学力の差が球平族を作るわけではない。テキサス工科大学の研究者は、2017年にノースカロライナ州、2018年にコロラド州で開催されたカンファレンス参加者30人にインタビューした。このうち60%が大卒以上だった。これは米国の大卒者の割合(46%)を上回る。30人のうち29人は動画投稿・共有サイト「ユーチューブ」で関連動画を見た後、球平族になったという。たった1人だけ、娘と婿の影響で入会したが、その娘と婿もユーチューブで球平族になったので、皆ユーチューブが影響を与えたということになる。
かつては点のように散らばっていた球平族が、ユーチューブのようなプラットフォームのおかげで勢力を築くことができるようになった。球平族は彼らだけの世界では安穏だ。ユーザー滞在時間を増やさなければならないソーシャル・メディアは、球平族の興味に合わせて関連記事を連続で推薦し、見たいものだけ見、聞きたいことだけ聞く球平族の確証バイアス強化の一助となった。
球平族に似たような人々は私たちの身の回りのどこにでもいる。好きな指導者がなさることは頭が割れても擁護しなければならない、という「テッケ族」(テッケムン=頭が割れても文在寅を支持するという人々)がその代表的な例だ。見かけは完ぺきなのに、制度と権威を信じず、自分の信念に固執し、群れをなして勢力を誇示する。今後はテッケ族がさらに増えそうだ。最近は「ドナルド・トランプ米大統領が再選に失敗したなんて話にならない」という「テッケト(頭が割れてもトランプ)」までもがテッケ族の群れに合流した。ところが、問題なのは、テッケ族は球平族より有害である可能性があるという点だ。少なくとも球平族は自分と考えが違う陣営を攻撃しない。
キム・ジョンフン記者