安倍氏、「桜を見る会」で国会説明へ 政権打撃回避狙う

政府・与党、支持率下落に危機感

 衆院本会議を終え、大勢の報道陣に囲まれて質問に答える安倍前首相(12月4日午後、国会)=共同

安倍晋三前首相は18日、後援会が主催した「桜を見る会」前夜祭を巡る問題で、東京地検特捜部の捜査結果が出た後に国会で説明する意向を示した。菅義偉内閣の支持率低下に危機感を強める与党は、政権への打撃を避けるため早期の幕引きを狙う。

安倍氏は18日、国会内で記者団に「現在、検察で捜査中だが結果が出次第、誠意を持ってお答えさせていただきたい」と述べた。「当然、国会に対しても誠実に対応していきたい」と話した。

加藤勝信官房長官は18日の記者会見で「国会運営は国会で決める。国会が決めたことには政府は誠実に対応していく」と語った。

首相経験者が国会答弁すれば橋本龍太郎氏が2004年に衆院政治倫理審査会で日本歯科医師連盟からの献金問題について釈明して以来となる。

報道各社の世論調査で菅内閣の支持率は足元で下落傾向が鮮明になっている。政府の観光需要喚起策「Go To トラベル」を巡る対応などに批判が集中している。

来年1月召集の通常国会は予算審議に加え、首相が「既得権益の打破」を掲げて推進する行政のデジタル化や規制改革関連法案など目玉政策の法案審議も控える。来年は衆院選もある。

与党は政権への悪影響を避けるため、安倍氏を巡る事案は通常国会まで引きずりたくない。捜査の状況次第では早ければ年内に安倍氏が国会で説明する場を設ける。

自民党内では衆院議院運営委員会理事会で安倍氏が自らこれまでの見解との整合性などについて弁明する案がある。

公明党の山口那津男代表は18日、記者団に「安倍氏の過去の答弁内容と食い違う部分があれば国会で聞くべしという声が強まる」と主張した。

野党は安倍氏の衆院予算委員会での証人喚問を求める。立憲民主党の安住淳国会対策委員長は「予算委に来ないとだめだ。偽証罪を問えるような厳しい状況で答弁してしかるべきだ」と訴えた。

前夜祭は政治団体「安倍晋三後援会」が13~19年に毎年、都内のホテルで開いた。地元の山口県の支持者らが1人5千円で参加した。

関係者によると、前夜祭の総費用は会費の総額を超え、安倍氏側が5年間で約900万円に上る差額を負担した。政治資金収支報告書に記載されていない疑念がある。

安倍氏は首相当時の国会答弁でホテル側との契約主体は参加者個人で、安倍氏側は仲介しただけだと説明した。ホテル側の明細書の発行はなく、「後援会としての収入、支出はない」「事務所側が補塡した事実もない」などと重ねて答えた。

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