第8話：追放と覚醒【八】
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タイトル：自分を落ちこぼれだと信じてやまない一般男性が、レベルアップとダンジョン飯で優勝する物語～落第冒険者の無自覚無双～
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ラームたち大魔司教の撃退に成功した直後、
「ぅ、ぐ……」
ゼノさんはゆっくりと膝を突き、そのまま前のめりに倒れ伏した。
「ゼノさん、いったいどうしたんですか！？」
「はぁはぁ……っ。すまない、＜
彼は額に玉のような汗を浮かべながら、そう話してくれた。
（ギフトの反動……。そう言えば、聞いたことがあるな……）
一部のギフトは、術者に大きな力を授ける反面、とてつもない負荷を掛ける、と。
（でも、これぐらいの消耗具合なら、＜
俺はすぐに＜上位回復＞を発動。
淡い光がゼノさんの全身を包み込み、ギフトの反動とやらを全て消し飛ばした。
「な、なんと……っ。」
完全回復を果たした彼は、信じられないとばかりに目を見開いた。
「す、すげぇ……っ。神殿の賢者様でも、これほどの回復魔法は使えねぇぞ！？」
「第六位階を斬り裂く剣術・第八位階を無効化する体・世界最高レベルの回復魔法……これほど優秀な人が、どうしてこんな山奥で
「きっとアレだよ。俺たち常人にはわからねぇ『天才ゆえの悩み』ってのがあって、人里を離れたんだろう」
俺の気のせいじゃなければ……戦士隊の人たちは、羨望の眼差しをこちらへ向けていた。
（天才ゆえの悩みとか、そんな格好いい理由じゃなくて……。あまりにも無能過ぎて、家を追い出されただけなんだけどなぁ……）
さすがにそんな恥ずかしいこと、自分の口から言うことはできなかった。
■
その後、戦士隊の出立準備が整い、いよいよ彼らが村を離れようかという頃――何やら思いつめた表情のゼノさんが、ゆっくりとこちらへ歩み寄ってきた。
「……ルーグ殿。もしよろしければ……一戦、お願いできないだろうか？」
「一戦って……戦うということですか？」
「うむ、そうだ」
彼はそう言って、腰に差した剣を抜き放つ。
「せ、戦士長！？ 頭、おかしくなっちゃったんですか！？」
「ルーグ殿は、第八位階の魔法を無効化するような『正真正銘の化物』っすよ！？」
「こんなものは戦いと呼べません、ただの自殺行為です！ そもそも、いったいなんの目的があって、戦うというのですか！？」
戦士隊のみなさんは、声を大にして反対した。
「無謀な戦いであることは、百も承知の上だ。しかし――王国を守護する戦士長として、自分がどこまでやれるのかを確かめたい。……いや、『超えるべき壁の高さ』を確かめねばならん！」
ゼノさんの瞳にはどこまでも真っ直ぐで、力強い意思が宿っていた。
「……わかりました。一戦、やりましょう」
こうして僕は、王国の戦士長ゼノ＝ドルファと戦うことになったのだった。
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