特に大統領のメッセージが現実とかけ離れているケースが多い。大統領は9日、「政府が確保したワクチン4400万回分は国民の集団免疫に十分な量だ。来年2-3月には接種を開始できる」とした上で、「長いトンネルの出口が見える」という言葉を3回繰り返した。しかし、韓国は臨床試験も終わっていないワクチンの調達契約を結んだだけで、来年下期でもワクチン接種が可能だという確信はない。大統領は「ワクチンの出口」発言の3日後の12日、「本当に防疫非常事態だ」とし、「死力を尽くしているが、申し訳ない気持ちを禁じ得ない」と真逆の発言を行った。2月にも大統領が「コロナは遠からず終息する」と発言した数日後に大邱の新興宗教団体施設「新天地」での集団感染が起きた。大統領は11月21日にはテレビ会議方式による主要20カ国・地域(G20)首脳会議で、「韓国は迅速な診断検査と疫学調査でコロナ拡散を防いだ。韓国の経験が世界各国の参考になることを願っている」と述べた。当日255人だった新規の確定患者数は3日後には553人に増えた。
コロナの第1波、第2波では新天地、光化門集会など政府がコロナ対策の失敗の責任を転嫁する対象があった。今回の第3波の大流行では誰のせいにしようとするのか気になる。国民は政府の無能で経験したことのない苦痛のトンネルに入るのではないかと不安がっている。ところが、防疫の最高責任者である大統領が「トンネルの出口」から「絶体絶命」まで右往左往していては、誰に頼ってこのトンネルを脱出すべきなのか。