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日本語が話せないロシア人美少女転入生が頼れるのは、多言語マスターの俺1人 作者:アサヒ

第一章: 初めましてとご挨拶

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8話: ロシア語マウント

今回、少しだけ"ざまぁ"有りです!


引き続き読んで頂きありがとうございます!


※この物語はフィクションです。実在の人物や団体、法律などとは関係ありません。

「うっわ。きもっ」

「全くの同感だな。あんな下心丸出しの提案、まともな神経してたら出来ねえよ」


 げんなりした顔で話す俺と総司。

 こういうとこ、こいつは俺と似ていて話しやすい。


 というか、海水浴ねぇ。

 チーナが誘いを理解しているとも思えない。

 おそらく、彼女があたふたして、行くとも行かないとも言っていない発言を超曲解して参加の意思を捏造したのだろう。


 難儀だ。


 俺が頭を抱えていると、


「にしてもお前、随分とクルニコワに肩入れしてるじゃないか。別に悪いことじゃないが、らしくないな」


 総司がニヤニヤ顔で冷やかしてきた。


 ほんっと、性格悪いなこいつ。


「俺もそう思うよ」




 そう返したタイミングで、先生が教室に入って来た。

 俺を含むクラス全員が席に戻る。

 廊下に出ていく生徒も何人かいたが、他クラスからわざわざ来たのだろうか。


『ヨリ、あの……』


 俺が席に着くと、チーナが声をかけてきた。

 先程の事を相談したいのだろうが、もうすぐ朝のホームルームが始まってしまう。


『だいたい状況は把握してる。後でまた話を聞くよ』

『うん。分かった』


 チーナの不安の色が少し消えた気がした。


「それでは、ホームルームを始めます。まず、昨日言い忘れたことなんですが……」


 始まった。


 先程俺が職員室に寄って来たのは、この時のため。

 今後俺の立場を分かり易く示すために、少しテコ入れしてきた。


「クルニコワさんが、インターナショナルスクールではなくこの学校に転入してきたのは、鏡くんがいるからなの」


「…………はぁ?」

「…………どういう事なの!」

「まさか、俺じゃなくて鏡の妹………」


 それを聞いて、分かりやすく動揺するクラスメート達。

 この話に関しては俺のテコ入れは関係ない。

 本当に先生が昨日話し忘れてただけだ。


「しずかに! クルニコワさんと鏡君はもともとお友達で、親御さんからも、是非ロシア語の話せる鏡君にサポートして欲しいとの事です」


 ざわざわ……ざわざわ……。


 鏡とクリスちゃんがもともと知り合いだってぇ?みたいな雰囲気がクラスに充満する。


 その中、ガタッ!っと勢いよく立ち上がった男子生徒が1人。

 そいつは立ち上がると同時に、勢いよく発言を始めた。


「先生!俺もロシア語話せるんです!だから、俺がクリスをサポートします!鏡に頼る必要はありません!」


 ……………来た!


 予想通りだ。

 てかあいつ、昨日チーナにロシア語もどきで話しかけてた奴だな。


 一夜漬け程度の知識で俺をお払い箱にしようとする輩が、きっと現れると思っていたよ。

 そのための根回しだ。


 その幻想をぶち○す!

 頼むぜイ○ジンブレイカー(先生)!


「佐々木君は、ロシア語を話せると言うんですね?知らなかったです。なら、クルニコワさんに、ロシア語で"右手を上げて"と伝えてもらえますか?ジェスチャー無しで」

「えっ……………」


 一瞬のうちに絶望に染まる佐々木。


 題して、


 僕と契約して、通訳少年になってよ!


 作戦。


 さぁ!さっさと円環の理に導かれるがいい!


「ええっと、ここで、ですか?」

「そうです。あなたが鏡くんを"必要ない"というのなら、それなりの根拠を示して貰わないと、色んな人に迷惑をかけてしまうのですよ?」


 しり込みする佐々木(今初めて名前知った)に、ド正論で攻める先生。

 さすがです。


 さぁ、どうする佐々木。

 断れば敗北を認め、似非ロシア語を話せば笑いものだ。


 みんなが見守る中、佐々木がチーナの方を向く。

 どうやら、ワンチャン掴みに行くようだ。


「えぇっと、スパスィバ、クリス」


『?』←クリスティーナ








 沈黙









 「ぷふっ!」


 耐えきれなくなって吹き出したのは総司。

 いや、わざとだな。流石だぜ相棒。

 人のメンタルを傷つけるのに関しては天才的だな!


 佐々木のやつ、かああぁって効果音が聞こえそうなほど真っ赤になってやがる。


 ならばここは、俺も動くタイミングだ。


『チーナ。悪いんだけど、右手上げてくれないか。大事な事なんだ』

『え、こう?』


 俺がわざと大声でみんなに聞こえるように言うと、チーナはキョトンとしながらも右手をぴょこんと上げてくれる。


 ドヤァ。


『え、なに?どゆこと?』

『大丈夫大丈夫。後で説明するからもう下ろしていいよ』


 チーナがクエスチョンマークの雪だるまになって聞いてくるので、俺はわざと仲良さげに話して見せびらかす。


 佐々木が悔しそうに………座った。


 気持ちいいいいぃ!

 はーーーー、ざまぁ!


 今までの事を許す訳じゃないが、少し気分が良くなった。

 今日1日頑張れそうだ。


「佐々木くん。クルニコワさんの為にロシア語を学ぶ事はとてもいい事です。国際交流の醍醐味の1つですしね。クルニコワさんの勉強や生活の為には、きちんと通訳できる人が必要という話です。あなたが勉強してクルニコワさんとお話ししたいという気持ちを、否定するわけでは無いことは分かってくださいね」


 先生がきっちりフォローを入れていく。

 まぁその通りだろう。

 俺以外もコミュニケーション取れるようになれば、その分誤解(拡大解釈)も生まれにくくなる……………はずだ。


 と言っても、奴らがロシア語を話せるようになるより、チーナが日本語を理解する方が早いだろう。


 何日かチーナに教えていて分かった事だが、彼女はかなり頭がいい。

 飲み込みが早いし、数学とかあまり言語の関係ない課目ならすらすらと解いていた。


 思ったより早く、俺の負担は減るかもしれないな。


「とりあえずそういう事なので、皆さんクルニコワさんに伝えたい事がある時は、鏡くんを通すようにしてください。それと、授業中にも彼がクルニコワさんに同時通訳することがあると思うので、そこも理解しておいて下さい。鏡くん、お願いしますね?」


 きっちり俺の要求に答えてくれた先生。

 これで今後、俺の立場がある程度ハッキリしてやりやすくなることだろう。



「もちろんです、先生。……ありがとうございました」







宜しければ、ブックマークや評価☆よろしくお願いします!


ま〇マギの考察するのって楽しいですよね。

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