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日本語が話せないロシア人美少女転入生が頼れるのは、多言語マスターの俺1人 作者:アサヒ

第一章: 初めましてとご挨拶

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7話: うわ、きっも

本日3話目!


18時に第8話投稿です!


明日からは1日1話ペースになるかと思います!


※この物語はフィクションです。実在の人物や団体、法律などとは関係ありません。

 次の日。


 朝5時半に起床。


 基地内にある浜辺で日課のビーチランニングをこなした後、家に帰ってシャワーを浴びる。


 着替えながらトーストを焼き、コーヒーを入れて朝食を取り始める。

 この時点で6時45分。



 いつも通りの時間、いつも通りのルーティン。



 ただ、今日はいつもと大きく違うことがあった。

 それは、俺がトーストの角を1口かじって、コーヒーを口に含んだ直後。


 ガチャり。


 ドアが開く音がして、リビングにチーナが入ってきた。


『ヨリ。おはよう』

『ぶっ!』


 っぶねええぇ!コーヒー吹き出すとこだった!


 だっていきなりなんだもの!

 いつでも来ていいって言ったけども!


『ごほっ!ごほっ! お、おはようチーナ。早いな』

『大丈夫?ごめん、急に来ちゃって』

『いや、いきなりでびっくりしただけだから。俺が来ていいって言ったんだから、堂々と来てくれていいよ』


 呼吸を落ち着け、改めてチーナを見やる。

 学校指定の白地に紺のセーラー服。


 今は夏だから半袖だ。


 日本人が着るセーラー服と、色の薄い肌のチーナが着るそれとでは、随分と趣が違う。

 セーラー発祥地がイギリスだったからか知らないが、服自体が正しい人に着られてる感が凄い。

 ただ単にチーナが美少女で、なんでも似合ってしまうだけかもしれないが。


『ところで、朝飯はちゃんと食ったのか?』


 俺はトーストを頬張りながら問いかける。

 チーナはテーブルの俺の向かいに腰掛けながら、


『食べてない。食欲なくて………』


 と、少し照れるように答えた。

 チーナは少し夏バテ気味である。


 それも無理がない事で、ロシアのそこそこ寒いところから来た彼女にとって、日本の高温多湿な環境はかなり辛いのだ。


 昨日あの後も、食欲が無いと言っていたのだが、うどんを冷やしぶっかけにして作ってやったら、物珍しさでなんだかんだ食べていた。

 だからまぁ、今日の朝食を抜いた程度ですぐにどうこうなるとは思わないが、やっぱり少し心配になる。

 俺は席を立って、食べきりサイズのカップヨーグルトとスプーンを取ってくる。


『とりあえず、これだけでも食べとけ』




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 家を出て、現在登校中。


 何となく一緒に行く流れになったので、普段のバイク通学は諦めバスでの登校。


 そのバスの中で、隣に座り窓の外を眺めていたチーナが不意に口を開いた。


『そういえば、昨日はありがとね』

『ん?なに?』


 無言でスマホをいじっていた俺は手を止め、チーナを見やる。



 あ、顔ちっか!



 俺は無言で目を逸らす。


『な、なにが?』


 俺は腕置きに肘を付いて、誤魔化すように問い直した。

 前から思ってたけど、俺ってウブ過ぎないか?


『昨日学校で、ずっと守ってくれてたでしょ?私が囲まれてる時』


 なんだ、その事か。

 守ってくれるなんて痛い言葉、よく真顔で使うなぁ。

 俺は無理。


『ヘイト集めてただけだよ。それ自体はいつものことだ』


 対する俺は照れ隠し。


 それを聞いたチーナは、


『伊織、嫌われてるの?』


 的確に急所を突いてきた。

 心配するような視線を感じる。痛いからやめて?


『……………俺を本当に嫌ってるのは、一部の奴らだけだから、気にすんな』


 半ば自分に言い聞かせるように返す。


 まぁ、いくら言葉分かんなくっても、昨日の雰囲気から察するよなぁ。


 その時、学校近くのバス停に着いたようなので下車し、そこでチーナとは一旦別れた。


 そのまま職員室に寄り、担任のたちばな先生とチーナについて少し話し合ってから、教室に向かった。


 いつまでもあんな調子では、いつか誰かをぶち転がしてしまうかもしれない。

 俺魔族じゃないけど。


 にしても、チーナと一緒に登校している所をなるべく見られたくなかったから先に行かせたが、やっぱりチーナも職員室に連れていくべきだったかもしれない。



 教室に放置して、面倒な事になっていないといいが。



 自分の教室に近づくにつれ、毎朝恒例にっこにこ世間話超会議の喧騒が聞こえてくる。


 そして俺のクラスは、いつも以上に騒がしい気がした。


 嫌な予感がする。


 急いで後ろの引き戸を開け、教室に1歩踏み出す。

 すると、一際大きな声ではしゃぐ男子生徒の声が耳に響いた。


「それじゃ、クリスも参加ってことで、けってーーーい!」


 うっわぁ。


 これめんどいやつぅ〜。


 とにかく状況を把握しないといけない。

 チーナ本人に聞いても分からんだろう。

 現に頭にクエスチョンマーク浮かべて振り回してるし。


 となると、話の出来るやつは………


「おい総司そうじ、これどういう状況だ?」


 教室の右後ろ。

 入口のすぐ近くの席に座る、目つきの鋭いヤンキー然とした長身の男子生徒………清水しみず 総司そうじに、俺は現在の状況に至ったいきさつを尋ねる。


 総司は見た目ヤンキーだし実際態度も粗暴であるが、素行は割と普通。

 おまけに顔がいい。

 例のイケメンくんとはまた違った怖メンとして、女子から密かに人気があり、詩織と釣り合うのはこの2人ぐらい何じゃないかと噂になっていたりもする。


 そして、俺の数少ない友人……もとい悪友である。


「あぁ、クルニコワのことか。全部聞いてた訳じゃないが……」


 頬杖をつきながら、興味無さそうに総司は答える。


「どうにもクラスのミーハーどもが、クルニコワ歓迎会と称して週末海水浴に行こうって話らしい」




「うっわ。きもっ」






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ほんと、友達と海水浴なんてイベント、どこで発生するんでしょうね。

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