「支持率急落」ようやくGoTo止める 経済重視 なお小出し、政府のコロナ対策
2020年12月15日 05時50分
新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない中でも、菅義偉首相は観光支援事業「GoToトラベル」の見直しに慎重だった。経済を重視するためで、対応を取る場合も小出しを続けてきた。事業継続に国民の疑問が強まる中、東京と名古屋市を目的地とする旅行を27日まで一時停止としたが、全国一斉の一時停止は28日以降。小出し対応は変わらない。(清水俊介)
◆成果なかった「勝負の3週間」
「(新規感染者が)3000人を超える中、年末年始は集中的に対策を講じられる時期だと思い、停止する決断をした」。首相は14日夜、記者団に全国一斉で一時停止する理由に、感染者数の増加を挙げた。
感染抑止に向け、国民に協力を求めた「勝負の3週間」が終わりに近づいた14日に、首相がようやく全国一斉の一時停止を表明したことに、政府関係者は「勝負の3週間は思ったような成果が出なかった。やるなら徹底的にやるということだろう」と語った。
◆「東京外し」ためらった末に
首相は年末年始の一斉停止と合わせ、東京を目的地とする旅行の一時停止も表明した。政府の分科会が「トラベル」事業の見直しを提言したのは11月20日。政府は、東京を事業から外すことには、経済への悪影響が避けられないとみて一貫して慎重だった。
首相が今月1日、小池百合子都知事との会談で合意したのも、65歳以上の高齢者と基礎疾患のある人に利用の自粛を呼び掛けることだけだった。
東京を目的地とする旅行は一時停止されるが、東京出発は27日まで停止対象外。自粛を呼び掛けられるとはいえ、都民はあと10日ほど、事業を利用すれば旅行代金が割り引かれる。政府関係者は「人口が多い東京からの出を止めると、事業の意味がなくなる」と指摘した。
◆「感染拡大」よりも「世論」
首相は全国での一時停止の理由に感染拡大を挙げたが、世論に押されたとの見方がもっぱらだ。報道各社の最近の世論調査では「トラベル」の停止を求める声が多数となっている。
5、6両日の共同通信社の世論調査では、東京を含む停止を求める回答が78.2%に上り、内閣支持率も前回11月から12.7ポイント急落。毎日新聞の全国世論調査(12日実施)では、内閣支持率40%は前回より17ポイント下落。不支持率(49%)が初めて支持率を上回った。
首相周辺は「世論調査で決めるわけではない」と否定するが、自民党関係者は「支持率急落は大きい」と指摘した。
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