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国開示の文書に『改ざん』記載なし…自殺した元職員の手記と矛盾 妻「気持ち逆なで」

更新:2020/12/09 17:53

 森友学園を巡り近畿財務局の元職員が公文書改ざんを強いられて自殺した問題で、国は自殺の原因をまとめた文書を遺族に開示しましたが、「改ざん」に関する内容が一切記載されていないことがわかりました。亡くなった元職員の妻の“国に対する不信感”は増すばかりです。

 (妻・雅子さん 12月9日)
 「改ざんを上司から言われてやったということが一切書かれていないので。そこがちょっと不自然やなと思います。」

 近畿財務局の元職員・赤木俊夫さん(当時54)は、学校法人「森友学園」への国有地売却を巡り公文書の改ざんを命じられ、2018年3月に自殺しました。妻・雅子さんは「夫は改ざんを強制されて自殺した」として、国と当時の理財局長・佐川宣寿氏に慰謝料など約1億1000万円余りの賠償を求めて裁判で争っています。

 俊夫さんが認定された『公務災害』は、民間企業の『労災』にあたります。国は雅子さんの求めに応じて12月7日に認定理由をまとめた文書を開示しました。しかし…

 (国が開示した報告書より一部抜粋)
 『マスコミによる近畿財務局への批判報道等を見聞きする中で、これまでにない怒り、不満、そして不安など、精神的なストレスを抱え込むこととなった。「いよいよ捜査機関が接触しに来る」との思いが強まり、精神的に追い詰められ、自宅にて発作的に自殺をするに至った。』

 改ざんについて具体的な記述はありませんでした。一方、俊夫さんが自殺する直前まで書いていた手記には、財務省からの指示を受けて改ざんを強いられた経緯が克明に記されています。

 (赤木俊夫さんの手記より一部抜粋)
 『本省の指示と本省による対応が社会問題を引き起こし、嘘に嘘を塗り重ねるという、通常ではありえない対応を本省は引き起こしたのです。元は、すべて、佐川理財局長の指示です。関わった者としての責任をどう取るのか、ずっと考えてきました。』

 (妻・雅子さん)
 「改ざんをさせられたことを隠しているんだろうなと思いました。これじゃあ遺族の気持ちを逆なでするだけなので、もっとちゃんと、改ざんをさせられたということを明記してほしいなと思います。」

 また、雅子さんは俊夫さんが職場に残した改ざんの経緯をまとめたファイルの開示を求めていますが、国側はこれまでの裁判で回答を拒否しています。

 (妻・雅子さん)
 「これ(ファイル)が出ないと、なんのために裁判をしているのかわからない。夫がなんで苦しんでいるのか、そこに書いていると思うので、ぜひそれを知りたいと思います。」

 雅子さんは、次に裁判が開かれる来年2月までに、ファイルについての文書提出命令を裁判所に申し立てる方針です。


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