今回はハイランドモルト、グレンゴイン10年を飲みます。

ローランドとハイランドの境界線

goyne10_1_グレンゴイン蒸溜所は、グラスゴーから北に20kmの場所にあり、スコッチウイスキーの分類におけるローランド地方とハイランド地方の境界線に近く、ハイランドウイスキーの蒸溜所としては最南端にあります。

グレンゴイン周辺は、ウイスキーに高い税金が課せられた時期においては密造酒製造が盛んにおこなわれたところとして知られています。
その後税金が緩和され、グレンゴイン蒸溜所に製造許可が下りたのは1833年のことでした。

1876年にはラング・ブラザーズ社が買収し、その後同社が様々な企業に買収されつつも、現在もこの蒸溜所を運営をしています。
オフィシャルのシングルモルトだけではなく、ブレンデッドウイスキーのラングスにも使われています。どちらかと言えば、元々はラングス専用の原酒だったのを1990年代になってオフィシャルのシングルモルトとしてリリースしたようです。

グレンゴインの特徴としては、比較的早くからピートを使わないフロアもるてぃんぐを行った大麦麦芽、ノンピートモルトを使っていることです。
これによって、ピートからくるスモーキーな香りを大幅に抑えることができて、癖の少ない原酒になります。

今回飲む10年物では、バーボン樽を使ったリフィル樽の原酒を中心に、ファーストフィルのシェリー樽原酒を加えたものになります。比率としては7:3のようです。

フルーティでとても飲みやすい

グラスからの香り、液色

グラスからは、白ブドウや青リンゴといったフレッシュなフルーツの香りがやってきます。
液色は中庸な琥珀色です。

ストレート

アルコールの刺激は少なく、白ブドウあるいはラムレーズンの香りが一気に広がります。その後、青リンゴ、カラメルが続きます。

味わいは、アルコールからの辛みは少なく、ほろ苦さ、やわらかい酸味の後に甘みが広がります。

ロック

白ブドウの香りの後にレモンの香りが一気に広がり、さわやかさがさらに増してきます。
奥のほうからはカラメル、青リンゴも引き続き感じられます。

味わいは、酸味がエッジを利かせたように強まり、軽い苦みを経て甘みへと変化します。

ハイボール

1:3で割ると、白ブドウの香りがへたることなくしっかり感じ取れます。その後はリンゴの蜜のような甘い香りが続きます。

味わいは、少々とげのある刺激を伴った酸味が先に訪れ、後から甘みが広がります。

まとめ

全体的にアルコールの刺激や苦み、癖が少なく、ストレートでも飲みやすくなっています。
ノンピートモルトを使っていることや、ローランド地方に近い立地と気候もあって、穏やかさと華やかさが兼ね備わった仕上がりになっています。

ウイスキーというよりもブランデーに近い印象がありますが、ウイスキーを飲みなれていない人にもお勧めできるでしょう。

700mL、アルコール度数40度、価格は3500~4000円ほど。
スコッチモルトも値段が上がる傾向にありますが、10年物としては比較的手に入りやすいかと思います。

<個人的評価>

  • 香り B: 白ブドウ、青リンゴのフレッシュなフルーツ、カラメル。加水でレモンも。
  • 味わい A: ストレートでもアルコールの辛みが少なくて飲みやすい。酸味が先んじて甘みが広がる。
  • 総評 A: 初心者でも取っつき易く、甘くて香りがしっかりしている。