俳優の千葉真一(80)が7日、都内のホテルで芸能生活60周年の記念祝賀会を行い、900人が祝福した。
長男の俳優・新田真剣佑(あらた・まっけんゆう、22)と次男のモデルで俳優・眞栄田郷敦(まえだ・ごうどん、19)、前妻の野際陽子さん(享年81)との長女で女優の真瀬(まなせ)樹里(44)も駆け付け、昨年の郷敦のモデルデビュー後では初めて4ショットが実現。3人の子供たちから感謝の手紙が読まれると、千葉は目に涙を浮かべた。
郷敦のサックス演奏に合わせて、主演映画「戦国自衛隊」(79年)のエンディングテーマ「ララバイ・オブ・ユー」を熱唱し、フィナーレ。世阿弥の「風姿花伝」から「初心不可忘(わするべからず)」などの格言を記した直筆の掛け軸を、我が子にプレゼントした。
真剣佑と郷敦の兄弟は米国生まれ。真剣佑は14年から日本での芸能活動を本格的に始め、郷敦も5月に俳優デビューした。千葉は「1300~1400本のテレビ、映画、舞台、ミュージカルを撮り終えました。私が撮ってきた作品を、子供たちは全く分からない。私の背中を一回、見せておこうと思いまして」とこの会を開いた意味を明かした。
長続きできる俳優になってほしいという願いがある。「一回も(役者の道を)勧めたことはない。この世界に魅力を感じたから入ってきたんでしょう。入ったからには、半端なことは許されない。『2世タレントはたくさんいる。偽者になるな!』。そう言い聞かせています」
その言葉通り子供たちは順調にスターへの階段を上っている。将来の共演の話題が及ぶと「僕は何の抵抗もないですけど」とサラリ。郷敦は「本当に偉大な父だと感じています。すごく子供思い。背中を見て、いろいろなものを盗んでいければ。今度はカメラの前で共演できたらいい」と語った。
アクションスターとして日米を股に掛けた60周年。初主演作「風来坊探偵 赤い谷の惨劇」(61年)、「仁義なき戦い 広島死闘篇」(73年)などメガホンを執った深作欣二監督の名前を挙げ「この方がいなかったら、今の僕はいない」。と感謝した。今後については「キンジ・フカサク(=深作欣二)さんの後を継いでいければ。演出してみたい」と監督業へも意欲を見せた。大病もなく、健康そのもの。「体は元気。俳優は年齢は関係ないから」。生涯現役で走り続ける。
◆兄も弟も注目俳優
新田真剣佑は、1996年に米ロサンゼルスで生まれた。14年春から日本で芸能活動を始め、15年のテレビ東京系「保育探偵25時~花咲慎一郎は眠れない!~」で俳優として本格始動。映画「ちはやふる ―上の句―/―下の句―」で、17年に日本アカデミー賞の新人俳優賞を獲得するなどブレイク。日本テレビ系「同期のさくら」(高畑充希主演、水曜・後10時)に出演中だ。
眞栄田郷敦も、ロサンゼルス出身のバイリンガル。昨年モデルデビューし、今年5月公開の映画「小さな恋のうた」で俳優デビューした。7月期のTBS系日曜劇場「ノーサイド・ゲーム」(大泉洋主演)で連ドラ初出演。エース浜畑(広瀬俊朗)の後輩・七尾役で注目を集めた。
◆千葉 真一(ちば・しんいち)本名・前田禎穂(さだほ)。1939年1月22日、福岡市生まれ。80歳。日体大を中退し、58年東映入社。59年テレ朝系「七色仮面」で俳優デビュー。61年「風来坊探偵 赤い谷の惨劇」で映画初主演。70年ジャパンアクションクラブ設立。73年に故・野際陽子さんと結婚(94年離婚)。代表作に「戦国自衛隊」「柳生一族の陰謀」「影の軍団」。米国でも「サニー千葉」の愛称で人気があり、出演した映画「キル・ビル」(03年)ではアクション指導も担当した。174センチ。