応用生物学部 応用生物化学科 愛知真木子先生

【2017年5月1日】

愛知真木子先生

ラン藻を用いてバイオエネルギーを生産する研究を行う
食虫植物の窒素代謝の研究を通して植物の保全も

プロフィール

愛知真木子(アイチ マキコ)先生。名古屋大学 農学部 農芸化学科卒業。名古屋大学大学院 生命農学研究科 博士課程前期課程・後期課程修了。2001年4月に中部大学に着任。助手、講師を経て現在、応用生物学部 応用生物化学科 准教授。

岐阜県出身。ご主人と息子さん2人の4人家族。趣味はハイキングや登山、スキー、美術館やお城巡り、ピアノを弾くこと、料理。好きな食べ物は和菓子、ケーキ、パン。

愛知先生を Close Up!

先生の研究内容

愛知真木子先生

モウセンゴケ

中部大学 恵那キャンパスのモウセンゴケ
丸まった葉の中に昆虫が捕獲されています
(写真をクリックすると拡大します)

「ラン藻やモウセンゴケを使って研究をしています。ラン藻は地球上で初めて酸素を出す光合成を行って、地球に酸素をもたらしました。また、ラン藻は植物の光合成装置(葉緑体)の祖先であると考えられていて、光合成についての研究や植物における代謝の基礎研究には最適な生き物です。皆さんの身近なラン藻には、金魚鉢を緑色にしてしまうものやスピルリナ、スイゼンジノリなどがあります。私が実験に使っているラン藻はゲノムの配列も明らかになっていますし、遺伝子操作もできるモデルラン藻で、これをつかってバイオエネルギーを作ることを目的として、脂肪酸合成に関わる遺伝子の研究をしています。

一方、モウセンゴケ属については全ゲノムは明らかではありませんし、遺伝子操作もできない非モデル植物です。トウカイコモウセンゴケは、東海~山陽地方にのみ自生する種で、この地域にしか生育しない理由は何か?また、絶滅危惧種に指定されていますので、保全のために遺伝子の多様性を調べたり、自生地の生育環境調査を行っています。また、食虫植物という特殊な機能を獲得した植物なので、窒素栄養の根からの吸収方法や酵素がいつ機能するか?といった制御のメカニズムが他の植物とどのように異なるのか興味があります。トウカイコモウセンゴケでも生理学的な研究ができるよう形質転換技術の開発も行っています」

研究を志したきっかけ

ニュートン

先生が中学生の頃に手にした実際の雑誌

「直接のきっかけは、習字の塾に通っていて、墨をすりながら台紙として準備していた新聞を読んでいた時のこと『バイオテクノロジー総集編』というニュートンから出版されていた雑誌の名前が目に入ってきました。『これだ!』と思い、自宅に帰ってすぐに雑誌を購入。『バイオテクノロジー』で砂漠緑化など地球環境問題の解決に役立ちたいと思いました。
小さいころは、『世界のマジックショー』や『ウルトラアイ』というテレビ番組が好きでした。『ウルトラアイ』(『ためしてガッテン』の前身)は生活の中の疑問などを実験で検証していく・・・というもの。不思議や疑問を実際の実験によって明らかにしていくというコンセプトが好きでしたし、番組中に出てくる、実験室で試験管を振ったり、クリーンベンチで細胞を培養している人に憧れました。
マジックショーが好きだったのは、マジックには必ずタネ(仕掛け)があるはずなので、その『不思議』のタネ(原因)はなんだろうと興味津々だったことも研究者となった現在につながるかなあと思っています」

先生の学生時代

大学祭実行委員会

「大学祭実行委員会として2年生の夏まで活動していました。大学祭前は、夕食も先輩や同級生と学食で食べ、毎日自宅へ帰るのも遅くなり、ほとんど家では眠るだけという生活でした。先輩や友人に恵まれ、ひたすら活動をし、楽しかったです」
(写真:前列一番左が愛知先生)

留学

「3年生の夏にはイギリス(ロンドン、ケンブリッジ)へ2カ月間の語学留学にアルバイトのお金を貯めて行きました。ロンドンでたまたま出会ったウィーンの医師ご夫妻のお宅へも伺い宿泊させていただいたのも印象に残っています。ウィーンではoとӧを間違えて誤った駅で降りてしまったりトラブルもありましたが、今となっては良い思い出です」

研究

「4年生で研究室に入ると今度は研究室で朝9時から夜9時半まで過ごす生活になりました。研究テーマは『ラン藻における硝酸同化系遺伝子の窒素による発現制御機構の研究』で毎日研究に没頭していました」

メッセージ

愛知真木子先生

「研究だけでなく、人生も、頭で思い描くほど簡単にはいきません。でも、いろいろなことにトライしてみれば、うまくいくこともあります。チャレンジした数だけ失敗と成功、苦しみと喜びがあるのですから、いろいろなことにチャレンジしてください。失敗を恐れて何もしないより、失敗した方が、何か得るものがあります。また、苦しい道のりを経た方が達成感と喜びは格別です。大学と自宅、決まったアルバイトの往復だけでなく、新しい世界へ飛び込んでみてください。そして、一生懸命に取り組んでみてください。きっと新しい何かが見えてくるはずです」

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