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  東大卒のマジックエアリスト

東大卒のマジックエアリスト マジックエアリスト|Daisuke Hyuga

  • ストリートアカデミーでは、教えて頂く先生方に、教える講座や本業のお仕事などについて、随時インタビューを行って行きます。トップバッターとして、東大卒のマジック・エアリスト、日向大祐さんにお話を伺いました。

マジシャン

  • まず始めに簡単な自己紹介をお願いします。本業は何をやられていますか。

    マジシャンとして活動しています。主にレストランや法人のパーティ、また個人のお誕生会などでマジックをパフォームしています。また自分で台本を書いて演出も手がけるオリジナルのマジック・ショーを都内の劇場で上演したりもします。その場合は劇場だからこそ出来る演劇的な要素なども取り入れたショーにする事が多いです。数で言うとレストランが一番多いですかね。

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  • マジックにも色々と種類があるのでしょうか。そういう意味では日向さんは「何系」のマジシャンになるのでしょうか。

    所謂マジックのカテゴリーで言うと「クロースアップ」マジックという分類になります。目の前で見せる手品の種類ですね。私は自分の仕事を「マジシャン」というより「マジックエアリスト」と呼んでいるのですが、 普段から意識しているのは、マジックの不思議さを作り出すだけが自分の仕事ではない、ということです。その場にいる人達同士が笑顔になり、お互い打ち解けるような空気を演出できる、そんな空気作りのスペシャリストでありたいと思っています。

経緯

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  • 東大のご出身と聞いています。これは良く聞かれる質問なのかもしれませんが、東京大学の大学院まで出ておられて、どういう経緯でマジシャンになられたのですか。

    東京大学では精密機械工学専攻で学部を卒業しまして、その後、新領域創成科学研究科環境学という学科で修士課程を終了しました。

    大学に行くまでは勉強ばかりしていたので、自分が何をするのかあまり明確に決めていなかったんですね。ただ元々子供の頃から何かを表現することと人と関わる事をしたかったという願望はありまして、大学に入ってからサークルで芝居やマジックを始めました。大学院を出てから数年は舞台役者をやっていました。マジックを初めて仕事として演じたのは、レストランでのマジックでした。ただやって行くうちにマジックが思ったより奥が深い事に気づいて、その道を極めてみたいと思いました。

    マジックって勘違いされやすいんですが、小手先の技術で人を驚かすだけの芸ではないと、私は考えています。「これって面白いよね」とか「ありえないでしょ!」とか、その場で起きる出来事や雰囲気を観客と共有する事によって、気持ちをつなげることのできるコミュニケーション・ツールでもあるんですね。人によって「面白い」と思うポイントが違うので、こちらの演じ方によってお客さんの喜び度合いも変わってきます。

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  • ちなみに話を東大に戻させて頂きますと、東大出てマジシャンになられた方って他にもいらっしゃるのですか。

    少ないですね。私が知っている限りでは3人位ですね。まあ東大があまり多くマジシャンを輩出してもそれはそれで問題だと思いますが(笑)。東大はいい意味で突き抜けて物事を考える人や変わった人が多いので、刺激にはなりましたね。私の場合、こういうステップを踏んで今の道になったというのはなくて、ただ自分のやりたい事を入学してから考え出して、やりたい事をやっているうちに自然と今の道が開けたという感じですね。

  • 次に教えるというトピックに移りたいと思いますが、今まで講師としてはどんなことを教えたことがありますか。

    学生向けのワークショップやマジック愛好家へのレッスンなどを開いた事も含めると、十数回は教えた経験がありますね。慶応大学で奇術心理学を講義したことなどもあります。私はマジックという枠にとらわれずに人との関わり方・コミュニケーション術についてなど、教えることは好きですね。

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  • 今回ストリートアカデミーを使って開催される「マジカル・コミュニケーション」ですが、こちらについて少し教えて下さい。どういった方を対象とされていて、受講者はこの講座でどういった事を学べますか?

    手先のマジックのテクニックも教えるんですが、どちらかと言うと、人との関係におけるコミュニケーション術をマジックを題材として扱いながら学ぶという場です。どういう風に相手と向き合うか、人との場をどう楽しくするか。具体的な話をしますと、相手をリラックスさせる、協力しやすくさせるなどの対人スキルというものも含まれます。よく「あの人は人に好かれる才能がある」「心を掴むのがうまい」など、対人スキルは「先天的素質」で語られる事も多いですが、私は意識すれば身につけられるものもあると思っており、そういうエッセンスを楽しく伝えられれば良いなと思っています。

    勿論、単純にマジックってどういう風にするんだろうという興味本位で来て貰うのも、ウェルカムです。そしてこの講座を通じて、マジックの技の先にもっと深くて面白い物があるという事を少しでも知って頂ければ本望です。

教えるイベントを開催する際に、一番困った事は何ですか。

  • 集客は毎回困りますね。端的に言うと、学びたいという意識を持った集団だけに集中的にアピールすることができないんです。ブログもやっていますが、いくらアクセスが多くても、エンターテイメント要素だけ求めている人も多いので、学びたい人はそのうちのごく一部だったりします。

何故ストリートアカデミーを使おうと思いましたか。

  • 良いエネルギーが流れているなと感じました。教える人を探す際に、のれんに腕押し的な場ではなくて、学びたい意識のある人と直につながれるという所ですね。特にマジックは特殊なスキルなのでもっと一般的な習い事に比べてオーディエンス層が狭いのですが、特殊なものまで含めて対等に扱われる或は逆に面白がった貰えるという所、また選択肢が何でもありな雰囲気が良いですね。

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  • 最後に、逆に生徒として何か学んでみたいものはありますか。

    アカペラ、ボイスパーカッション、発声、語学などですかね。私は、マジックは接客、演技、パントマイムなども含めた総合芸術だと思っているので、芸の肥やしになることは何でもやって行きたいですね。どん欲さを失うと成長が止まってしまうので。他のパフォーミング・アーツに比べて、マジックは、人前で演じられるようになるまでの時間が一見短くて済む感じがすると言われています。ですが、さらに芸としての深みを出すためには手先の技術以外の部分も学ばなければと私は思っています。一生、勉強ですね。

    日向さん、長い時間お付き合い頂いてありがとうございました。是非ストリートアカデミーでスター講師になって下さい!


  • 先生のプロフィール

    日向 大祐

    日向 大祐さん(Daisuke Hyuga)

    プロマジシャン。専門分野は、お客様の目の前で演じる「クロースアップマジック」。マジックを通して、お客様同士が笑顔で打ち解ける空間を創る「マジックエアリスト」として活動し、国内外で受賞多数。2009年、伝統ある欧州のマジック大会「Blackpool Magic Convention」にて優勝、日本人初のヨーロッパチャンピオンに輝く。マジック界のオリンピック「FISM」北京大会日本代表。

    2011年より劇場でのショー「シアトリカルマジックライブ」を上演。自ら脚本・演出・出演し、毎回チケットが完売する人気公演となる。

    東京大学工学部・同大学院卒

先生の教えている講座

※2013年05月09日現在の情報です。

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