅっちゅを見とうございます
それだけに、この後、紅がレミリアを主にするというのがちょっと想像追い付きませんでした。
紫はあくまで母親でレミリアは主とかそんな感じなのかしら?
アブノーマルプレイングが素晴らしい。これは長くネチョを希望したかった。
プロットは良いので、増量するともっとよかったと思いました。