「酒米の王者」と呼ばれる山田錦の収穫が兵庫県三木市内で始まった。今年は夏の猛暑と降水量ゼロが農家を悩ませたが、黄金色に輝く稲穂が実った。刈り取りは既にピークを迎えており、10月中旬ごろまで作業が続くという。
米の中心部にあるデンプン質の白い塊「心白(しんぱく)」が大きいことなどから、酒米最適種とされる山田錦。品質の高い地域を「特A地区」とし、同市吉川町や口吉川町などは最も良い「特A-a」として名をはせる。
収穫は、出穂時期から毎日の平均気温を積み上げる「積算温度」が目安となるが、8月に急激な猛暑が襲い、熱帯夜も続いた。JAみのり吉川営農経済センターは「7月時点では収穫が遅れると思っていたが暑さで一気に早まった」と説明する。ある農家は「例年よりもみ殻が厚く粒が小さい傾向。生産量はやや少ないかもしれない」と話す。
また、市内の8月降水量は1977年の統計開始以来、初のゼロを記録した。上松地区営農組合(吉川町)の西田忠史組合長(72)は「夏場の水管理には本当に苦労した」と振り返る。
「よう心白が出とる」と稲穂から取り出した米を手にほほ笑む西田組合長。新型コロナウイルス感染症で日本酒の消費は落ち込んだが「今年も心を込めて米を作った。ぜひ、山田錦を使ったお酒を飲んでほしい」と話した。(篠原拓真)
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