キスマイを大好きだった

これは5年間キスマイのことを好きだった1ファンが、キスマイのことを嫌いになるまでの物語

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まさかこんなブログを書く日が来るなんて思ってもみなかった。
というかわたしがキスマイから離れる日が来るなんてつい1週間前まで想像すらしたことなかったのになあ(笑)



どう考えたって個人的な事象であるから、こんな形で世間に大っぴらに見せるのは間違っているのかも知れない。

わたしがキスマイを好きであったことも、嫌いになることも、70億人もいるこの世界においてたった1人のわたしにしか関係のない出来事。

でも、わたしがキスマイを好きだったことも嫌いになることも誰にも非難してほしくないどころか、むしろ認めてほしいと思っている自分がいる。



これからここに書くことはわたしが感じたことで、それらはわたしの心に基づいて正しくて、そう感じたことは紛れもない事実であり、間違いなんかじゃない。

だからどうかわたしがこう感じたこと、否定しないでほしい。

キスマイに否定的な意見を持っている人のこと、否定しないでほしい。

わたしは、このまま身内だけで揉めるだけ揉めて、何も解決しないまま何事もなかったように終わってしまうことだけはしたくない。



とても自分勝手だと思う。
でもこれを読んでくれている貴方に、わたしがキスマイのファンであったこと知ってほしいんだ。



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『快感インストール』の詳細な告知がされてからこの1週間、自分はどうすべきか、何をしたらいいのかをずっと考え続けていた。

何を思うことが正解なのか分からず、毎日パブサをしては肯定的な意見も否定的な意見も踏まえた上で自分の感情を整理したくて、思うところをメモとして残してきた。

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6年前のわたしは流行り物が苦手で、特にジャニーズなんてカッコつけてるだけでなんか苦手…とひねくれた人間でした。

そんな時に二階堂担の友人に勧められるがままにキスマイのパフォーマンス動画を見させられ、バラエティを視聴し、「アイドルなのにこんなにがむしゃらに頑張る人たちがいるんだ!」と世界が拓けたのです。


Kis-My-Ft2はわたしが初めて好きになったアイドルグループです。

最前線で彼らのことを応援したいと、いつかこの時代のチャンピオンに絶対になるんだと、ならせるんだと信じて応援してきました。



それでも、少なくともわたしは、『快感インストール』を見て傷を負って、キスマイに失望した1人です。



メモ書きを端的にまとめるならば、まず予告に関する問題点だけで以下6点。

  1. ラッキースケベを装い、女性を性的搾取する描写があったこと
  2. 「男の夢」を免罪符にすれば、どんなことをしても許されると思っていると見受けられたこと
  3. 「男の夢」は、男性に対する侮辱であること
  4. メンバーのうち1人が、3年間もこのような構想を練っていたこと
  5. この構想の実現化を、残りのメンバーを含め誰も止められなかったこと
  6. 前作の『BE LOVE』を恋愛ドラマではなく、メンバーがキスをしているインパクトのある画に勝たなければいけない作品としてしか捉えてなかったこと

用事を済ませて家から飛んで帰ってきて、わくわくしながらTwitterを開いた11月27日の22時。

TLにまず流れてきた公式垢からの『おっぱいに触ると“あの瞬間”をインストール!?』の文言で血の気が引き、恐る恐る予告動画を見ようと思うも怖くてゲージを移動させながら何とか見切った。

どうしようもなくショックだった。
何がショックだったのかも分からなかったけれど、とにかく辛かった。

急いでわたしにキスマイを教えてくれた二階堂担の友人に連絡をした。

「キスマイのこと嫌いになりたくない」まで打って、自分が今何を考えているのかやっと理解ができて涙が止まらなくなった。



予告だけで、わたしがキスマイに失望するには十分でした。



Twitterでパブサをすると、賛否の意見でオタク同士が争っていた。

それが何よりも辛かった。

中には炎上したことでこのドラマを知って予告を叩いている一般の方もいたけれど、大半の人が“キスマイが好き”という大前提の上でオタクとして擁護派と非難派で戦っていた。

わたしがこのドラマはおかしいと感じたことは紛れもない事実なのに、「叩いてる人たちがおかしい!」「私は面白いと思ったけどな」「キスマイのことそんな程度にしか好きじゃないくせに、知ったような気になって叩くなんてひどい!」という擁護意見に自分を全否定された気持ちになった。


「この内容がセクハラを助長だと言うなら、殺人ドラマや戦争の話はもっと駄目だね。だって人殺してるから」という擁護意見もたくさん見た。

しかし、殺人や戦争を主題にしている話は、それらは取り締まられるべき悪として警察に追われたり、二度と繰り返してはならぬ歴史として描かれている。

『快感インストール』は、「この素晴らしい能力を使って、様々な女性のおっぱいを触ろうと奮闘する」話であり、男性であることを盾にそれらを咎める描写がない以上、女性の意思を鑑みないセクハラ行為であり、推奨しかねない存在でしかない。


「dTVは有料コンテンツなんだから、見たくない人は見なければいいだけのこと」という擁護意見もたくさん見た。

しかし、予めスプラッターホラーに年齢制限が付いているように、記者会見の映像に「フラッシュの点滅にご注意ください」と注意書きが流れるように、制作側はある程度の予防線を張っている。

人を滅多刺しにして殺害するドラマでのシーンが直接的に放送されないのは、殺人のニュースでその遺体がテレビに映らないのは、不快な気持ちになる人、ショックを受ける人がいるからである。

『快感インストール』が公開されるdTVが有料コンテンツというのは予防線でも何でもなく、放送される環境がたまたま有料コンテンツだったというだけで、キスマイ目当てではなくdTVを登録している人に対する配慮がない限り、この擁護意見は成立しない。

『快感インストール』の予告を見て既に気分を害した人もいるのに、じゃあこの気持ちはどうしたらいいんだよ。


「3年も考えた企画をたくさんの人たちが関わって作り上げた作品なのに、そんな簡単に叩いたり中止にしろなんて言うな」という擁護意見だってあった。

たくさんの人が関わっていて3年も考えていたものだから、そのたくさんの人のためにわたしがこう感じたことはなかったことにするべきなの?


Q:ファンの皆様へメッセージを。
A:もちろんファンの方に見ていただきたいのもありますけど、この作品でキスマイというグループがまた幅が広がったんじゃないかなと思う。(二階堂)

Q:どんな方に見てほしいか。
A:ファンの方はもちろんですが、男性の方も楽しめる内容になってると思う。カップルとかで見ていただいて、女の子が「男ってこんなバカなの?」と言っている隣で彼がクススって笑っていたり、一緒に笑ってもらえたら。(北山)

Q:ファンの皆様へメッセージを。
A:元々「BE LOVE」もなかなかインパクトがあったので、その次のさらに上回るもっとインパクトがあるものは何か?といろいろ考えた。(北山)

キスマイ二階堂高嗣 ちょっとエッチなラブコメに挑戦、原案は北山宏光 | ドワンゴジェイピーnews - 最新の芸能ニュースぞくぞく!
(以上抜粋のため、気になる方は是非上のリンクから飛んで見てみてください)



キスマイが広げたい幅がこんなもんかよ。


まるでこのドラマで起こることは全男性が求めているものであるというような発言がどうしても許せなかった。

『BE LOVE』はセクシャルマイノリティに対して理解の少ない日本において同性愛を主題にしたドラマにジャニーズが挑戦したということ、そして同性同士であることにあえてフォーカスせず恋愛模様を描いたことにとても意義のある作品だった。
(これはタイのBLドラマが好きな友達から聞いた話だけれど、その界隈でも『BE LOVE』は話題になっていたらしい。)

そのような作品を、超えるべきインパクトとしてしかメンバーが考えていたことが許せなかった。


10周年に向けてキスマイが頑張っていることも、頑張ってきたことももちろん知っている。

けれど、10周年を前にして広げたい幅がこれなのかと思ってしまった。



ライブで見るキスマイはかっこよくてかわいくて、本当に素敵なのに。

わたしの好きなアイドルだったのに。

その裏でこんな思想を3年間も抱えながら女性を見ていたのだと思ったら、キラキラした思い出たちまで気持ち悪く感じて、汚された気がして耐えられなかった。



太陽が昇っても尚眠りにつくことができず、別垢で吐き出すようにツイートしたことが「わたしはキスマイのことが好きだしずっと応援したいと思っている けれど、今回の脚本内容に失望したのも事実 こんなことでわたしのキスマイを嫌いにさせないでよ」だったこと、救いようがなくて今見ても苦しくなる。



それでも、わたしはキスマイのことが好きだったから、今までたくさんの幸せを貰ってきたから、「本編もまだ見てないのに予告の段階で叩くなんて」という擁護意見ももっともだと思ったから、『快感インストール』の先行配信を見ることを決めて過ごしてきました。

果てしなく長い6日間だった。


毎日さまざまな意見を見て、自分の感情を整理するためにメモに書く。

精神がすり減っていく感覚。

幸せを与えてくれる存在だったはずのキスマイに追い詰められる。



翌日の支度を全て済ませて、どんなことが起きても絶対に泣かないと心に決めてイヤホンをしてメモを片手にdTVを待機した12月3日の22時。

このドラマがただセクハラをするだけの内容ではなくて、きっと良い意味で裏切ってくれるはずだと願って見たのが馬鹿だった。



主人公が、一浪してまで入りたかった大学を「青春を謳歌できる楽園みたいな場所」と言う。

女子大生に好きになる男性の条件を「イケメンで〜高身長で〜」と語らせることによって、女性は浅はかな生き物であると植え付ける。

「このキャンパスの中で1番景色がいいんだ」と言い、普通ならば見えないスカートの中の太ももまで見えるように階段にわざわざ座る。

女性はただ生きているだけなのに、「どんな太ももが好き?」と査定する。

「神様が設計した中で1番いいもの」「男を惹き付けるように設計されている」と、ただの体の一部でしかない太ももを評価する。

その間にもさまざまな女性の太もものショットが流れる。

まだ性行為を経験していないことがまるで悪いことであるかのように、「お前もう大学生だろ?」と主人公を非難する。

何とかして女性に関わろうとし、「あのすいません、エロい雰囲気をお持ちですか?」と話し掛ける。

それを叱るでもなく、「いきなりは無理だったなw」と主人公の親友は軽く扱う。

学園のマドンナ的存在に一目惚れするも、「童貞のお前には無理」と一蹴する。

「俺は女子大生とエッチをしている。でも親友のお前は童貞。早く童貞を捨てて最高にエッチな大学生活を送るんだよ」と言う。

主人公と冴えないお母さんの会話シーンを挟むことによって、こういう環境に育ったから未だに童貞であるのだと描写する。

バーでのシーンに切り替わり、ただ飲み会に参加している女性に対して「女っつーのはどんな日々を過ごせばこんなエロくなれるんだ」という思いを抱く。

酔ってふらついた女性を支えようとするも誤って胸に手が当たってしまい、そのシーンを先をピンクに塗った水風船を揉むことで置き換える。

浴槽で水の中に体を沈めたことによって、女性の性行為の映像を見れることを知った主人公が、次回予告で親友と一緒にもう一度見るべく奮闘する。



たった20分。

わたしがキスマイを応援してきた5年間を、たった20分で否定された。

泣かないと決めていたはずなのに、どうしても目から溢れ出るものを止められなかった。



縋るような気持ちでTwitterを見ても、先行配信用の #快感前夜 を付けて呟かれているのは「面白かった!」「2人ともあほ可愛かった最高!」「叩いてた人たち息してる〜?(笑)」というものばかり。

そりゃそうだ、予告で無理だと感じた人たちがわざわざ好んでこのドラマを見てツイートするはずがないもの。

否定的な意見を持っているわたしなんかが見てはいけなかったのか。

「本編を見ないうちから叩くな」という意見があったから見たのに。



誰かにわたしを肯定してほしかった。

わたしがキスマイを好きだったことを肯定してほしかった。



けれど、「見た上でダメだったって方もいると思う それでも俺はいい」と書いた上でも「とにかく《快感インストール》は胸を張っていい作品と言えます」と、「頑張ってる仲間と何かを作るっていいもんだ」と、「中途半端な気持ちでやってないから」と、ドラマを見て否定的な意見を持ったことをメンバーにさえ否定された。



わたしが好きだったキスマイは死んだ。



望むなら、Kis-My-Ft2がこの時代のチャンピオンを掴むのをファンとして1番前で見ていたかった。

いつかもっと生活が忙しくなって全力で推すことができなくなっても、テレビやラジオをつければ傍で支えてくれる存在で在り続けてくれるのだと思っていた。



#BELOVE先行配信 は世界トレンド1位にまでなれたのに、#快感前夜 は日本のトレンド2位止まりだったこと。

公式垢から配信前にも、そしてもう配信から既に3日経った今も尚何もツイートがされていないこと。

#快感前夜 を付けた擁護派の人が「こんなハッシュタグだけど男の友情物語なんです!勘違いしないで!(笑)」と言っていたこと。

どれを取っても受け入れられない。



最初から最後まで見届けられるファンでいるために、7人のことを全て尊重して認めてあげられるようなファンであるために、どうにか1週間自分を繋ぎ止めていたのだけれど。



だからわたしはキスマイを嫌いになります。

まだキスマイを推していて幸せだったことを忘れられないから直ぐには嫌いになんてなれないけれど、一生懸命嫌いになります。



キスマイのことが大好きだったからこそ、このドラマを見て深く傷付いて、キスマイのファンを辞める人間がここにいたこと、これを読んでくれた貴方にどうか知っていてほしい。


幸せになるために推し事していきたいね。

  • WAM

    悲しんでるあなたに寄り添う意見が出てこないのが今のキスマイファンのリアルだと思うと、その中にいることすら汚らわしく感じてしまう。こんなこと言ってごめんね。
    担当じゃなかったら「変だよ!」って言えることも、ファンだから悪く言いたくないって人が多いように思う。それがKis-My-Ft2ってタレントとしての影響力だし、ジャニーズ事務所の影響力。
    このドラマを肯定しても、否定しても、ファンとして苦しくなる。それがこのドラマを放送しないでほしい理由。考えたのがメンバーでなのも、誰一人止められなかったのも悲しい。
    メンバーの個人的な趣味話ってことなら個人の自由だし、実際に痴漢をするとも思ってない。けど作品として作っちゃったことが悲しい。作品て何かを表現するもの。メッセージを送るもの。
    「カップルで見て、男ってバカだねと言ってほしい」キタミツどんな恋愛してきたの?36歳の男が彼女に言われるバカだねは、本気の軽蔑だよ。
    「新しい感覚で作った」ニカ、好き嫌いと嫌悪は別なんだ。20年近く芸能界で何を学んできたの?
    悲しいよ。悲しい。
    好きな人たちが考えてくれて一緒に作り上げたものを楽しみたいなんて当たり前のこと 。それすら奪われて悲しい。

  • アミ (id:t_an0c)

    >>WAM様
    タレントを人質に取られておかしいと思うものにおかしいと言えないこの状況も、その状況が当たり前であるかのようにそちら側から見れば和を乱している行為として非難されることも、どれも辛くて苦しいです。
    詳細な情報解禁がされるまでのカウントダウンの間、毎日載せられる女性の下顔面以下が写ったビジュアル写真に「もしかしてあのメンバーじゃない!?」と楽しんでいたあの日々を返してほしいです。人生のひとつの娯楽を奪われた悲しみは計り知れない。
    貴重なお時間を割いてまで読んでいただき、ありがとうございました。

  • ファンではない者です

    アミさんこんばんは、「配信中止」ハッシュタグ考案者のyukaさんがリツイートされていたので拝読しました。
    まずこれだけは言わせてください、アミさんがキスマイが大好きだった気持ちも、この1週間の苦しかった気持ちも、頑張って1話をみて辛かった気持ちも、その気持ちすらメンバーさんのブログで否定されてしまった気持ちも、ぜんぶ全力で、全肯定したいです。させてください。ほんとうにがんばったなあ、偉かったなあと、胸がギュッとなりました。
    すごく尊敬します。アミさんは1週間頑張ったんですね。踏ん張った。その時間が1番辛かっただろうと…そしてその後の出来事たちにすごく追いつめられただろうと思います。
    こうして文章にされたことも、本当にすごいです。
    私はまだ1話を見られていません。でも、抗議のアクションをするために近々見なきゃいけません。その勇気が出なかったのですが、アミさんがこうして書いてくださったから背中を押されました。頑張って見て、私も苦しもうと思います。
    変なコメントになってごめんなさい。どうか、アミさんが今夜は少しでもホッとして眠れますように。

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