武田 NHKは災害や選挙放送を担っています。また、視聴率やスポンサーの色が付かないという面では、公共放送としての役割を果たしています。しかし、国民から「携帯電話はいいけれど、NHKは許さん」というような声が出ている今こそ、NHK自身が視聴者を顧みる最後のチャンスではないでしょうか。「公共放送としてどうあるべきか、考えてもらいたい」と私はNHKに対して言っていますよ。

馬渕 携帯料金に関して、武田大臣は「NTTドコモは実に6割強の値下げだ」と評価しています。NHK受信料の値下げは、どれぐらい下げるイメージですか。

武田 受信料の値下げをはじめとして、NHKには改革を進めていただきたい。やり方はさまざまあるでしょう。それを公共放送の立場として、まずはNHK自身で考えていただきたい。

NHKは“放漫経営”
受信料値下げにぐずぐず言うのは常識がない

馬渕 今後は、NHKから出された案に対して、今回の携帯電話のように「それではいかん」といった意見をおっしゃる可能性もあり得るのでしょうか。

武田 もちろん、あります。国民目線に立って、「何をやっているのか」と思う部分があればお伝えしていく。今まで、ある意味で“放漫経営”なわけです。収入の大半が受信料でありながら「内部留保」に当たる繰越剰余金が1280億円も積み上がっています。剰余金全体を見ると、連結決算で建設積立基金と子会社の剰余金を含めれば、3700億円くらいあるわけです。そして、毎年200億円ぐらいの黒字を計上してね。20年11月下旬に公表した中間連結決算は、純利益に相当する事業収支差金が約430億円です。これだけの利益を出しているのに、受信料の値下げをぐずぐず言っているってこと自体が、国民に対して常識がないですよ。

馬渕 コロナ禍で家計が苦しい国民に還元していくべきだと。

武田 当たり前のことです。このコロナ禍において、早く決断して早く国民の負担を減らさなければ。1カ月値下げが遅れるごとに国民の負担が1カ月増えるわけです。

※編集部注
NHKの受信料制度などについて議論する総務省の「公共放送の在り方に関する検討分科会」が11月20日、報告書案をまとめた。案には、テレビを持っているにもかかわらず、契約に応じない世帯に対して新たに「割増金」を課す制度の新設が盛り込まれた。国民負担軽減の観点よりも、「どうやって取り立てるか」に力点が置かれている点に武田総務相は不満を示しているといえる。