政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は9日、衆院厚生労働委員会で、感染が急拡大する地域では、政府の観光支援事業「Go To トラベル」を一時中止すべきだとの考えを改めて示した。「ステージ3(感染急増)相当の地域では、GoToを含めて人の動きや接触を控えるべきだ」と述べた。

分科会の基準では、現状では札幌市や大阪市、東京都の一部などがステージ3相当の地域とされる。

尾身氏は、GoToは政府や自治体が控えるよう呼びかけている「不要不急の外出」に含まれるとも言及。落ち込んだ経済への対策として重要性に理解を示した上で「今の感染状況では中止した方が良い。感染を下火にしてからしっかりやった方が、経済的にも良いし国民の理解を得られるのではないか」と語った。

また、感染が拡大する現在の状況には「国として緊急事態宣言を出すステージには至っていない」とも強調。自衛隊から看護師の派遣を受けている北海道旭川市などでは、医療機関に大きな負担がかかっているとしつつも「国が緊急事態宣言を出すことと、各地域が緊急事態相当の状況にあるということは少し違う」と述べた。

立憲民主党の山井和則氏、長妻昭氏、中島克仁氏への答弁。(共同)