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2016.7.15更新

第38回 湿疹・かぶれ・皮膚炎の薬
多くの人が経験する湿疹・かぶれ・皮膚炎などの皮膚トラブルですが、症状が軽い場合は病院には行かず自分で手当てする場合も多いかと思います。しかし、薬の選び方を間違えるとなかなか治らず症状が悪化してしまうこともあるのです。
今回は、皮膚の炎症と薬の選び方について解説します。
ステロイドと非ステロイド
身近な湿疹・かぶれなどの手当てには、抗炎症作用のある塗り薬がよく用いられます。
抗炎症薬には大きく分けて、ステロイド系抗炎症薬非ステロイド系抗炎症薬があります。一般的にステロイドの方が速やかに効果を発揮しやすく強い抗炎症効果を示しますが、感染が原因の場合には使えないことや、長期の連用、広範囲への使用には注意が必要などの制限があります。
非ステロイドは、ステロイドのように広範囲への使用や長期使用への制限がなく、感染部位にも使用できるなどのメリットがありますが、効果がマイルドなので一般的には軽症の場合に使用します。
ステロイドというと副作用が強いというイメージから使用を怖がる人もいますが、弱い薬を使用してなかなか治らず悪化したり跡が残ったりする場合もありますので、原因がはっきりしている場合には、ステロイドを使用した方が安全で確実に治療できることも多いのです。
ステロイド系抗炎症薬の作用
ステロイドには、免疫システムに働きかけて炎症を起こす様々なタンパク質の生成を抑え炎症へと進ませない免疫抑制作用と、炎症部位で誘導されてくるCOX-2という物質の誘導を抑制することで炎症反応を抑えたり痛みを抑制する抗炎症作用があります。
炎症が起こると、ヒスタミンという痒みを引き起こす物質が放出されるため痒みを伴うことが多いのですが、ステロイド薬はこの二つの作用で炎症をすばやく鎮め、痒みなどの症状を元から抑えてくれるのです。
ステロイド薬の強弱
ステロイドは作用の強さによってウィーク(弱い)からストロンゲスト(最も強い)の5段階に分類されます。症状や使用部位に応じて適切な強さのステロイド薬を選ぶことが完治への近道です。副作用を恐れ、重い症状なのに弱いステロイドを使用すると症状の悪化や慢性化を招いてしまうことがあります。
OTC医薬品には、ウィークからストロングまで3タイプの薬があり、ベリーストロングとストロンゲストの成分は市販されていません。一般的には大人はストロング、子供にはウィークかマイルドを選択します。また、顔や陰部などのデリケートな部位にはウィークを選んでください。OTC医薬品は軽度の皮膚炎の治療に適しているため、症状が重い場合は医師の診察を受けましょう。
また、原因不明の湿疹等にステロイドを使用すると悪化させることがありますので、原因がハッキリしている場合に限って使用してください。
 
効果の強さ 成分名
ストロンゲスト(最も強い) 市販薬なし
ベリーストロング(非常に強い) 市販薬なし
ストロング(強い) ベタメタゾン吉草酸エステル、 フルオシノロンアセトニド
マイルド(おだやか) プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル、
ヒドロコルチゾン酪酸エステル、デキサメタゾン
ウィーク(弱い) プレドニゾロン

【ストロング】ベタメタゾン吉草酸エステル
ベトネベートN軟膏AS 5g
指定第2類医薬品
1,134円(税込)
ベタメタゾン吉草酸エステル(ステロイド成分)が、皮膚の炎症に優れた効き目を発揮。

ベトネベートクリームS 5g
指定第2類医薬品
1,134円(税込)
のびがよく、ベタつかない使い心地のよいクリーム剤です。


【ストロング】フルオシノロンアセトニド
フルコートf 5g
指定第2類医薬品
1,058円(税込)
皮膚炎・かぶれが悪化し、かき壊して化膿を伴っている患部にまで効果を発揮。


【マイルド】プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルド
テレスHi軟膏S 10g
指定第2類医薬品
1,944円(税込)
治りにくい皮脂欠乏などによる湿疹、かゆみを素早く鎮め炎症を抑えます。

メンソレータム メディクイックHゴールド 30mL
指定第2類医薬品
1,296円(税込)
かゆみ・ぷつぷつなど、頭皮湿疹のつらい症状をしっかり抑えて治す治療薬。


テレスHiクリームS 10g
指定第2類医薬品
1,944円(税込)
有効性と安全性を両立したアンテドラッグステロイドと2つのかゆみ止め成分配合。


【マイルド】ヒドロコルチゾン酪酸エステル
セロナ軟膏 8g
指定第2類医薬品
944円(税込)
のびのよい油脂性の軟膏。患部がカサカサ又はジュクジュクどちらでも使えます。

セロナQTローション 14mL
指定第2類医薬品
1,543円(税込)
さらっとした透明なローション。湿疹、皮膚炎、かぶれなどの炎症やかゆみに!


ロバックHi 10g
指定第2類医薬品
1,404円(税込)
のびがよくべとつかない白色のクリーム。しっとりとなめらかな使用感です。


【マイルド】デキサメタゾン
オイラックスデキサS軟膏 12g
指定第2類医薬品
1,134円(税込)
油性の基剤で、じゅくじゅくした症状からカサカサの皮膚まで幅広く使用できます。

ラクピオンEXローション 80mL
指定第2類医薬品
1,058円(税込)
3つのかゆみ止め成分のトリプル効果!かゆみ、虫さされに。


タクトプラスクリーム 20g
指定第2類医薬品
1,080円(税込)
ベタつかず目立たない、刺激の少ないクリーム。赤み、はれを抑えます。


【ウィーク】プレドニゾロン
アレルギールクリーム 20g
指定第2類医薬品
853円(税込)
バニシングタイプのクリーム。ベタつかず、皮膚によく浸透し使用感もさわやか。

デンタルピルクリーム 5g
指定第2類医薬品
1,296円(税込)
抗炎症成分(プレドニゾロン)が腫れを抑える!口唇炎、口角炎に。


コートf MD 10g
指定第2類医薬品
1,382円(税込)
赤ちゃんの薄くて薬剤の浸透しやすい皮膚にも使える軟膏タイプの外用剤。


軟膏とクリームの違い
「軟膏」は、最も皮膚にしっかりと付着しますが、べたつきが強く使い心地はあまり良くありません。
「ローション」は、さらっとしていて使い心地は良いですが、汗やこすれ等でとれやすい傾向があります。 「クリーム」は、軟膏とローションの中間くらいの性質を持っています。
皮膚への刺激は軟膏<クリーム<ローションですので、皮膚の弱い人は軟膏を選ぶと良いでしょう。


ステロイド外用剤使用上の注意
ステロイドと言うと、「一度使うとやめられなくなる」、「体に蓄積する」、「皮膚が薄くなる」などのマイナスイメージを挙げる人がいますが、用法を守って正しく使用すれば決して怖い薬ではありません。長期に渡って大量に使用すると副作用の心配も出てきますが、用量・用法を守っているのに副作用が現れることはめったにありません。また、塗り薬の使用で体に蓄積したり全身的な副作用が出ることもありません。

ステロイド外用剤は患部だけに使用します。患部以外には使用しないでください。予防的に使用するのも良くありません。
使用回数は、1日2~3回、清潔な患部に薄く伸ばすようにして塗ります。ゴシゴシと擦り込むのは皮膚への刺激になるため良くありません。保湿剤と併用する場合には、保湿剤を塗った上から患部にだけ塗るようにします。患部をかき壊している場合には、薬を薄くのばしたガーゼで覆う方法が適しています。
使用量は多すぎても少なすぎても効果が薄れるので、必ず適量を使いましょう。一般的に使用量の目安とされているのが「フィンガーチップユニット」といわれているもので、これは、大人の手のひら2枚分の広さの患部に対して、大人の人差し指の第一関節の長さくらい(約0.5グラム)の薬の使用が適しているという指針です。


ステロイドの効果は、通常では数日から1週間程度で現れます。1週間使用しても効果が見られない場合は、皮膚科医の診察を受けるようにしましょう。症状が治まったら使用を中止してください。ステロイド外用剤の使用上の注意には「長期連用しない」とうたっていますが、この「長期連用」の期間とは約2週間ほどだとお考えください。
化膿している場合
湿疹や皮膚炎にかゆみはつきものです。かき壊してしまうとジュクジュクしてきたり、水ぶくれができたり、白いウミが出てきたりすることがあります。皮膚には本来バリア機能があって細菌が繁殖しにくくなっていますが、かき壊すことで欠損した表皮から細菌が入り込んで繁殖し化膿してしまうのです。化膿した皮膚では更なる炎症が起こり、症状が悪化してしまう恐れがあります。
このような場合には炎症の根本に作用するステロイド薬できちんと炎症を抑えることが必要ですが、前述したようにステロイドには免疫抑制作用があるので、細菌と戦う生体の免疫を抑制してしまい逆に細菌の繁殖を助けてしまう心配もあります。従って、化膿している場合には、細菌の増殖を防ぐ働きのある抗生物質が配合されたステロイド薬が有効です。 抗生物質配合のステロイド外用剤の使用方法も通常のステロイド外用剤と同じです。

テトラ・コーチゾン軟膏 10g
指定第2類医薬品
1,782円(税込)
抗生物質と副腎皮質ホルモン剤を配合した軟膏です。

テラ・コートリル軟膏a 6g
指定第2類医薬品
1,080円(税込)
化膿をともなう湿疹・皮膚炎に!抗生物質・副腎皮質ホルモン配合剤。


フルコートf 5g
指定第2類医薬品
1,058円(税込)
化膿してジュクジュクした患部や、かき壊して化膿を伴っている患部にまで効果を発揮。


にきびや毛のう炎、とびひなどの場合は、原因が細菌感染ですのでステロイドは使用せず抗生物質による感染症の治療がベースとなります。通常、抗生物質の内服による治療が行われますが、セルフメディケーションでは抗生物質の内服薬は使用できないので、代わりに抗生物質外用剤を使います。広範囲の場合、感染箇所が皮膚表面から深い場合など症状がひどい時は、内服での治療が必要なので皮膚科を受診しましょう。

ドルマイシン軟膏 12g
第2類医薬品
1,080円(税込)
けが等の化膿予防及び治療、おでき(せつ、ちょう)に!

テラマイシン軟膏a 6g
第2類医薬品
810円(税込)
二つの抗生物質が化膿に効く!複合抗生物質製剤。


クロロマイセチン軟膏2%A 15g
第2類医薬品
1,058円(税込)
のびがよく、ベタつかない使い心地のよいクリーム剤です。


非ステロイド系抗炎症薬の作用
非ステロイド系抗炎症薬は、ステロイドのように炎症が起こるメカニズム自体に作用するのではなく、結果として生じた炎症を抑えたり痛みや痒みを鎮めることが特徴です。炎症の根本を抑制していない分、薬の効き目が穏やかになります。お薬の総称で、NSAIDsとも呼ばれ、OTC医薬品の成分としてはウフェナマートがあります。
免疫抑制作用がなく作用もマイルドなので顔、唇や陰部などのデリケートな部分にも安心して使え、赤ちゃんのおむつかぶれや、よだれかぶれなどに繁用されています。デリケートな部分や小さなお子さんにステロイド外用剤を使用する場合には、できるだけ使用期間を短くすることが望ましいので、症状が改善してきたら非ステロイド剤に切り替える使い方もあります。
ただし、細菌を抑制する効果はないため、化膿性の皮膚炎に用いることはできません。

非ステロイドの外用剤には痒み止め効果のある抗ヒスタミン薬や局所麻酔薬などと配合されていることが多いので、痒みなどの症状もすばやく鎮めてくれます。使用回数や期間もステロイドほど気を使う必要がありませんが、ごく稀に薬の使用で接触皮膚炎を起こすことがあります。塗布直後の一過性の軽い刺激感や熱感は心配いりませんが、症状が続くようなら使用を中止してください。

トレンタムクリーム 15g
第2類医薬品
2,037円(税込)
べとつかず、のびがよく、塗った後も目立たない使いやすいクリームです。

エンクロン UFクリームEX 12g
第2類医薬品
1,814円(税込)
乳幼児から大人まで、顔・腕・足・からだに使えます。さっぱりとした使い心地。


エピアマートS 10g
第2類医薬品
1,341円(税込)
非ステロイド系抗炎症剤配合。皮膚炎、湿疹、かゆみ等を効果的にしずめます。

ロバックU 10g
第2類医薬品
1,490円(税込)
赤ちゃんからお年寄りまで使え、のびがよくべとつかない白色のクリームです。



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