秋長官は同日午後5時ごろ、尹総長懲戒案を携えて青瓦台を訪ねた。文大統領は1時間半後に懲戒文書に署名した。法務部懲戒委員会が同日午前4時ごろ、正式決定を下してから14時間半余り後のことだった。秋長官は辞意も表明した。鄭万昊(チョン・マンホ)国民疎通首席秘書官は「検事懲戒法に従い、法務部長官が懲戒を求めれば、大統領は裁量なしで懲戒案をそのまま裁可し執行することになる」と述べた。大統領が懲戒内容を軽くしたり重くしたりはできないという説明だ。
しかし、文大統領と青瓦台は尹総長懲戒の過程に何度も登場した。文大統領は高基栄(コ・ギヨン)前法務部次官が秋長官による尹総長懲戒に反対して辞任した翌日に李容九(イ・ヨング)次官を任命し、途絶えかけた懲戒の流れを取り戻した。文大統領は「偏向懲戒」だとする論議について、「手続き的正当性と公正性がとても重要だ」と述べ、収拾に乗り出した。
文大統領と尹総長は2019年7月、尹総長を検察総長に任命するまでは密接な関係だった。尹総長は16年末、崔順実(チェ・スンシル)氏の問題で特別検事の特別捜査チーム長を務め、朴槿恵(パク・クンヘ)政権の国政介入事件を解明し、事実上文大統領の政権獲得を助けた。文大統領はそんな尹総長を序列無視の人事でソウル中央地検長、検察総長に相次いで抜てきした。文大統領が「生きた権力も厳正に捜査してもらいたい」と述べるほど、尹氏を信頼していた。