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大阪市全域に時短要請拡大 「冬乗り越えるために」

2020年12月15日

 大阪府内で新型コロナウイルスの感染者数が高止まりする中、府は14日、感染を抑えるためにより厳しい措置を取ることを決定した。重症者を受け入れる病床は依然として逼迫(ひっぱく)し、強い危機感から一段上の対応に踏み切った。今回の時短営業・休業要請のエリア拡大や、府民への不要不急の外出自粛要請の延長により、「第3波」を抑え込みたい考えだ。

府民への不要不急の外出自粛を要請する吉村知事=14日、府庁

 同日、府庁で新型コロナウイルス対策本部会議を開催。11月27日以降の大阪市北区と中央区の全域を対象にした一部飲食店への時短営業要請などにより、感染の急拡大に歯止めがかかったと報告された。

 しかし、強い感染抑制には至っていないとも分析。次の感染拡大の波に医療提供体制が対応できなくなる恐れがあるとして、徹底した感染抑制の必要性が示された。

 府の専門家会議の委員の見解として、府医師会の茂松茂人会長の「これ以上の感染者増加は、現場のキャパシティーを超え、地域医療の崩壊につながるような状態だ」との意見が紹介され、医療提供体制の厳しい状況が浮き彫りに。府民に対しては「危機感の再認識」が必要だとした。

 時短営業の要請のエリア拡大について、会議後、吉村洋文知事は「範囲を少し広げることによって、今は高止まりだが、減少の効果を生み出したい。大阪市内での感染が減れば、大阪全体の感染は減ると思う」と狙いを説明。

 一方、経済へのダメージも懸念される。忘年会シーズンの書き入れ時の時短営業・休業要請のエリア拡大や延長により、飲食店などの経営に深刻な影響が及ぶ。吉村知事は「この冬をどう乗り越えるかが一番重要だ。年末で書き入れ時なのは分かる。いろいろなお願いをするのも心苦しいが、何とか、このひと冬を乗り越えるためにも協力をお願いします」と求めた。