武田 チャンネル数が多すぎます。チャンネルがあるから制作せざるを得ない。衛星やラジオを減らすなど、具体的にやっていけばいい。無駄な番組の制作が制作費に跳ね返り、受信料が跳ね上がるわけです。それをやめて還元すればいいわけですよ。

NHK前田会長に切り込みを期待
「結果のみを待っている」

馬渕 みずほフィナンシャルグループを率いてきた前田さんが、NHKを率いることに対してどのようにお考えですか。

武田 あれだけの足跡をお持ちの方です。期待しています。メガバンクのトップ、全国銀行協会の会長、国家公安委員会委員もやってきた、経験豊富な方です。今までの経験を生かしてNHKにどう切り込んでいくのか、われわれとしても興味深く拝見しています。

 ただ、プロセスをどう踏むかではなく、われわれとしては国民のためにしっかり結論を出してもらいたい。途中経過における意気込みやスローガン、努力などについて、私は全然問わない。「結果」を期待しています。前田さんが人事も含めて何をすべきか、今までの経験を基に選択されることでしょう。

馬渕 武田大臣は「結果」を待っていると。この先の見通しはどうでしょうか。

放送法改正案の国会提出に向けて
「NO!はNO!」ではっきり示す

武田 次期通常国会に、NHKのことに関して放送法改正案を提出することを考えています。今後、前田さんサイドからいろんな具体的な案が出てくると思います。ただ、「NO!はNO!」ではっきり言おうと思います。その方が前田さんも楽だと思います。私も責任というのを共有しながらね、やっていきたいと思っていますよ。

馬渕 前田会長はNHKの会長に就任して1年です。

武田 今までお伝えしたように、方向性は決まっています。前田さんはNHKという組織のトップに着任して1年、組織の動かし方については、ここからでしょう。しかし、会長職を受けていただいたのですから、しっかりとやってもらわないと困るっていうのが私の立場から申し上げることですね。結論だけはしっかりと示してくださいということです。

※編集部注
NHKの前田会長はみずほフィナンシャルグループ取締役会長、経団連副会長などを歴任した人物。20年1月の会長就任以来、さまざまな改革に挑戦している。ただ、見送らざるを得なかったテレビの設置届け出義務化など「効率的な徴収」を強化しようとの姿勢もにじむ。

馬渕 今は、ご苦労が垣間見えるなという感じですね。金融という全く違う分野からNHKの会長に就任され、課題山積でいろんな部分で改革していかないといけないわけです。NTTドコモが携帯料金の値下げで先陣を切ることに注力した、NTT(日本電信電話)の澤田純社長と同じようにはまだいきませんよね。

武田 とはいえ、できるだけ早く決断をしていただきたい。決裁権を持っているわけですから。経営委員会の皆さんは、国民の代表である衆参両議院の同意を得て、内閣総理大臣により任命されます。国権の最高機関である国会の同意を得て経営委員を選ぶわけです。まさに国民の代表として、しっかりとしたチェック機能を果たしていただきたいというふうに思います。

馬渕 直近、首相動静を拝見していると菅義偉首相と2人でお会いしています。NHKの話や今後の他の改革ついて話をされているのでしょうか。

武田 総理には、改革については任せてもらっています。途中経過については報告をしています。

馬渕 NHK改革が進むことを期待しています。本日はありがとうございました。