同年秋、ようやく佳代さんと圭さんが手紙を携えてA氏宅を訪問。その日のやり取りがこのテープの中身だ。
二人からの「手紙」には、「400万円は借りたものではなく、贈与だ」という趣旨の内容が記載されていた。テープを聞くと、手紙の内容に驚いているのか、A氏が30秒ほど沈黙した後、こう切り出した。
〈A「……手紙の趣旨はわかりました。僕が納得するかどうかは、また別の問題なので」
佳代「ごめんなさい。いや、ごめんなさいじゃない。納得というか、答えはこういうことですので」
A「一応ご返事として受け取りましたけど、僕も生活に困っていて。それについては、特に釈明はしません。
けれども、実際に私の懐からそちらにおカネが移ったことは間違いないことですし。一方的に婚約破棄と言われましたけど、まあ一応理由があって、婚約を解消したいと」〉
前述したように、A氏が婚約解消を申し出たのは、佳代さんの度重なる金銭の要求が原因となっている。しかし、手紙には「一方的な婚約破棄で佳代が精神的に傷を負った」と記されていた。