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富山新聞

イタセンパラの産卵阻害 氷見の川、外来魚影響を確認

2020/09/05 01:47

 国指定天然記念物で、国内希少野生動植物種の淡水魚「イタセンパラ」の生息数が減少しているのは、同じタナゴ類の外来種「タイリクバラタナゴ」による産卵活動の阻害が関係していることが、NPO法人Bioクラブ(氷見市)の川上僚介代表らの4日までの研究で分かった。市内の万尾川で、イタセンパラと酷似するこの外来種とイタセンパラがペアをつくり、産卵に失敗するのを確認した。

 

 この外来魚が侵入した川では、イタセンパラが減少するとされていたが、具体的な原因行動が判明したのは初めてという。研究成果は、8月20日に発行された日本魚類学会の魚類学雑誌に掲載された。

 

 イタセンパラはイシガイなどの二枚貝に産卵。雄が貝の周囲を縄張りにした後、雌が貝に卵を産み、雄が精子を出して受精する。

 

 川上さんは2014年9月に万尾川の水中で撮影した映像を分析。タイリクバラタナゴの雄が縄張りにした二枚貝にイタセンパラの雌が近づき、貝に卵を産もうとして失敗し、卵が水中に散らばるのを確認した。タイリクバラタナゴも同じ繁殖方法であることから、イタセンパラが誤って産卵行動をしたとみられる。

 

 映像では、縄張りを張ろうとするイタセンパラの雄を邪魔するタイリクバラタナゴの行動も確認できた。川上代表は「イタセンパラを保護するには、この外来魚を駆除することが大事になる」と話した。